提供:山形県
山形県中央部に位置する、名峰「月山」。古くは山岳信仰の対象として崇められ、近年ではウィンタースポーツを楽しむ場所として、親しまれています。登山をするなら、気軽に登れるルートや起伏の激しいルートなど自分に合ったルートを選びましょう。また、豊富な高山植物も楽しめますよ。ただし、月山は神聖な場所でもあります。山頂の神域である神社の参拝方法や心得も大事!自然を楽しむだけでなく、霊峰としての厳かな空気を感じることができます。月山の見どころと、その魅力について、迫っていきます!
1.月山とは?
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月山は、古くから、修験者たちの山岳信仰の場として、知られてきました。湯殿山、羽黒山と合わせた、出羽三山のひとつとして、現在でも、多くの参拝者が訪れます。また、標高2,000m級の自然環境には、珍しい植物が生息しています。山頂から見る、庄内や鳥海山、朝日連峰など眺めは、絶景です!月山は山形県の中央部にある標高1,984メートルの火山で、周囲の山より高いことから山形県の庄内地方や村山地方からよく見える山です。山頂には月山神社があり、その開山は593年と伝えられ、東北地方でも由緒ある神社とされていました。江戸時代には修験者たちの山岳信仰の場として有名になり、この地を訪れた俳人・松尾芭蕉が、その著書「おくの細道」でも月山お読んだ句を残しています。
2.月山の魅力
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山岳信仰の歴史、美しい山並み、自然の豊かさなど、月山の魅力を挙げようとすれば尽きません。品格・歴史・個性の全てが揃った「日本百名山」にも選出されています。
松尾芭蕉は『奥の細道』の中で、「雲の峰いくつ崩れて月の山」と詠み、たおやかなで優美な月山の稜線を称えました。美しく雄大な月山を見ていると、自然と心が洗われるような気持ちになることでしょう!
山形県のほぼ中央にある月山は、山形市のある村山地方や日本海側の庄内地方から晴れた日にはきれいに見える山です。また、豪雪地帯にあり夏でも涼しい山頂付近は夏でも残雪が残り、それが平地からも見られます。さらに、車で8合目まで行けることもあり、高山植物が咲く短い時期には、山頂付近を多くのハイカーや登山者が訪れています。
3.月山の見どころ!
それでは、月山の見どころをご紹介していきます!
月山神社
頂上にある「月山神社」。昔から、修験者たちの信仰の対象とされてきた、神聖な場所です。参拝するには、お祓いが必要です!下界の穢れを落とした清い身体となって、参拝しましょう。月山の山岳信仰の歴史を、肌で感じてください。
月山神社は、約千年前につくられた延喜式神名帳にも載っている、水を司る神様として、また航海や漁業の神様として古くから人々の信仰を集めていました。月山には八合目まで車で行くことができますが、雪に閉ざされる場所なので、山頂に行けるのは7月1日から9月15日までです。
弥阿ヶ原高原
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弥陀ヶ原高原は、月山の標高約1,600~2,100mに広がる高原です。木道も整備されており、比較的なだらかな場所にあります。高山植物を愛でながらの散策にぴったり!
弥阿ヶ原高原でよく見られる「餓鬼田(がきだ)」。
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「餓鬼田」は、池塘(ちとう)とも呼ばれています。標高2000m付近に分布し、湿地帯に現れる小さな池のようなものです。餓鬼道に落ちた亡者が、飢えをしのぐために田植えをしたことに、由来します。夏には、数多くの高山植物や珍しい昆虫などが見られるでしょう。
弥阿ヶ原高原は、車で行ける月山の八合目付近にある湿原です。月山レストハウスのある八合目駐車場から、距離にして2kmほどの遊歩道が整備されており、1時間程度で高山植物の花畑を巡ることができます。花が見れるのは6月から8月までの短い時期のみ。天気の変わりやすい山頂で、美しい花が見れるには運も必要かもしれません。
高山植物
たくさんの高山植物が生息する「月山」。代表的なものを、ご紹介します。それが「チングルマ」という名前の花。群生した景色は、一面のお花畑の世界。月山は、高山植物の宝庫です!
