年越しはクラシックで！音大卒が語る、大晦日に聴きたいジルベスターコンサート5選【2015年版】

みんなとワイワイ、家族でテレビ、一人でだらだら、年越しには色んな形がありますよね。そんな年越しの楽しみ方の一つ、ジルベスターコンサートをいくつか紹介しようと思います。普通の年越しも良いですが、クラシックを聴きながらの優雅な年越しも良いものですよ！

音楽大学卒業と建物好きという、ちょっと不思議な視点から、聴きたい・行ってみたいジルベスターコンサートを選んでみました！　当日券販売が予定されているものもあるので、今年行くも良し、今から来年に備えるも良し！　です。

普通のコンサートと何が違うの？

まず特殊なのが、原則大晦日に行われるということ。ジルベスターとは、ドイツ語で大晦日(聖ジルベスターの日)の意味なんです。ニューイヤーコンサートとはまた別で、計画してハシゴする通な人も！

場所は大抵毎年固定で、曲目は各々違います。定番の演出なんかもあるので、毎年違うコンサートを聴きに行くという楽しみ方もできるんですよ！　それでも一年に楽しめるのは一つだけ。中には地域の楽団がやっているものまで！　あなたはどれを聴きたいですか？

東急ジルベスターコンサート【当日券あり】

名前だけ聞いてもすぐには思い当たらないかもしれませんが、東急ジルベスターコンサートはおそらく日本で最も有名なジルベスターコンサートでしょう。それもそのはず、年越しの瞬間が近付くと、毎年テレビ東京系列で生放送が始まるから！

生放送ならではの仕掛け

実はただ生放送するというだけではありません。なんと、曲でカウントダウンをしちゃうんです！

演奏終了と同時に年が明け、紙吹雪が舞う仕掛けが施されているのですが──これがもうドキドキ！　手動で発射されるのかと思いきや、実は自動に設定されているんです。つまり、間に合わなければ曲の途中で年明けを迎え、紙吹雪が舞ってしまうということ。

いかに間に合わせるか、もしくは間を持たせるか、原曲を知っている人にとってはそれも楽しみの一つです。過去には失敗したこともあるとかないとか（ほぼ成功、ということになっています）。ちょっとひねくれているかもしれませんが、そのために予習しておくのもアリかもしれません。

注目のカウントダウン曲は？

2016年へのカウントダウン曲は、十八番といってもいいラヴェルのボレロ。過去に4度演奏され、内緒ですが、前回は少しだけ時間が余ってしまったという、色々と思い出深い曲になります。ですが、今回は失敗するわけにはいかない理由があります。

今回のボレロは、バレエ界の至宝シルヴィ・ギエムのラストステージも兼ねているんです。既に2015年限りで引退を表明しているため、正真正銘最後のステージとなります。知っている人も知らない人も、見逃すわけにはいきません！　日本で幕を下ろすだなんて、光栄ですよね……。

まだ間に合う！　当日券情報

管弦楽は東京フィルハーモニー交響楽団、バレエは東京バレエ団が出演予定。Bunkamura オーチャードホールが会場となります。当然前売り券はほぼ即日完売でしたが、当日券の販売が予定されています。31日16:00より整理券が配布されるので、並んででも聴きいてください！

そこまでの気力がない・遠い人も、テレビ東京系列とBSでの放送が予定されているので、お見逃しなく！

HTB･朝日 ジルベスターコンサート【当日券：例年あり】

試される大地・北海道。世界一の音響との呼び声高いkitaraホール。これには道産の木材で作られた反射板が影響しているとかいないとか。サントリーホールと設計者は同じなのに、世界各国の演奏者が口を揃えて「kitaraの響きは良い」と言うのです。かくいう私も吹いた身。その響きはたしかにどのホールとも違う！

ホールも演奏も北海道ならでは

そんなkitaraで演奏するのは、もちろん札幌交響楽団！　北海道唯一であり、屈指の交響楽団です。ゲストにも小樽出身のソプラノ歌手・九嶋さんや、札幌などを中心に活躍するデュオユニット・my＆Jennieなど北海道成分が満載！　積雪の中で煌くホールも北海道のコンサートならでは。この魅力をもっと伝えたい！

チケットには余裕あり。親しみやすい曲選にも注目

演目はゲストのオリジナル曲のほか、プッチーニ、サティなど、クラシックに縁のない方でも聴いたことのある親しみやすい曲が揃っています。チケットは25日現在まだ余裕があるようです。もしなくなっても例年当日券が販売されているので、公式ページの発表を待ちましょう！

ベルリン・フィルハーモニー管弦楽団ジルベスターコンサート

ジルベスターコンサートを語る上で絶対に外せないのがベルリンフィル！　なんといっても音楽の本場、そしてジルベルターの語源であるドイツ！　本場中の本場です！　ドイツでも当然一番人気。世界中でも、一度は聴きたいコンサートでまず名前が挙がるほど。いやー、生で聴いてみたいですねー。

