博多祇園山笠は、地元っ子の魂と言っても過言ではないほどの福岡の大イベントで、別名・男祭りとも呼ばれています。毎年7月1日から2週間開催されますが、この期間中にお近くに来られる機会がある方は、ぜひ一度はこの熱気を体感していただきたいと思います。最終日早朝に開催されるフィナーレ・追い山はもちろんですが、その他にも見どころや魅力が満載ですので、今回は皆さんにたっぷりご紹介させていただきますのでご期待ください。さあ、今年も盛り上がっていきましょう!
博多祇園山笠とは?
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その起源には諸説あると言われていますが、1241年に疫病除けの為に始められたという説が有力であり、この厄除け神事が同じく災厄除けの祇園信仰と結びついて発展したものだと言われています。この1241年を起源と考えても、770年以上の歴史を持つ由緒ある祭事。博多の街を7つに分けて「流」と呼ばれるグループを作り、それぞれの街の山を舁いて駆け回り、櫛田神社までのタイムを競うというのが、この「博多祇園山笠」なのです。
700年以上の伝統ある祭で櫛田神社に祀られている素盞鳴尊に対して奉納される祇園祭のひとつです。正式名称は「櫛田神社祇園大祭」。博多どんたくとともに博多を代表するお祭りなんですよ。地域外の方には福岡市主催と間違われがちですが、櫛田神社の氏子たちが行う奉納行事であり地域住民の伝統的な町内行事です。
水法被と締め込み姿
舁き手の衣装は、流や町がすぐ分かるようになっている水法被を着用し、3mもある締め込みを絞めるのが習わしです。絞め込みとは、一般的にはふんどしと呼ばれるもので、色は紺か白が基本になっており、流や町によって異なります。全部に垂らす「前垂れ」と言う絞め方で、山笠の男たちは絞め込みを絞めると、気持ちも引き締まるそうですよ。
博多祇園山笠定番の水法被と締め込み姿は山笠に参加することが許された者だけが着ることができる山の男のユニフォームでもあります。頭には色や柄で役職分けしたはちまきや手ぬぐいを巻き、意匠が異なる水法被、腹部の保護と転倒防止のための腹巻きやサラシ、締め込み、腰には山笠を担ぐ際に使用する舁き縄、足元は脚絆と地下足袋という感じになっています。
博多祇園山笠の魅力
やはり「博多祇園山笠」最大の魅力は、フィナーレである「追い山」の際に見られる舁き山の勇壮な姿です。スタート地点である櫛田神社の山留めでは、静から動へ動き出す瞬間の緊張感を一緒に感じる事が出来てお勧めの観覧スポットです。また、ゴールである廻り止めで山の帰りを待ち、その独特の雰囲気を楽しむのも「山笠通」と言えるでしょう。
そして、山笠のもう一つの顔である「飾り山」の存在も見逃せません。飾り山は、7月1日から15日まで福岡市内各所で10基の飾り山を観覧する事が出来ますから、是非お見逃しなく!
現在見られる岩山笠の「飾り山」は三苫惣吉が宝暦2年(1752年)に始めた様式と言われています。その頃の山笠は高さが10mもあったんですよ!それが明治31年(1898年)、山笠が電線を切断する事故が相次いだことで当時の福岡県知事が山笠行事の中止を提案、運行の際には3mほどの舁き山が用いられていました。これによってそれまで使用していた高さのある岩山笠は飾っておくだけの「飾り山」となったのです。
博多祇園山笠のスケジュール
博多祇園山笠を存分に楽しむためにはスケジュールをしっかりと把握しておくといいでしょう。7月1日から15日まで行われる祭はそれぞれの日によって行う行事が決められています。一般的に知られているのは7月15日の「追い山」ですが、それ以外にも山笠に関する行事がたくさん行われているんですよ☆・7月1日~8日「子供山笠」
神事とは例外的に行われている行事であり、通常は参加出来ない女子も参加する事が出来ます。可愛らしい子供たちが、頑張って山を舁く姿は大変微笑ましく、是非見て頂きたいお勧めポイントです。
子どもが中心になって行われる「子供山笠」。博多祇園山笠は本来女人禁制の祭。女性は舁き手の詰め所にすら入れないしきたりがあります。かつては舁き手の詰め所入り口に「不浄の者入るべからず」と書かれた立て札がありましたが現在では女性差別に繋がるとして設置されていません。このようなことから小学生までの女子が参加できる「子供山笠」は貴重な山笠!