ほかにも高原に咲く、「ニッコウキスゲ」。明るい黄色~橙の色は、草原の中にあっても、一際、目を引きます。朝開いて、夕方にはしぼんでしまうそうです。
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月山の山肌を彩る「草紅葉」。秋の月山では、錦の絨毯のような紅葉が見られます。草木の紅葉は、一風違った趣がありますね。月山は標高2000メートルに満たない山ですが、日本海からの季節風を直接受ける日本でも有数の豪雪地でもあることから、標高3000メートル以上でないと見られないような高山植物が見れる山です。そのため、月山で見られる花は約350種類とも言われ、高山植物の宝庫となっています。
月山山麓湧水群
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月山登山の途中、あちらこちらで、湧水を見かけるかもしれません。豊富な雪解け水が水源となり、数百年をかけて、山中や山麓で湧き出しています。ブナなどの広葉樹林帯が水を貯えており、天然のダムの役割を果たしています。山形県立自然博物園では、月山の湧水などの見学もできます。
山形県立自然博物園の周辺には月山山麓湧水群に含まれる泉や沼が多数あり、それらを散策することができます。ここは、月山の東側の登山口に近い山形県西川町の国道112号線・六十里街道から月山スキー場に登る途中にあります。月山道からは、寒河江ダムのダム湖・月山湖の湖畔から弓張平公園を入った道路の先です。
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スキー
月山スキー場は、標高で言うと1,600m付近、月山の7合目くらいに位置しています。なんと営業期間は、”4月~7月”。夏スキー専門のスキー場なのです。
夏スキーを楽しむために、全国から人々が集まってきます。姥ケ岳山頂からの斜面は、大きな障害物などもなく、山全体がゲレンデとなっています。山頂まで、ペアリフトも整備されており、ウィンタースポーツを、快適に楽しむことが出来るでしょう。
豪雪地帯でもある月山の7合目は、スキーシーズンのはずの冬期間は雪が多すぎてアクセスできず、道路の除雪ができるようになる4月から雪が解ける7月まで営業するスキー場です。気温が暖かくなる4月からの営業なので、雪質はあまりよくありません。しかし、ほぼ山全体がゲレンデとも言える場所なので、景色の素晴らしい場所でスキーが楽しめます。
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4.月山を訪れた人々の声
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http://yama-sone.at.webry.info/201405/article_3.html
http://www.veryblue.org/blog/mountaineering/gassan/
https://www.facebook.com/mt.gassan/timeline?ref=page_internal
http://bluesky.rash.jp/blog/hiking/gassan.html
5.基本情報と場所
月山の雄大な自然を、身近に感じていただけましたでしょうか。月山は、様々な楽しみ方のあるスポットです。ぜひ、一度訪れてみて下さいね!月山に行くには車で行くのが便利です。月山リフトを使う西川町からの姥沢口ルートでは、月山スキー場の駐車場が利用できます。また、鶴岡側の羽黒口ルートは、弥陀ヶ原湿原の入り口にある8合目レストハウスの駐車場を利用してください。車で山形自動車道と月山道から湯殿山本宮前に行ける湯殿山口ルートは、修験者がよく利用する急峻なコースです。
■ 基本情報
- ・名称: 月山(がっさん)
・住所: 山形県東田川郡庄内町立谷澤字本澤31(月山神社/月山山頂) - ・アクセス: 【バス利用】鶴岡駅から月山八合目行きバスで2時間
- ※7/1から9/30までの運行です。
- 【車利用】山形自動車道 庄内あさひICから車で1時間30分
- ・電話番号:0235-62-4727(羽黒町観光協会)
- 0234-56-2213(庄内町商工観光課立谷沢川流域振興係)
- ・料金: 【月山神社参拝の場合は、お祓い料】1名:500円
- ・所要時間: 【登山ルート羽黒口】2時間30分(8合目レストハウスからのルート)
- 【登山ルート湯殿山口】3時間10分(湯殿山本宮前が登山口)
- 【登山ルート姥沢口】1時間45分(リフト利用)
- ・オススメの時期: 紅葉の時期・7月くらいまでは、雪があり、