チケットは毎年入手困難。来年の準備はお早めに！

一年近く前からツアーが組まれることからも人気の高さが伺えます。世界的に有名なチケット手配サイト『ムジーク・ライゼン』でも当たり前のように一番人気！……さて、人気についてばかり語ってしまいましたが──そう、コンサートの質の高さは約束されているのです！　私なんかが語るまでもありません。

それだけで終わると寂しいので特徴を。ベルリンフィルのジルベスターコンサートは、その規模さえも違います。なんと年末より二日も前から二度に渡って行われているのです！　そしてフィナーレは当然31日。前二日はともかく、最終日のチケットを取るのは、もはや運が絡むレベルです。

演奏するのは当然ベルリン・フィルハーモニー管弦楽団。2015年はゲストに『ヴァイオリンの女王』ムターが招かれています。彼女はなんと伝説級の指揮者・カラヤンに見込まれ、ソリストとして10代でベルリンフィルと協演したほどの実力者！　生で聴ける人が本当に羨ましい……。

展開多数！　まずは音源を聴いて気持ちを高めよう！

ともあれチケットは即日完売。音源かライブ映像の発売を待ちましょう。興味が出てきたという人には、個人的には2007年のEMIから出ている『展覧会の絵』のCDをオススメします。見かけたら遠くドイツの地・ベルリン・フィルハーモニーに想いを馳せながら聴いてみてくださいね！

久石譲 ジルベスター・コンサート

大阪では現代音楽の巨匠・久石譲がタクトを取ります！　作曲家でありピアニストでもある氏の自身の曲『Orbis』に加え、誰もが知っているベートーヴェンの第九が演目。そしてこのOrbisは第九に捧げる序曲として作られたものなんです！　とっておきって感じがしますよね！

Orbisは2015年編曲の新盤

2007年に初めて演奏され、大好評だったOrbisですが、もっと聴きたいという要望もあり、10分程だった曲が25分、全3楽章に大増量！　もはや新曲といっていいほどの編曲っぷりです。12月11日にお披露目されたので聴いた人はもう聴いたのでしょうが……これは大晦日に聴きたい！

管弦楽は日本センチュリー交響楽団、合唱は大阪センチュリー合唱団ほか、大阪を代表する合唱団が参加予定です。何から何まで大阪尽くし！　大阪オールスターの側面もありますね。

さだまさしも絶賛『神様が作ったホール』

会場はかつて”神様が作ったホール“とも称されたご存知フェスティバルホール。現在は二代目ですが、音響は当然として、外観・内装共に新年を迎えるのにぴったりな、美しいホールです。関西在住の人が羨ましい……！　真っ赤な大階段、一度この目で見に行きたいものです。

ウィーン・フィル　ニューイヤーコンサート

最後に紹介するのは大定番ウィーン・フィルのニューイヤーコンサート。美しく青きドナウやラデツキー行進曲といったアンコール曲で有名な、年始に毎年NHKで放送されるあのコンサートです。クラシックによる晴れ晴れしい年明け……いいですよね。でもこれはあくまでジルベスターコンサートの話なんです。

有名なニューイヤーコンサートがお得に聴ける！

といってもチケットは即日完売ですが、このニューイヤーと名のつくコンサート、実は二日前からコンサート・プレビュー、ニューイヤー・イヴ・コンサートとして行われているんです！　本番のニューイヤーコンサートと比べると半額以下！　なので、チケット入手難易度は本番より高いのですが。

黄金のホール

演奏はウィーン楽友協会の大ホール、通称『黄金のホール(Großer Saal)』で行われます。演奏は素晴らしいのですが、その前に！　その前に……！　ホールの美しさに目を奪われる！　装飾だけで満足して帰ってしまっても後悔がないので、うっかり演奏の聴き忘れということも……さすがにないですね。

1870年に完成した歴史あるホールなのですが、構造が今とは違い、シューボックス型という、平面に座席のあるタイプになっています。私は体感したことがありませんが、教会と同じ構造で、音の広がり方が普通のホールと違うといいます。憧れますね……。聴いてみたいし吹いてみたい！

曲目はニューイヤー仕様

管弦楽はもちろんウィーンフィルハーモニー管弦楽団。曲目は新年を迎えるに相応しい、シュトラウス一家のポルカを中心に、ワルツや円舞曲などの優雅なものが並びます。

燕尾服やドレスで着飾って、最高の年明けを……いつかしてみたいですねえ。とりあえず、今年の所はテレビか音源で！　ニューイヤーコンサートは1月1日17:00より、Eテレで放送されますよ！