香ばしくジューシーに焼き上げられた焼き鳥を片手にビールをゴクリ。
それだけで日々の疲れが吹っ飛び、至福の時を迎えられることは疑いようがない。
さぁ今宵は、肉の旨みが凝縮され、噛むほどに肉汁あふれる究極の1本を提供する店へいざ!
「ぼんじり、手羽、レバーと良心価格」
綾瀬はるか、深田恭子ら、数々の著名人の写真集などを手がけてきた実力派フォトグラファー、アンディ・チャオ氏。実はここ『佐々木家 源八』は、アンディ氏が今のようにカメラマンとして活躍をする前、下積み時代に働いていたお店。
「ラジオの有線が流れる気取りのない店内はとても居心地がいいです。そして、いろいろ試したけど僕は今でもここの焼鳥が東京で一番美味しいと思います。職人気質な大将の焼鳥への愛情をとても感じる味わい。海外からの友達もいつも喜んでくれます。僕が特に好きなのはぼんじりとつくねですね」
下北沢という街の喧騒の中、気の置けない仲間と夢を語り合い串をつまめば、ついつい酒も進むというものだ。
レバー1本¥80。余りの安さに驚いてしまうが、味は折り紙つき。どれも小ぶりながら、ジューシーな焼き具合、部位に合わせた味付けなど、丁寧な仕事ぶりが一口で分かる。サイズ感も手伝い、次、また次と手が伸びる。
特筆すべきこだわりの調味料は、土佐の海水を太陽光で結晶化させた希少な天日塩「あまみ」。
ミネラル分が豊富に含まれ、ほのかな甘みが舌に残るほど柔らかい。肉の旨みをきっちりとサポートし、食べ飽きさせない魔法を生む。
「せせりと豚バラに山芋を加えているため、独特の弾力を持つ。甘みが強く塩気が柔らかい土佐の天日塩「あまみ」を使用。他の串もすべて小ぶりなので、女性でも20本以上食べる人もいる」
店の最寄駅は豪徳寺。こぢんまりした街の親しみやすさを宿しつつも、赤ちょうちん的居酒屋の騒がしさは微塵もない。
そりゃ、女性のひとり客もちらほらと見かけるわけだ。女性がジバラで飲む店は旨いに決まっている。くつろいだ空気に魅せられ、今日もまた足が向くのだ。
焼鳥屋らしからぬ店名と外観に興味を引かれる。ここではまず甲斐路軍鶏にこだわる、おまかせ6本コースを推したい。中村農場の甲斐路軍鶏を産地より丸ごと1羽仕入れて、串打ちをする。
銀座『バードランド』で修業した店主・堀晋福氏は、もともと本場の醸造所を訪れるほどの大のビール好き。
そこで現在の店では、焼鳥に合うベルギービールを選りすぐり、相性や好みに応じて提供している。
「焼鳥×ベルギー麦酒で魅了。実りある“元気醸造所”」
樽生3種類、大瓶5種類に小瓶10種類を用意し、レバーにはワイン樽で18か月寝かせた酸味のあるタイプを。
山椒が香る皮には、ホップをふんだんに使った苦みのあるタイプで調和させるなど、一本一本に合わせた提案を行っている。
堀氏はソムリエのように、一歩も二歩も踏み込んだ最高の合わせ技で魅了する。正統派の美味な焼鳥を真っ向から受け止めるベルギービール。感無量だ。
東中野の商店街に2015年3月オープン。 「女性一人でも入りやすいバー」をコンセプトに掲げる『tententen』系列のオーナー布施有美子さんと、もつ焼き屋と中野『焼き貝 久遠』を経た中島雄氏がタッグを組んだ最旬店だ。
「女性が気軽に楽しめるもつ焼き店を」という店内は白木やタイルを配した明るくナチュラルな雰囲気。煙がモウモウと立ち込める赤ちょうちんとは一線を画す。「多彩な部位に繊細な味わい。もつ焼き好きなら存分に謳歌せよ」
もつは新鮮なまま生で仕入れ、部位によっては丁寧な下処理をほどこして調理する。タンカルビ、しきん、フワ、チレなど多彩な部位に、必食すべきはタンを刻んで混ぜ込んだつくね串。
クミンなどのスパイス使いも巧みで、フレンチの肉料理を彷彿させる垂涎の逸品。イタリア風のマリネで仕上げる冷製串を盛り合わせた「もつの冷製プレート」も、前菜にぴったりな是非もの。
美味に寄り添う酒は、アルコール度数高めで香りと味にパンチのあるクラフトビールのIPA(インディア・ペール・エール)に、国産を中心とした自然派ワイン。