- ・公式サイトURL: http://www.dewasanzan.jp/(出羽三山神社) http://www.tsuruokakanko.com/(鶴岡市観光協会)
地図はこちら
6.レベル別登山ルートの見どころ
リフトを利用したり、8合目まで車で行く「初級」ルートと少し険しい修行道の「中級」ルートの見どころをご紹介します。【初級】姥沢口ルート(リフト利用)
月山リフトを利用して、登山を楽ちんに楽しめるルートです。リフト上駅まで駐車場の約15分ほど、リフトに揺られながら景色を楽しめるのもうれしいですね。夏には足元に高山植物もたくさん咲きます。リフト上駅からは木道が敷かれ、整備された道が頂上まで続くので、登山初心者でも気軽に楽しめますよ。再度、合流地点となる牛首には休憩スペースがあり、月山湖がよく望めて絶景です。頂上までの間には、昔の山小屋「鍛冶小屋跡」や山頂から見える山々を示した方位盤がありますよ。リフト上駅から約1時間半ほどで山頂まで行けるので、ゆっくり山を楽しめますね。
【初級】羽黒山口ルート
月山8合目までは車で行って、レストハウスで食事やトイレなどを済ませてから、登山をスタートできるルートです。岩場は多いですが、比較的に急な坂が少ないので、登りやすいルートです。途中も見どころが多く、一番の見どころは、何といっても「弥陀ヶ原高原」。大小数十の池や沼があり、様々な高山植物を楽しめます。他にも弥陀ヶ原の全景が一望できる無量坂や水神八代竜王や三十六童子の伝説を秘めた仏生池。9合目と山頂の中間地点には、30mほどの急斜面の岩場「行者返し」があり、修行の未熟さを悟らせ、羽黒山に返されたという伝説があります。そこを過ぎれば、山頂まで木道が整備されていますよ。
【中級】湯殿山口ルート
起伏が激しく、変化に富んだ険しいルートです。登山の靴や服装などしっかり準備して行きましょう。登山のスタート地点には、祓い場があり、拝殿や社殿などはなく、自然のままの神社です。登山の安全を祈願してから進みましょう。祓い場をすぎるとすぐに、一番の難所と言ってもいい月光坂があり、3ヶ所の鉄はしごを登る場所があります。沢が近くにあるため、周りの石などが滑りやすくなっているので注意してください。坂を登り切れば、無料の休憩所「装束場(施薬小屋)」がありますよ。その後、岩陰からコンコンと湧き出る水が流れる「浄身川」を通りすぎると、リフト利用者と合流する地点に出ますよ。
7.月山神社参拝の心得
月山(出羽三山)は、先祖の霊魂、山の神・海の神が鎮まる山として、古くから信仰を集める修験道の霊山です。8合目から山頂の月山神社までの道のりは、出羽山神社の境内でもありますので、神聖な気持ちで登りましょう。神社内は神域
山頂の「月山神社本宮」は、石垣に囲まれ、入口には石で造られた鳥居があります。ここから先は、神域に入りますので撮影は禁止です。石鳥居をくぐり、まずはお祓い所にてお祓い料(500円)を払いましょう。払わないと中には入れませんので、忘れずに!身を清めましょう
お祓い所にて「ひとがた(人の形をした紙)」とお守りを受け取り、祈祷を受けます。「ひとがた」で頭から足元まで体を撫でて、けがれをうつし、3回息を吹きかけます。最後に水の中へ流せば、身の清めが完了となります。身を清め終えたら、お祓い所から先へ進みます。小さな社がありますので、参拝をしましょう。参拝後、お神酒をいただいて、出口へ向かいます。
神域であることを感じながら、神聖な気持ちで参拝してくださいね。また、ここでしか売っていないお守り「つき守」「身代わり守」を記念に購入することもできます。
9.月山神社本宮柴燈祭
毎年お盆の時期に行なわれる「柴燈祭」。1年間の供養の塔婆を護摩木として焚き上げる祭事です。日が沈む頃に法螺貝や太鼓を先導に祭員が参入し、松明で護摩木に火を入れ祈ります。朗々と読み上げられる祝詞は、炎とともに厳かな空気を漂よわせ、感動してしまいます。護摩木の炎は、月山に登った祖霊や様々な御霊が火の粉となって舞い、それぞれの家へと帰っていきます。この火はお盆の「迎え火」でもあるんですね。
月山の火を皮切りに、麓にかけて小屋や行場でもかがり火が焚かれます(場柴燈)。8合目の近くでも行なわれますので、夜に山頂まで行くのが困難な方は、場柴燈で参拝すると良いでしょう。
夜空へと舞う火の粉を見ながら、この火はどこへと帰っていくのだろう・・・と思いを馳せ、涙が出そうになるほどの感動を味わえることでしょう。
素材提供:トリップアドバイザー
山形県にある月山の雄大な自然を、身近に感じていただけましたでしょうか。月山は、様々な楽しみ方のできるスポットです。高山植物を楽しみながらの登山や神域への参拝。
冬にはウインタースポーツも楽しめます。万年雪でも知られるこちらは夏でも寒さを感じるほどですので、服装や装備を整えて登山へと向かいましょう。神域でもあることを忘れずに自然豊かな月山へぜひ、一度訪れてみて下さいね!