木々が芽吹き、苔の青さが増す春、陽光が池やせせらぎにそそぐ夏、紅葉が鮮やかな秋…。いつの季節も日本庭園の美しさは私たちを癒やし、楽しませてくれますが、冬の日本庭園はまた格別なものがあります。今回は雪が降ってもなお美しい、冬だからこそ行きたい日本庭園を七つ、厳選してご紹介します。
1.慈照寺 銀閣/京都
http://photo53.com/
京都の名刹・慈照寺は、足利義政の東山山荘を寺院としたもので、義政自身が善阿弥とともに設計したと言われます。庭も善阿弥の手によると言われますが、諸説あって定かではありません。義政がこの慈照寺を建てる際には、日本の庭造りのパイオニアとも言うべき夢窓疎石(夢窓国師)が造った西芳寺(苔寺)を模したと言われます。東山文化のわびさびを感じさせる銀閣(観音堂)の建物が、周囲が雪に覆われることで、また違った姿を見せてくれます。苔むす春・夏の銀閣もいいですが、雪景色はまた特別な趣があるように感じます。
■ 基本情報
- ・名称:慈照寺
- ・所在地:〒606-8402 京都市左京区銀閣寺町2
- ・アクセス:京都市バス「銀閣寺道」下車、徒歩約5分
- ・参拝時間:【夏季(3/1-11/30)】午前8:30~午後5:00、【冬季(12/1- 2/末日)】午前9:00~午後4:30
- ・定休日:年中無休
- ・電話番号:075-771-5725
- ・料金:大人・高校生500円/小・中学生 300円
- ・公式サイトURL:http://www.shokoku-ji.jp/g_about.html
2.兼六園/石川
http://www.pref.ishikawa.jp/siro-niwa/kenrokuen/season_winter.html
兼六園は、金沢城の外郭に造られた、加賀藩の藩庭を起源とする庭園です。岡山の後楽園、水戸の偕楽園と並んで、日本三名園の一つにも数えられます。兼六園では、冬支度として雪害から樹木を守るため、毎年11月1日 から「雪吊り」をしています。幹に沿って支柱を立てて、たくさんの荒縄を円錐形にめぐらせて枝を吊り、雪の重みで枝が傷まないように保護します。雪吊りが施された木々と雪とが織りなす風景は、冬の風物詩とも言えるものです。
■ 基本情報
- ・名称:兼六園
- ・住所:〒920-0937 石川県金沢市丸の内1番1号
- ・アクセス:北陸自動車道 金沢森本ICから約20分/金沢駅より車で約10分
- ・営業時間:【3月1日~10月15日】7:00~18:00、【10月16日~2月末日】8:00~17:00
- ・定休日:年中無休
- ・電話番号:076-234-3800
- ・料金:大人(18歳以上)310円
- ・公式サイトURL:http://www.pref.ishikawa.jp/siro-niwa/kenrokuen/index.html
3.東福寺 方丈庭園「八相の庭」/京都
日本で最古にして最大級の伽藍がある京都の東福寺。その庭を造ったのが、近代日本を代表する作庭家・重森三玲です。大胆な立石群で構成される石組みと、幾何学的でモダンにデザインされた地模様・地割りが、三玲の庭の大きな特徴です。その大胆かつ洗練された庭は、海外からも注目を集めています。東福寺の庭は、三玲が初めて本格的に作庭した庭です。三玲が43歳のときのことでした。それまでに400箇所以上の日本庭園を実測調査し、その知識をバックグラウンドにもちつつ、日本の庭園史に名を刻む新たなスタイルの庭を生み出しました。
雪がうっすら積もることで、砂で描かれた模様が別の表情を浮かび上がらせます。 実はこの砂の模様、三玲が作った当時はより複雑だったそうですが、現在では少しシンプルになっているそうです。
■ 基本情報
- ・名称:東福寺
- ・所在地:〒612-0839 京都府京都市 伏見区深草本寺山町1−4
- ・アクセス:JR奈良線・京阪本線「東福寺駅」下車より南東へ徒歩10分/市バス202,207,208系統「東福寺」バス停下車。
- ・拝観時間:4~10月末…9:00~16:00/11~12月初旬…8:30~16:00/12月初旬~3月…9:00~15:30
- ・定休日:年中無休
- ・電話番号:075-561-0087
- ・料金:拝観料 400円
- ・公式サイトURL:http://www.tofukuji.jp/
4.足立美術館/島根
島根県にある足立美術館は、130点におよぶ横山大観の作品を所蔵することで知られる美術館です。ここの創設者である足立全康の信念が「庭園もまた絵画である」というもの。足立は美術館に設けられた日本庭園にその熱い思いを注ぎ込み、見事な庭を創りだしました。5万坪もの敷地に拡がる庭園は、四季折々にさまざま表情を見せて楽しませてくれます。外国人からの人気も高く、アメリカの雑誌で行っている日本庭園ランキングでは、12年連続庭園日本一に選ばれています。
