Dick Thomas Johnson
重要文化財の文字をよく観光地で見かけますが、いざ訪ねてみたいと思う時、どこに注意して見ればいいか分からない時ってありますよね。一体どういうものを指すのだろうか?と理由は?などを。よく見かける「国宝」「天然記念物」などの言葉と交えてちょっとマニアックにご説明いたします。世界に誇れる日本の良さ、美しさ、素晴らしさに関心を持ってみるのはいいことですよね。その知識を踏まえて旅行に行くなら今まで以上に繊細な部分を見ることができたり新鮮に映ることがあるかもしれません。若い世代、子ども達にぜひ伝えたい大切な情報をお届けします。文化財とは
歴史的観点や、文化的な意味も含めて「形がある、なし」は関係なく「残すべきもの」であるものをいうのです。日本には、それをみたり感じることで「今の日本があるのはこれがあったから」「これが進化していまに至る」ものまで色んなものがあります。そのようなものを「文部科学省」が認定したものが文化財として登録されるんですね。日本の宝として保護すべきもの、後世に残すべき大切なものと考えれば「文化財登録」されているものにも興味がわいてきませんか?
文化財の種類と分け方
http://nekoarena.blog31.fc2.com/blog-entry-2519.html?sp
法律で指定された文化財の中にも色々な種類があり、 「文化財の形」と「文化財の重要度」の2つによって分類されています。早速どんなものがあるのか見ていくことにしましょう! 文化財と言うのは、優劣をつけることは非常に難しいのですが「国内だけで価値が高いもの」「世界的な文化価値があるもの」にざっくとわけられています。日本人と、海外では感性が異なるので「世界的に歴史価値がある」と判断されると「国宝」指定されるそうで、その数は決して多くはないそうです。判断基準も難しいのですね。
有形文化財
有形文化財は建物や絵、彫刻、本、古文書など形あるものの中でも、歴史的に意味があるものが指定されます。この中でも 「特に重要なものを重要文化財」さらに「重要文化財の中でも世界レベルで見て価値が高く、国民の宝であるものを国宝」として定めることができるそうです。簡単に言うと、 国宝が一番すごくて次に重要文化財、その次に有形文化財という順番になります!
目に見えて素晴らしく価値があると、どれだけの人が判断すれば文化財として認定されるかは私たちの基準では判断ができません。歴史的価値と漠然と言われても、その真価がどこにあるのか一般的に知られていない有形文化財もたくさんあるからです。
【国宝】法隆寺五重塔
日本で初めての世界遺産でもある法隆寺は、推古天皇と聖徳太子により建立された日本で最古の寺院です。国内で最古の建造物というだけでなく、日本へ仏教がどう入ってきたのか、聖徳太子の仏教奨励がどのようなものであったのかがこの法隆寺が全て教えてくれました。世界的には、法隆寺の建築美が人類の英知を感じさせること、日本人と仏教、そして中国文化が日本に導入された直前の建造物であることなのでしょう。
有名な「湖畔」は日本的なモチーフを西洋的な色つかいで表現したなど当時の絵画のなかでは非常に珍しいものです。まるで日本画のような繊細なタッチでありながら、キャンパスに映し出した淡い色彩は日本と西洋が非常にうまく融合した作品です。
【重要文化財】黒田清輝筆「湖畔」
http://sighpoo.exblog.jp/12681508/
有名な「湖畔」は日本的なモチーフを西洋的な色つかいで表現したなど当時の絵画のなかでは非常に珍しいものです。まるで日本画のような繊細なタッチでありながら、キャンパスに映し出した淡い色彩は日本と西洋が非常にうまく融合した作品です。国宝・重要文化財の件数
国宝・重要文化財は、美術工芸品、絵画、彫刻、工芸品、書籍、古文書、考古資料、歴史資料、建造物と幅広いですね。それでは一体、日本ではどのくらいの数の国宝や重要文化財にしていされているのでしょうか。
http://www.bunka.go.jp/seisaku/bunkazai/shokai/shitei.htm
日本全国で考えるとまだまだ、文化財であるものは埋もれているはずです。主観的なものになるので「どれもこれも文化財に」とはいかないのでしょう。特に歴史的資料は古文書などは、本物を見分けるのは難しいそうですから隠れた文化財が埋もれている可能性もあるのではないでしょうか。
無形文化財
https://www.youtube.com/watch?v=CZQFZXM1lSc
無形文化財は形として残らない音楽や演劇、工芸技術を指定するものです。 無形文化財の中でも特に重要なものは重要無形文化財として指定されます。また個人に対して無形文化財が指定されると、その人が人間国宝となります。歌舞伎や落語など、伝統芸能に携わる人が人間国宝と呼ばれるのは無形文化財に指定されているからなんですね。♪
歌舞伎や文楽など、日本の伝統芸能を現在の発展に貢献したとして人間国宝として指定されている人が非常に多いようです。伝統芸能、伝統工芸が無形文化財とされることもありますが、特に個人の働きが強い場合には人間国宝なんですね。
無形文化財に指定されるには?
