TANAKA Juuyoh (田中十洋)
日本を代表する浮世絵師、葛飾北斎の作品の中には様々な名作があります。今回は、その名作の中でも「諸国瀧廻り」と呼ばれる8つの浮世絵と、その舞台となった滝についてご紹介します。1.木曽路ノ奥阿弥陀ヶ瀧(岐阜県・阿弥陀ヶ瀧)
http://www.ukiyoe-ota-muse.jp/H220607%20Hokusai.html
「諸国瀧廻り」の中でもその不思議な形から有名な作品が「木曽路ノ奥阿弥陀ヶ瀧」になります。この滝のモデルとなったのは岐阜県郡上市白鳥町にある瀧、「阿弥陀ヶ瀧」になります。落差が60メートルにも及ぶ日本を代表する名瀑の一つで、洞窟で法師が祈ったところ阿弥陀如来の姿が現れたという故事から「阿弥陀ヶ瀧」という名前が付けられたといわれています。
http://3922160.at.webry.info/theme/6b48f29ff5.html
■ 基本情報
- ・名称: 阿弥陀ヶ瀧
- ・住所: 岐阜県郡上市白鳥町前谷
- ・アクセス: 長良川鉄道美濃白鳥駅より「阿弥陀ヶ滝」バス停下車、徒歩20分
- ・電話番号: 0575-82-3114(郡上市白鳥地域振興事務所産業振興課)
- ・料金: 無料
- ・オススメの時期: 初夏
2.和州吉野義経馬洗瀧(奈良県・高滝)
http://www.service-kosaido.jp/service/print_media/calendar/hokusai.html
源頼朝に追われていた義経が馬を洗ったという伝説が残る瀧を描いた浮世絵が「和州吉野義経馬洗瀧」になります。豊富な水がイキイキと描かれている名画としてしられています。「和州吉野義経馬洗瀧」のモデルとなっている「高滝」は落差10メートルとダイナミックな瀧ですが、実はこの浮世絵で紹介されるまであまり有名な滝ではなかったのだとか。浮世絵では高滝の蛇行している姿をより強調して描いたようです。
http://blog.goo.ne.jp/kochou_2005/e/8d7ff004579d7a895f2a97e43072db8e
■ 基本情報
- ・名称: 高滝
- ・住所: 奈良県吉野郡吉野町喜佐谷
- ・アクセス: 吉野神宮駅から車で20分/大和上市駅からバスで約15分宮滝下車、徒歩約45分
- ・電話番号: 0746-32-3081(吉野町役場 文化観光交流課)
- ・料金: 無料
- ・オススメの時期:一年中オススメ
3.下野黒髪山きりふりの瀧(栃木県・霧降の滝)
http://ukiyo-e.org/image/bm/AN00534117_001_l
江戸時代、日光東照宮へ参詣に訪れた人の多くが立ち寄ったといわれる瀧を描いた浮世絵が「下野黒髪山きりふりの瀧」になります。浮世絵の下方部分にも旅姿の人々が見られます。「きりふりの滝」の雄大な姿を見て長旅の疲れも癒したのではないでしょうか。現在もその雄大な姿は有名で「華厳の瀧」「裏見の瀧」と並び日光三名瀑の一つとして親しまれています。扇のような優雅な姿が特徴的な名瀑になります。
http://www.splasher.jp/waterfalls/kirifuri.html
■ 基本情報
- ・名称: 霧降の滝
- ・住所: 栃木県日光市所野
- ・アクセス: 東武日光駅から車で10分。駐車場から徒歩10分程度
- 東武バス霧降高原行きまたは大笹牧場行きで8分、霧降の滝入口下車、徒歩15分
- ・電話番号:0288-22-1525(日光市観光協会)
- ・料金: 無料
- ・オススメの時期:冬
4.木曽海道小野ノ瀑布(長野県・小野の滝)
http://www.service-kosaido.jp/service/print_media/calendar/hokusai.html
御嶽信仰の行者の水行の場であった滝を描いたのが「」になります。葛飾北斎と並び日本を代表する浮世絵師として知られる歌川広重も「木曽街道六十九次」で、この滝を描くように日本を代表する名瀑として有名な滝になります。ちなみに歌川広重の「上ヶ松」はこちら!