・7月1日~9日「飾り山笠一般公開」
博多山笠は7月1日から開幕しますが、1日~9日までの「静の期間」は山笠は走らず、櫛田神社やその周辺で、計14の飾り山が公開されます。豪華絢爛な山笠をまじまじと見ることができ、繁華街では出店なども立ち並び大いに賑わいます。交通手段を上手に使って鑑賞をお楽しみください。夜にはライトアップも行われ、日中とはまた違った美しさで、私たちの目を楽しませてくれますよ。
「飾り山」にはお堂や水の流れなどの部品で風景を構成し、人形を配置しています。下絵や絵馬も数多く残り、素の姿を現在まで伝えています。飾り山や山笠に飾られている人形の衣装は長年京都の西陣織を使用していましたが、平成14年(2002年)から地元の博多織を衣装生地に使用しています。
・7月1日 「注連(しめ)下ろし」
注連下ろしは、山笠行事が始まる7月1日の早朝に行われる神事です。注連縄を張った青笹や竹で作った紙幣(竹串御弊)で作った神域で、櫛田神社の神職が執り行います。役員などが参加し、山笠が滞りなく終わることを祈願します。※通常は7月1日に執り行われますが、旧暦を採用している恵比須流だけは1ヵ月早い、6月1日に執り行います。
それぞれの流域や町内を清めるために行われる神事で、注連縄を張った青笹からは神様の領域であることを示しています。周囲の人々は、この「注連(しめ)下ろし」に出会うことで山笠の季節がやってきた、と実感するそうですよ。
・7月1日 「ご神入れ」
山台を組んで、飾り付けを終えた山笠に神を宿らせる神事です。これによって山笠は、御神体(お神輿)となります。山笠は一般公開されますが、関係者以外の人が触れることの無いように、夜間は警固が付きます。ちなみに山笠中はきゅうりを食べることは禁忌とされており、この日から15日までの間は給食からもきゅうりが消えます。
飾り山は一般公開される7月1日の早朝に御神入れを行います。櫛田神社の新色が飾り山に向かって御幣を振り、祝詞を奏上することで御神入れが完了します。舁き出し行事の流舁きは10日に行われるので、各流の舁き山は8、9日頃に御神入れ行事を行うことが多くなっています。
7月1日・9日 「お汐井(しおい)とり」
「お汐井取り」は毎年7月1日と9日の2回、箱崎宮参道の先の海岸で行なわれる清めの神事で、1日は当番町のみが、9日は全ての流が総出で行われます。各流の舁き手達が石堂橋から箱崎浜へ向かい、浜辺で山笠中の安全を祈願して「お汐井」を、”お汐井枡”や”てぼ”ですくい取り、筥崎宮を参詣してから櫛田神社に向かいます。櫛田神社に着くと整列し、「ヤー」という掛け声とともに一斉に境内に駆け込みます。
箱崎浜へ向かう道中は弓張提灯と呼ばれる笹竹に提灯をつけたものを先頭に、約6kmの「お汐井道」と呼ばれる行程を小走りで駆けて行きます。このときの順番は当番町を先頭に当日集合順になり、催行日は受取町、翌年度の当番町となっています。
・7月10日 流舁(ながれか)き
流舁きは、いよいよ動いている山笠を見ることができる、山舁き初日のことです。この日の舁山は、ホームグラウンドの流区域内を舁き回ります。余談ですが、舁山が走るとき、沿道から豪快に水が振りまかれているのを見たことがある人も多いのではないでしょうか? この水は「勢い水(きおいみず)」と呼ばれるもので、沿道に設置されたバケツの水を観衆や水係たちが撒いています。舁き手たちと山笠本体の熱気を冷ます、冷却水としての効果があります。
この流舁きが訪れた観光客にとってゆっくりと見学できるチャンス!舁き出し時間は各流ごとに異なり、さらにはその年によってコースも異なっているので事前チェックは必要です。そのなかでも一番の見所はやはりやm語や周辺となっています。
・7月11日 朝山笠
「朝山笠」は、読んで字のごとく朝行われる行事で、別名を「祝儀山」とも言います。11日の朝5時から1時間かけて行われ、功績のあった年配者を縁起ものであるお神酒でもてなしたり、当番長の子ども達は大人たちが引く台の上にあげてもらえると言った楽しみも有ります。【2015 舁出時刻】大黒流5:00,東流5:00,中洲流6:00,西流5:00,千代流6:00,恵比須流5:00,土居流5:00
7月11日 他流舁き
「他流舁き」は、流舁きが自分の流域への披露を込めて舁くのに対し、区域外に出て他の流の流域に舁き入れ、敬意を表す意味が込められています。1日に2回舁くのはこの日だけで、珍しい山舁きが見れると人気があります。また「追い山笠ならし」や「追い山笠」に向け、櫛田神社に舁き入れて「櫛田入り」の練習をする流もあります。櫛田入りを無料で見学できるチャンスでもありますので、お見逃しなく!