重要無形文化財に指定は、「わざ」そのものが対象になっているのだそう。例えば、備前焼や彫金、人形浄瑠璃・文楽といった高度のわざを高度に体得している人や団体を認定しているのです。認定には3つの種類があり、高度のわざを体得した個人を認定する「各個認定」、2名以上の複数の人がわざを体現してる場合、団体を総合して認定する「総合認定」、そしてわざを体得した人々が構成している団体を認定する「保持団体認定」があります。
伝統的工芸技術、歴史的な芸能など個の技術が優れていて、それが継続され世界的にも認められたものと言えばわかりやすいでしょうか。色んなものがありますので、意外に身近なものが無形文化財だったなんてこともあるかもしれませんね。
人間国宝
人間国宝(重要無形文化財保持者)は、芸能(雅楽・能楽・文楽・歌舞伎、組踊、音楽、舞踊、演芸)と工芸技術(雅楽、能楽、文楽、歌舞伎、組踊、音楽、舞踊、演芸)があり、それぞれ8つの種別に分かれています。2015年10月までに認定されたのは、芸能でのべ180名、工芸技術ではのべ174名が認定されています。(死亡などによって認定解除された方も含む)
無形文化財を自らから引き継ぎ、本人自身が「宝である」と認定されるわけですから、これはとんでもないことですね。その当人がいたからこそ、その文化が栄えた、もしくは栄えさせ広めたと考えられる場合に認定されます。
民俗文化財
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E5%9F%BC%E7%8E%89%E7%9C%8C%E6%8C%87%E5%AE%9A%E6%96…
民俗文化財は風習や年中行事など、地域の生活に関わる部分に対して与えられるものです。たとえばその地方独特の農機具だったり、地域で行われる伝統のお祭りであったり、有形・無形に関わらず指定することができます。 民俗文化財の中でも特に重要なものは重要有形民俗文化財または重要無形民俗文化財に指定されます。
自分達に身近にあり、それを継いでいく人間がどんどん減ってしまっている。日本ではそのような現状に悩んでいる民族文化財がたくさんあります。受け継がれていくべきものが、失われていくのは本当にもったいなく残念なこと。地元に対する関心が薄れている現代人の考え方自体を変えていく必要があるのではないでしょうか。
【重要無形民俗文化財】宮古島のパーントゥ
http://www.m-daiko.co.jp/947.html
登録有形民俗文化財の登録件数は?
2006年3月15日に第一回の登録が行われた登録有形民俗文化財は、現在(2016年3月2日)42件が登録されています。北は青森から南は沖縄の竹富島まで、様々な用具などが登録されており、歴史を感じる文化財の数々が名を連ねていますよ。先人たちの知恵が詰まった貴重な登録有形民俗文化財…これからもずっと大切に保管していきたいですね。
記念物
記念物は城跡や古墳などの遺跡、また動植物や海浜などの自然を指定するものです。形はあるけれど、はっきりと「コレ!」と言えないものに与えるといった感じでしょうか。記念物の中でも 「重要な遺跡を史跡」、「重要な土地を名勝」、「重要な動植物・地質・鉱物を天然記念物」と呼んでいるようです。さらに史跡、名勝、天然記念物の中でも重要なものを特別史跡、特別名勝、特別天然記念物と呼んで区別しています。
登録記念物の件数
登録記念物は、東京都の牧野記念庭園などの遺跡関係が8件、北海道の函館公園などの名勝地関係が71件、田沢湖のクニマスの標本などの動物植物地質鉱物関係が6件の合計84件となっています。名勝地は全国にあるので、これらを巡る旅として旅行プランを立てるのも楽しいかもしれませんね。
季節によって異なる美しさを楽しむこともできるため、ベストシーズンを狙って旅行に出かけてみませんか?