ベストマッチなセレクトに、食は進む一方。女性が堂々ともつ焼きを謳歌できる一軒だ。
400年以上前から会津地方で飼育されている固有種、会津地鶏。日本唯一の専門店であるこちらでは、羽数の少ないこの地鶏を贅沢にも丸ごと仕入れて提供する。
通常朝締めがよいとされる中、内臓以外の部位はあえて24時間寝かせてから調理。肉が適度に締まり、味わいが増すという。
温度、衛生管理を完璧にこなすことで仕上がる極上肉なのだ。火入れはとにかく時間をかけ、低温でじっくりと。
「濃厚なコクが凝縮された皮には、鶏自体の質が如実に表れる。福島の固有種・会津地鶏を、あえて24時間寝かせてから調理。より締まった肉質と味わいが、鮮烈な第一印象に繋がる」
「一瞬たりともほっておけない」という職人泣かせな肉だが、泣かせるのは職人だけにあらず。
“ひと味惚れ”したと店主が語るように、華やかでいて繊細な脂の香りが鼻腔にえもいわれぬ余韻を残し、人々を感動させる。一度食べたが最後、再会が恋しくなる味なのだ。
扉を開けると、気持ちがいい白木のカウンターが目に飛び込む。
激戦区・神楽坂で勝負するため、清潔感のある雰囲気にしたという店主の割鞘伸泰氏。お客さんとの距離が近い、理想の店が形となった。
中でも客が前のめりになる瞬間、それは醤油を使った串が焼かれる時。炭火に炙られた醤油の香ばしい香りで店が満たされる。
「たっぷり肉が付いた膝周りの軟骨。歯ごたえと旨みをいいとこ取りした部位だ。味の決め手は、毎日継ぎ足しされる秘伝の醤油。炭の香ばしさと脂の甘みが食欲をそそる」
日々継ぎ足して使う醤油は、炭のスモーキーなフレーバーと脂の甘みがぎゅっと詰まった唯一無二のもの。
その醤油と相性がよいオススメ串はひざ軟骨。表面を炙り旨みを閉じ込めてから、醤油に浸けて再度焼き、香りを引き出している。
一人でしっぽり味わいたい、そんな深みを感じさせてくれる店である。
山梨の甲斐路軍鶏を用いた焼き鳥と豊富にそろったワインを楽しめる『乃木坂 鳥幸』の銀座店が2013年3月にオープン。
八ヶ岳の雪解け地下水を飲み、トウモロコシなどを食べて育った鶏を使用する点は乃木坂店と変わらないが、ワインのラインナップに幅を持たせるなど、銀座店ならではの楽しみも。
特筆すべきは、串の種類の多さ。ソリレース(もものつけ根)をはじめ、おたふく(胸腺)やちょうちん(腹卵)といった“変わり種”も充実している。
「この希少部位の正体は、もものつけ根部分。よく動かす部分ゆえ肉が締まっており、味も濃厚。 山梨県『中村農場』の甲斐路軍鶏を使用。冷涼な土地で育った鶏の肉は繊細な旨みに富む」
部位の特徴をとらえ、鶏の旨みを逃さないように焼き上げるのはもちろん、タレや生醤油、塩を使い分け、それぞれの持ち味を最大限に引き出す。
厳選されたワインと共に、奥深い味わいをじっくりと堪能したい。
「焼き鳥は食感がすべて」と語る店主の鈴木氏は、10年間勤めた『鳥繁』から独立。日々、日南ひな鶏各部位の旨さを最大に引き出すべく、自ら焼き場に立つ。焼き台に紀州備長炭で温度差を作り、肉質の違う串ごとに最適なポジションで炙り焼き。目は常に客席に配り、余熱も加味して絶好の状態で供するのが身上だ。レバーやささみのレア加減は、生肉愛好家をも唸らせる。
タレは『鳥繁』発祥から続くものを譲り受け、砂糖をザラメに変えるなどアレンジを加えて継ぎ足す。串はもちろん、サイドメニューも必食。珍味・白レバーを甘辛く炒めた一品は、呑んべえ垂涎。
卵がとろける親子丼に、内臓以外の部位を粗挽きしたそぼろ丼も、魅惑の〆メニュー。最後に出される鶏ガラスープの滋味とともにいただけば、究極のジバラ飯となるだろう。
愛らしい店名に、白木を使い清潔感のある明るい店内。店の主役たる焼き鳥もまた、すっきりと上品な印象の佳店だ。
店長の川名直樹さんは、日本料理店での修業を経て、焼鳥の世界へ。そのプロフィールゆえだろうか、一品一品への手のかけ方が実に細やか。