http://free-artworks.gatag.net/2013/02/05/130000.html
そして現在の「小野の瀧」がこちら!江戸時代同様、豊富な水量が特徴的な名瀑になります。
http://gdn2425.jp/taki/kiso/nagano14/
■ 基本情報
- ・名称:小野の滝
- ・住所: 長野県木曽郡上松町小野
- ・アクセス: 塩尻ICから65分
- ・電話番号: 0264-52-1133(上松町観光情報センター)
- ・料金: 無料
- ・オススメの時期:初夏
5.美濃ノ国養老の瀧(岐阜県・養老の滝)
http://ukiyo-e.org/image/bm/AN00534126_001_l
親孝行の伝説が残る霊泉として古くから有名な滝を描いたのが「美濃ノ国養老の瀧」になります。幅4メートルのダイナミックな滝を描いた名画として有名な作品でもあります。瀧の水しぶきを笠で避ける二人の旅人からその滝の凄さを感じることができる作品です。現在も、落差約32メートルと豊かな水量を見ることができる名瀑として知られています。
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E9%A4%8A%E8%80%81%E3%81%AE%E6%BB%9D
■ 基本情報
- ・名称: 養老の滝
- ・住所: 岐阜県養老郡養老町高林1298-2
- ・アクセス: JR大垣駅より養老鉄道・養老駅下車徒歩10分
- ・定休日: 月曜日、12/29~1/3
- ・電話番号: 0584-32-0501
- ・料金: 無料(駐車場1台300円)
- ・オススメの時期: 紅葉シーズン
- ・公式サイトURL:http://www.yoro-park.com/
6.相州大山ろうべんの瀧(神奈川県・良弁滝)
http://www.service-kosaido.jp/service/print_media/calendar/hokusai.html
現在の神奈川県、大山寺に参詣する人々が奉納用の木刀を持って禊を行うことで知られている滝を描いたのが「相州大山ろうべんの瀧」になります。江戸から18里とほど近い場所にあるため多くの人々が訪れたことで知られており、浮世絵にも多くの参詣者の姿が見られます。現在は参詣者が瀧に打たれることは禁止されていますが、龍の口から流れ落ちる霊験あらたかな姿を見ることができます。
http://www.ihmlab.net/wp/wp-content/uploads/DSCN0742.jpg
■ 基本情報
- ・名称: 良弁滝(ろうべんたき)
- ・住所: 神奈川県伊勢原市
- ・アクセス:大山鋼索線・追分駅から徒歩14分
- ・料金: 無料
- ・オススメの時期:雨が降った後の日
7.東海道坂ノ下清瀧くわんおん(三重県・清滝)
http://blog.goo.ne.jp/55yasuji/c/0f7f3ff545e5d2428ddf74d02b9ab5b5/8
粘り気のあるような液体のように描かれている瀧が「東海道坂ノ下清瀧くわんおん」になります。東海道の鈴鹿峠の坂下宿傍らにある瀧であり瀧の側の石窟には阿弥陀如来、十一面観音、延命地蔵の三体が安置されており、江戸時代は広く信仰を集める瀧として知られていました。「東海道坂ノ下清瀧くわんおん」は三重県にある「清滝」がモデルになっています。
http://lonelyheart.blog58.fc2.com/blog-entry-2226.html
■ 基本情報
- ・名称: 清滝
- ・住所: 三重県熊野市大泊町
- ・アクセス: JR紀勢本線熊野市駅からタクシーで5分
- ・電話番号:0597-89-4111(熊野市観光スポーツ交流課)
- ・料金: 無料
8.東都葵ヶ岡の瀧(東京都・赤坂溜池)
http://www.service-kosaido.jp/service/print_media/calendar/hokusai.html
8枚の浮世絵の中、現在は見ることができない幻の滝として知られているのが「赤坂溜池」になります。江戸時代に現在の港区赤坂溜池付近に存在した小さな瀧がモデルになっており、江戸時代の名所だったといわれています。静かに流れ落ちる風情ある浮世絵として知られています。やはり歌川広重の浮世絵、「名所江戸百景」にも登場する瀧です。浮世絵の世界を通じて素敵な日本の景色を楽しんでみてください。