【特別名勝】小石川後楽園
http://geinou-ura.com/archives/2246
【特別天然記念物】ライチョウ
http://www.rinya.maff.go.jp/chubu/photo/index.html
特別天然記念物に指定されている動物
https://jataff.jp/monument/index.html
トキは、小学校の教科書などでも習うため、日本人の大半の人が知っている天然記念物かもしれませんね。最近入ってきた、純野生のトキのひなが40年ぶりに誕生したという嬉しいニュース♪今後が楽しみですね。
特別天然記念物に指定されている植物
https://jataff.jp/monument/index.html#2
この中で私たちが誰でも知っている植物と言えば、阿寒湖のマリモなのではないでしょうか?お土産品としても販売されているので、自宅にあるという方もきっと多いはずですよね。
文化的景観
http://jale.sblo.jp/article/55536916.html
文化的景観は地域の人々や地域の気候風土によってつくられた景色を指定するものです。いわゆる日本の原風景と呼ばれるような景色がこれに指定されるイメージですね。文化的景観の中でも特に重要なものを重要文化的景観と呼びます。 重要文化的景観の登録件数
重要文化的景観の登録件数は、2015年10月の時点で50件となっています。全国にこれだけの数の重要文化的景観があるなんて、なんだか嬉しくなりますね。人工的に作られたものではなく、昔から生活の中の景色として身近にあった景観が、現代に「重要文化的景観」として保護されるようになったという事を知ったら、先人たちもきっと喜ばれるに違いないでしょう。
【重要文化的景観】近江八幡の水郷
http://19741230.at.webry.info/200908/article_4.html
伝統的建造物群
http://www.city.sasayama.hyogo.jp/pc/group/shakaikyoiku/sightseeing/post-68.html
伝統的建造物群は、建物の集まりに指定するもの。いわゆる街並みというものを指定するときに使います。城下町であったり、集落であったり、そういったものが指定される場合が多いですね。 伝統的建造物群保存地区は市町村が自分の地域の街並みを保存するために指定するもので、その中でも特に重要なものは文部科学大臣から重要伝統的建造物群保存地区として選ばれます。
重要伝統的建造物群保存地区登録件数
重要伝統的建造物群保存地区に登録されている件数は、2015年7月の時点で、43道府県90市町村の中で110地区に及びます。約26,400件の伝統的建造物と、環境物件が特定・保護されているという事ですから、物凄い数ですよね。そこに足を運ぶだけで、まるでタイムスリップしたような気分になれるから、旅行には特におすすめです。
【重要伝統的建造物群保存地区】朝倉市秋月
http://g-photo.seesaa.net/article/398543368.html
自分の地域の文化財を探してみよう!
http://wheelsho2101.web.fc2.com/k-tokai.html
なんとなく近寄りがたい雰囲気のする文化財ですが、実は意外なほど身近にあったりするもの。もしかしたら近所に文化財に指定されているものがあるかもしれません。そんなときに活用したいホームページが「国指定文化財等データベース」。都道府県名から文化財を検索することができる便利なページです。役場や公民館などで情報収集するのも楽しいかもしれませんね♪
http://www.city.tonami.toyama.jp/tonamisypher/www/info/detail.jsp?life_supergenr…
重要文化財を巡る旅がおすすめ!
もし、身近に重要文化財がない場合、旅行の目的として気になる文化財を巡る旅の計画を立ててみてはいかがでしょうか?有形文化財を見たり、重要伝統的建造物群保存地区の観光へ足を運んだり、登録有形民俗文化財の祭りの時期を狙って出かけたりするのも楽しいですよ。写真を撮って、オリジナルのアルバムを作成するのもおすすめですよ。
重要文化財を大切にしていきたいと思いますよね。少々、用語の説明になってしまいましたが、情報を楽しんでいただけたと思います♪区分は細かく分かれているようですが、おおざっぱに言ってしまえば、「後世に伝えていきたい大事なもの」を指定したもののことです。
美しい文化景観や伝統的建造物、昔から伝わる民族的な祭りなど私たちが子どもたちに受け継いでいきたいものが沢山ありますね。楽しい旅行の機会をさりげなく教養を磨くチャンスにしてみるのはいかがですか?