串7本と希少部位のえんがわ焼きが楽しめるおまかせコース4,200円は、「タケイファーム」から届く旬の野菜の先付けから始まるが、たとえばある日は生食用のそら豆と2種類のカブとを盛り合わせに。
彩りも美しく、心を掴まれるプレゼンテーションである。
「野菜は千葉「タケイファーム」より。みずみずしく力強い味わいがみなぎる」
肝心な焼鳥も、また然り。人気の「もも」は、水郷赤鶏の皮を巻き直す際に裏側の余分な脂を外すから、皮はパリっと、身はジューシー。
「手羽」は「お客様が食べやすいように」と骨を外して焼くという妙技も。水郷赤鶏のほか部位によっては大山鶏も使い、それぞれの持ち味を存分に引き出す。
いろいろな部位と大葉、少量の長芋を混ぜた「だんご」も旨みがあふれているし、かじると黄身がとろりと流れだす「うずら」もたまらない。1本1本に思いやりと工夫が光る焼き鳥屋である。
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それだけで日々の疲れが吹っ飛び、至福の時を迎えられることは疑いようがない。
さぁ今宵は、肉の旨みが凝縮され、噛むほどに肉汁あふれる究極の1本を提供する店へいざ!
夢を語り、ビールが進む『佐々木家 源八』
綾瀬はるか、深田恭子ら、数々の著名人の写真集などを手がけてきた実力派フォトグラファー、アンディ・チャオ氏。実はここ『佐々木家 源八』は、アンディ氏が今のようにカメラマンとして活躍をする前、下積み時代に働いていたお店。
「ラジオの有線が流れる気取りのない店内はとても居心地がいいです。そして、いろいろ試したけど僕は今でもここの焼鳥が東京で一番美味しいと思います。職人気質な大将の焼鳥への愛情をとても感じる味わい。海外からの友達もいつも喜んでくれます。僕が特に好きなのはぼんじりとつくねですね」
下北沢という街の喧騒の中、気の置けない仲間と夢を語り合い串をつまめば、ついつい酒も進むというものだ。
女性が一人で飲むジバラ店に間違いなし『ソラナカ』
「手前から、つくね¥157、せせりおろしポン酢¥168、すなぎも¥105。飲んで食べて¥3,000弱が目安というリーズナブルさ。週末は予約必須の人気も頷ける」レバー1本¥80。余りの安さに驚いてしまうが、味は折り紙つき。どれも小ぶりながら、ジューシーな焼き具合、部位に合わせた味付けなど、丁寧な仕事ぶりが一口で分かる。サイズ感も手伝い、次、また次と手が伸びる。
特筆すべきこだわりの調味料は、土佐の海水を太陽光で結晶化させた希少な天日塩「あまみ」。
ミネラル分が豊富に含まれ、ほのかな甘みが舌に残るほど柔らかい。肉の旨みをきっちりとサポートし、食べ飽きさせない魔法を生む。
「せせりと豚バラに山芋を加えているため、独特の弾力を持つ。甘みが強く塩気が柔らかい土佐の天日塩「あまみ」を使用。他の串もすべて小ぶりなので、女性でも20本以上食べる人もいる」
店の最寄駅は豪徳寺。こぢんまりした街の親しみやすさを宿しつつも、赤ちょうちん的居酒屋の騒がしさは微塵もない。
そりゃ、女性のひとり客もちらほらと見かけるわけだ。女性がジバラで飲む店は旨いに決まっている。くつろいだ空気に魅せられ、今日もまた足が向くのだ。
焼鳥×ベルギー麦酒で魅了される 『焼鳥HopDuvel』
「おまかせ6本コース¥1,700。1本1本見極めつつ、炭火を操りながら丁寧に焼き上げる」焼鳥屋らしからぬ店名と外観に興味を引かれる。ここではまず甲斐路軍鶏にこだわる、おまかせ6本コースを推したい。中村農場の甲斐路軍鶏を産地より丸ごと1羽仕入れて、串打ちをする。
銀座『バードランド』で修業した店主・堀晋福氏は、もともと本場の醸造所を訪れるほどの大のビール好き。
そこで現在の店では、焼鳥に合うベルギービールを選りすぐり、相性や好みに応じて提供している。
「焼鳥×ベルギー麦酒で魅了。実りある“元気醸造所”」