きれいに刈り込まれ形作られた木々と石組み、白砂といった日本庭園の光景は、雪に覆われるとまったく異なる印象を見せます。まさに創設者の足立の信念のとおり絵画ではありますが、まるで墨で描かれた山水画のようです。
■ 基本情報
- ・名称:足立美術館
- ・住所:〒692‐0064 島根県安来市古川町320
- ・アクセス:JR安来駅より無料シャトルバスで約20分/山陰道安来ICより約10分
- ・開館時間:4月-9月:9:00-17:30、10月-3月:9:00-17:00
- ・定休日:新館のみ展示替えのため休館日あり(詳細は公式サイトまで)
- ・電話番号:0854-28-7111
- ・料金:大人2,300円
- ・公式サイトURL:https://www.adachi-museum.or.jp/
5.天竜寺/京都
http://www.leafkyoto.net/blog/kyonikki/2011/01/201111.html
京都嵯峨にある天龍寺の開祖は、「日本庭園の祖」とも称される夢窓疎石です。曹源池庭園は、その夢窓が作庭したおよそ700年前当時の面影をとどめているものとされ、日本で最初の史跡・特別名勝に指定されています。雪に覆われると、芝生の緑と白砂とのコントラストや鮮やかな紅葉のイメージはすっかり影を潜め、中央の曹源池の存在がより際だって見え、水面に映る景色もより印象的に感じられます。背景に見える借景の嵐山や亀山を含めた姿も、春や紅葉のころとはまた違った美しさを見せてくれます。
■ 基本情報
- ・名称:大本山天龍寺
- ・住所:〒616-8385 京都府京都市 右京区嵯峨天龍寺芒ノ馬場町68
- ・アクセス:JR嵯峨野線「嵯峨嵐山」駅下車徒歩13分
- ・参拝時間:8時30分~17時30分(17時30分に閉門。10月21日~3月20日までは17時閉門)
- ・定休日:年中無休
- ・電話番号:075-881-1235
- ・料金:庭園は高校生以上500円、小・中学生300円、未就学児無料
- ・公式サイトURL: http://www.tenryuji.com/index.html
6.無鄰菴/京都
http://blog.goo.ne.jp/teinengoseikatukyoto/e/088330d51ab4a36c8e0da9095426ac3c
無鄰菴は山県有朋が京都に建てた別荘で、その庭は作庭家の七代目小川治兵衛(植治)に有朋が命じて造らせました。植治は、夢窓礎石、小堀遠州と並び、日本の庭園史上で特筆すべき造園家と言われ、近代日本庭園の先駆者として知られます。植治の庭の特徴は、庭に流れや池を取り入れ石を配し「あるべき自然・日本人が好む自然」を再現する手法や、周辺の自然を活かす借景にあると言われます。雪化粧を施されることで、植治が表現した自然は、また違った姿を見せてくれます。雪と流れの組み合わせには、どこか静謐な美しさが感じられます。
■ 基本情報
- ・名称:名勝 無鄰菴
- ・所在地: 〒606-8437 京都府京都市 左京区南禅寺草川町31
- ・アクセス: 京都市営地下鉄東西線「蹴上駅」から徒歩約7分
- ・開場時間: 午前9時から午後5時まで(入場は午後4時30分まで)
- ・定休日: 12月29日から翌年1月3日まで
- ・電話番号: 075-771-3909
- ・料金: 410円(大人こども同額)
- ・公式サイトURL: http://www2.city.kyoto.lg.jp/bunshi/bunka/murin_an/murin_an_top.html
7.御薬園/福島
http://s.webry.info/sp/navalin.at.webry.info/201309/article_8.html
会津若松にある御薬園(おやくえん)は、国の名勝に指定されている大名型山水庭園です。その起源は、武将の葦名盛久がこの地に別荘を建てた室町時代にまでさかのぼります。やがて朝鮮人参の栽培に成功し、さまざまな薬草の栽培・研究がされていたことからこの名前がつきました。御薬園の広さは約5100坪あって、北に飯豊山、東に磐梯山と背あぶり山、東山の連山を借景にしています。こちらの庭でも、雪国ならではの「雪吊り」の光景が見られます。
■ 基本情報
- ・名称: 御薬園
- ・所在地: 福島県会津若松市花春町8-1
- ・アクセス: まちなか周遊バス「あかべえ」より「御薬園入口」下車(御薬園まで徒歩3分)
- ・開園時間: 午前8時30分~午後5時まで
- ・定休日: 無休
- ・電話番号:0242-27-2472
- ・料金: 大人320円
- ・公式サイトURL: http://www.tsurugajo.com/oyakuen/index.htm
冬だからこそ美しい。
冬だからこそ、あらためて感じられる日本庭園の魅力があります。ご紹介した以外にも、すてきな日本庭園は日本にたくさんあります。ちょっと寒いですが、白い息を吐きながら、ゆっくりと庭を眺める…。日本人ならではの冬の楽しみ方と言えるのではないでしょうか。ぜひお出かけください。素材提供:トリップアドバイザー