・7月12日 追い山笠ならし
「追い山笠ならし」は、15日の追い山に向けた本番さながらの予行演習が見学できる日です。予行演習とは言え、本番とほぼ変わらない(時間と距離が少し短くなります)内容で山の男たちの熱気も、本番と遜色がありません。追い山笠ならしを一目見ようと、冷泉公園から櫛田神社にかけての土居通りは人がごった返し、熱気が高まっている様子が感じられます。櫛田入りの1時間前には、見どころの一つである、「櫛田入り」の舁き手を選ぶ「棒競り(ぼうぜり)」も行われます。
・7月12日・15日 「櫛田入り」
追い山の山留め(スタート地点)から大太鼓の合図でスタートし櫛田神社の境内にある清堂旗を廻り玉垣を出るまでを言う。 境内を出るときのタイムが玉垣の上の櫓で計測され記録され、櫛田入り後は追い山のコースへと飛び出していく。 最初にスタートする一番山は午前4時59分に大太鼓の合図でスタート。清道を回ったところで一旦山を停止、能舞台に山笠を向け「祝いめでた」(博多祝い歌)を舁き手、観客と一体となって全員で大合唱する。 これは一番山笠にのみ許された特権で、唄うのは1番のみ。祝い目出度を唄うタイム(約30秒)は除外される。山の出発が4時59分となっているのは、祝いめでたの斉唱時間1分のロスタイムを考慮しているからである。
http://www.hakata-yamakasa.net/word/kushidairi/
・7月13日「集団山見せ」
「集団山見せ」は、地元の名士や有名芸能人を台上がり(舁き山の上に上がらせる)させた各流の舁き山が一堂に会し、一般の会衆にお披露目する行事です。15日は早朝で観に行けないという人も、集団山見せは昼間に開催されているので気軽に楽しむ事が出来ます。同じように、7月12日に開催される追い山のリハーサルと言われる「追い山馴らし」も、観に行きやすい行事と言えます。
・7月15日「追い山」
博多祇園山笠最大の見せ場であり、祭りのグランドフィナーレともいえる「追い山」。15日早朝の一番山スタートを皮切りに、5分おきに次々と山が街を駆け回る様子は大変勇壮です。櫛田神社で「博多祝いめでた」を奉納出来るのは毎年一番山の舁き手だけであり、その栄誉に預かる為に毎年男衆はこの壮大なタイムトライアルでの勝利を目指して走るのです。櫛田神社には桟敷も準備されており、一般の観衆も大変多く賑わう一日です。
2014年こんなに盛り上がった・・・!
2014年、山笠があるけん! 博多たい!福岡県の博多祇園山笠の伝統的な夏祭り: http://t.co/bTJnZJFh7k
— ギャシャ「 牙赦 」志と覚醒。 (@h_dazaino) 2014, 9月 3
博多祇園山笠の追い山(神輿を担いでタイムを競う祭り)を見てきました! 流石700年も続く博多の伝統行事だけあって、スケールも大きく大変感動しました‼ BEAVERももうすぐで50周年☆ 多くの方に感動を届けたいです。 pic.twitter.com/VuTPiNYpKx
— BEAVER博多 (@BeaverHakata) 2014, 7月 17
博多祇園山笠「追い山笠」櫛田入り、八番山笠・上川端通の「動く飾り山」。五十周年に相応しい、大迫力と花咲爺な紙吹雪が素晴らしかったですね。帰路も撮影。 pic.twitter.com/o7HtjsC0qh
— 益田啓一郎 (@mapfan7) 2014, 7月 15
2015年も気合はいってます・・・!
博多祇園山笠774年目の開幕までアト12日しかなかよぉ~(^^ゞ 平成弐拾七年一番山笠 大黒流「降臨大黒天」 追い山怒涛の櫛田入り 祝い目出度まであと26日ったい! 博多があるけん、山笠ったい!!! #博多 #やまかさ #山笠 pic.twitter.com/UDA5Azj48L
— 博多っ子純情 (@Facata_Romance) 2015, 6月 18
博多祇園山笠のチラシ置いてます!今年の山笠の情報が掲載されたチラシです。追い山の見物スポットや飾り山の場所がわかります。チラシは店内に置いておりますのでご自由にお持ち帰りください。 pic.twitter.com/O1NxnLlh8F
— 酒のぎゃらりい・綾杉 (@ayasuginosake) 2015, 6月 18
基本情報
- ・名称:博多祇園山笠「櫛田神社」
- ・住所:福岡県福岡市博多区上川端町1-41
- ・アクセス:地下鉄祇園駅から徒歩で2分|「キャナルシティ博多前」バス停から徒歩
- ・営業時間:「追い山」毎年7月15日4:59~
- ・定休日:特になし(飾り山は期間内いつでも観覧可能)
- ・電話番号:092-291-2951
- ・料金:無料(追い山観覧のための桟敷は要予約・別途料金が必要)
- ・所要時間:約2時間
- ・オススメの時期:7月1日~7月15日
- ・公式サイトURL:http://www.hakatayamakasa.com/index.html
博多祇園山笠の見どころや魅力をご紹介させていただきましたが、これを読んでいただければ、毎年7月1日から2週間に渡るこの福岡県を代表する大イベントに、地元っ子たちが熱く魂を燃やすという理由もよく分かりますよね。こちらは九州でも有名な観光地で、いろんなスポットや美味しい食べ物も楽しめるところですので、旅行や出張に来られたことがある方も多いと思いますが、今度、もし期間中に訪れる機会があれば、ぜひ一度このお祭りを見に行って、この熱さを体感し、一緒に盛り上がってみてはいかがですか?