樽生3種類、大瓶5種類に小瓶10種類を用意し、レバーにはワイン樽で18か月寝かせた酸味のあるタイプを。
山椒が香る皮には、ホップをふんだんに使った苦みのあるタイプで調和させるなど、一本一本に合わせた提案を行っている。
堀氏はソムリエのように、一歩も二歩も踏み込んだ最高の合わせ技で魅了する。正統派の美味な焼鳥を真っ向から受け止めるベルギービール。感無量だ。
クラフトビールで新鮮なもつ焼きをガブリ 『晴れときどき・・・(ten ten ten)』
「奥から、ゴロゴロつくね串¥400。ボイルして65℃まで芯温を上げて、たれで焼き上げる同店の名物。新感覚の食感とスパイス使いに魅了されること間違いなし。おまかせ3 本¥550。今回はタン、フワ(肺)、レバー」東中野の商店街に2015年3月オープン。 「女性一人でも入りやすいバー」をコンセプトに掲げる『tententen』系列のオーナー布施有美子さんと、もつ焼き屋と中野『焼き貝 久遠』を経た中島雄氏がタッグを組んだ最旬店だ。
「女性が気軽に楽しめるもつ焼き店を」という店内は白木やタイルを配した明るくナチュラルな雰囲気。煙がモウモウと立ち込める赤ちょうちんとは一線を画す。「多彩な部位に繊細な味わい。もつ焼き好きなら存分に謳歌せよ」
もつは新鮮なまま生で仕入れ、部位によっては丁寧な下処理をほどこして調理する。タンカルビ、しきん、フワ、チレなど多彩な部位に、必食すべきはタンを刻んで混ぜ込んだつくね串。
クミンなどのスパイス使いも巧みで、フレンチの肉料理を彷彿させる垂涎の逸品。イタリア風のマリネで仕上げる冷製串を盛り合わせた「もつの冷製プレート」も、前菜にぴったりな是非もの。
美味に寄り添う酒は、アルコール度数高めで香りと味にパンチのあるクラフトビールのIPA(インディア・ペール・エール)に、国産を中心とした自然派ワイン。
ベストマッチなセレクトに、食は進む一方。女性が堂々ともつ焼きを謳歌できる一軒だ。
一度食べたらヤミツキに?会津地鶏の専門店『やき鳥 歩ム』
「右から、さえずり¥230、皮¥270、白子¥350、モモ¥280。器も会津の工芸品」400年以上前から会津地方で飼育されている固有種、会津地鶏。日本唯一の専門店であるこちらでは、羽数の少ないこの地鶏を贅沢にも丸ごと仕入れて提供する。
通常朝締めがよいとされる中、内臓以外の部位はあえて24時間寝かせてから調理。肉が適度に締まり、味わいが増すという。
温度、衛生管理を完璧にこなすことで仕上がる極上肉なのだ。火入れはとにかく時間をかけ、低温でじっくりと。
「濃厚なコクが凝縮された皮には、鶏自体の質が如実に表れる。福島の固有種・会津地鶏を、あえて24時間寝かせてから調理。より締まった肉質と味わいが、鮮烈な第一印象に繋がる」
「一瞬たりともほっておけない」という職人泣かせな肉だが、泣かせるのは職人だけにあらず。
“ひと味惚れ”したと店主が語るように、華やかでいて繊細な脂の香りが鼻腔にえもいわれぬ余韻を残し、人々を感動させる。一度食べたが最後、再会が恋しくなる味なのだ。
濃厚醤油×炭火の香ばしさが食欲をそそる 『神楽坂 鳥伸』
「手前から、手羽先、えんがわ、ささみ、つくね。つくねは一度揚げるなど工夫を凝らす」扉を開けると、気持ちがいい白木のカウンターが目に飛び込む。
激戦区・神楽坂で勝負するため、清潔感のある雰囲気にしたという店主の割鞘伸泰氏。お客さんとの距離が近い、理想の店が形となった。
中でも客が前のめりになる瞬間、それは醤油を使った串が焼かれる時。炭火に炙られた醤油の香ばしい香りで店が満たされる。
「たっぷり肉が付いた膝周りの軟骨。歯ごたえと旨みをいいとこ取りした部位だ。味の決め手は、毎日継ぎ足しされる秘伝の醤油。炭の香ばしさと脂の甘みが食欲をそそる」
日々継ぎ足して使う醤油は、炭のスモーキーなフレーバーと脂の甘みがぎゅっと詰まった唯一無二のもの。
その醤油と相性がよいオススメ串はひざ軟骨。表面を炙り旨みを閉じ込めてから、醤油に浸けて再度焼き、香りを引き出している。
一人でしっぽり味わいたい、そんな深みを感じさせてくれる店である。
焼き鳥とワインのマリアージュを存分に味わう『乃木坂 鳥幸 銀座店』
「右から、血肝、すなぎも、丸はつ、かしわ。大半の串の単品は¥300前後。紀州備長炭で部位の特性に合わせて焼き上げる。単品のほかに鳥幸コース¥6,000なども」山梨の甲斐路軍鶏を用いた焼き鳥と豊富にそろったワインを楽しめる『乃木坂 鳥幸』の銀座店が2013年3月にオープン。
八ヶ岳の雪解け地下水を飲み、トウモロコシなどを食べて育った鶏を使用する点は乃木坂店と変わらないが、ワインのラインナップに幅を持たせるなど、銀座店ならではの楽しみも。
特筆すべきは、串の種類の多さ。ソリレース(もものつけ根)をはじめ、おたふく(胸腺)やちょうちん(腹卵)といった“変わり種”も充実している。
「この希少部位の正体は、もものつけ根部分。よく動かす部分ゆえ肉が締まっており、味も濃厚。 山梨県『中村農場』の甲斐路軍鶏を使用。冷涼な土地で育った鶏の肉は繊細な旨みに富む」
部位の特徴をとらえ、鶏の旨みを逃さないように焼き上げるのはもちろん、タレや生醤油、塩を使い分け、それぞれの持ち味を最大限に引き出す。
厳選されたワインと共に、奥深い味わいをじっくりと堪能したい。
魅惑の〆メニューは究極のジバラ飯『鳥誠』
「上.ささみ(本わさび)、ハツおち、せせりにんにく焼 ねぎ塩炙り下.レバー」「焼き鳥は食感がすべて」と語る店主の鈴木氏は、10年間勤めた『鳥繁』から独立。日々、日南ひな鶏各部位の旨さを最大に引き出すべく、自ら焼き場に立つ。焼き台に紀州備長炭で温度差を作り、肉質の違う串ごとに最適なポジションで炙り焼き。目は常に客席に配り、余熱も加味して絶好の状態で供するのが身上だ。レバーやささみのレア加減は、生肉愛好家をも唸らせる。
タレは『鳥繁』発祥から続くものを譲り受け、砂糖をザラメに変えるなどアレンジを加えて継ぎ足す。串はもちろん、サイドメニューも必食。珍味・白レバーを甘辛く炒めた一品は、呑んべえ垂涎。
卵がとろける親子丼に、内臓以外の部位を粗挽きしたそぼろ丼も、魅惑の〆メニュー。最後に出される鶏ガラスープの滋味とともにいただけば、究極のジバラ飯となるだろう。
1本1本に思いやりと工夫が光る 『こけぴよ』
「料理はいずれもおまかせコース¥4,200より。串は左から、もも、手羽、うずら。ももは一度皮を剥がしてから身に巻き直す、手羽は骨を抜くなど、細かい仕事が光る。うずらは半熟状態のものをタレに漬け込んである」愛らしい店名に、白木を使い清潔感のある明るい店内。店の主役たる焼き鳥もまた、すっきりと上品な印象の佳店だ。
店長の川名直樹さんは、日本料理店での修業を経て、焼鳥の世界へ。そのプロフィールゆえだろうか、一品一品への手のかけ方が実に細やか。
串7本と希少部位のえんがわ焼きが楽しめるおまかせコース4,200円は、「タケイファーム」から届く旬の野菜の先付けから始まるが、たとえばある日は生食用のそら豆と2種類のカブとを盛り合わせに。
彩りも美しく、心を掴まれるプレゼンテーションである。
「野菜は千葉「タケイファーム」より。みずみずしく力強い味わいがみなぎる」
肝心な焼鳥も、また然り。人気の「もも」は、水郷赤鶏の皮を巻き直す際に裏側の余分な脂を外すから、皮はパリっと、身はジューシー。
「手羽」は「お客様が食べやすいように」と骨を外して焼くという妙技も。水郷赤鶏のほか部位によっては大山鶏も使い、それぞれの持ち味を存分に引き出す。
いろいろな部位と大葉、少量の長芋を混ぜた「だんご」も旨みがあふれているし、かじると黄身がとろりと流れだす「うずら」もたまらない。1本1本に思いやりと工夫が光る焼き鳥屋である。
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