Kabacchi
目白とは
各種観光スポット情報などを見ると、西は首都高中央環状線、東は435号線、北は池袋、南は新目白通りに囲まれた範囲、地名でいえば、新宿区中落合・下落合、豊島区目白・東目白・雑司ヶ谷・高田、文京区目白台・音羽くらいまでの界隈を「目白エリア」とひとくくりにしているようです。
目白の魅力
目白というと、“都内でも有名な高級住宅地”というフレーズを目にすることが多いです。確かに、大使館関係者が集中する地域があったり、大正期の洋館の名残を感じる痕跡もあったりします。歴史的に、高級住宅地を計画的に整備していた時代もありますが、現在では、全体的には平均的な都内の住宅地が広がるエリアとなっています。山手線の駅周辺の中では貴重な、閑静な住宅地です。プレイスポットや観光施設の繁華街はあまりありませんが、豊かな住環境を演出する、公園や桜並木などの風景は比較的たくさん見られます。戦時中ほとんど焼失してしまった山手線西側のエリアより、文京区寄りの地域のほうが、歴史ある建物や寺社が多く残っており、街並みを楽しむ散策なら、そちらのほうが発見が多いでしょう。
また、目白1丁目のほとんどを学習院大学とその付属校が占め、周辺地域には有名私立幼稚園等が多いことでも知られています。リッチな文教の町という一面もあり、治安のいい地域です。全体に品のいい瀟洒な雰囲気の街です。
目白の歴史
目白東側から文京区目白台にかけての高台地域
江戸時代、町民文化が花開く江戸の町の郊外に位置し、大名や旗本の屋敷や寺社の多い地域でした。近代には華族や財閥などの上流層の屋敷も多く見られました。昭和7年、北豊島郡の4つの町の一部が東京市に編入され、その際、新たに「目白」という住区ができました。名前は、豊島区高田にある「金乗院」が江戸三大不動のひとつ「目白不動尊」を祀っていることで知られていたことに由来します。戦前の住民は、不動尊を中心とした高台の一帯を「目白が丘」と呼んでいました。豊島区の目白から文京区の目白台にかけての地域です。年配の地元民としては、低地の新宿区エリアは目白地区とは一線を画する感覚があるようです。目白文化村周辺地域
戦時中にほとんどが焼失してしまい、戦後は街を横断・縦断する幹線道路が次々作られました。やがて幹線道路沿いはビルやマンションや商業施設が並ぶようになり、現在の町がつくられていきました。今では戦前を忍ぶ風景はすっかりなくなっていますが、目白=高級住宅地のイメージは、目白文化村の記憶にも起因しています。
目白駅西側地域
目白通りより北側の豊島区目白エリアでは、昭和7年、尾張徳川家の子孫である徳川義親侯爵が大邸宅を構えました。敷地内には西洋館、日本館を中心に、広い庭園、観音堂、温室、講堂、ライブラリー、一族財閥が経営する研究所までありました。国内外から多数の来客があり、寄席や茶席、音楽会などの催し物も度々開催され、賑わっていました。海外からの留学生の滞在も多数受け入れていました。ヘレン・ケラーも来日時にはここを訪問しています。戦後、7000坪の跡地には、庭と駐車場、メイドルーム等備えた外国人用の優雅な邸宅が33件建てられ、外交官など多くの海外セレブが集まり住む「徳川ビレッジ」となりました。外国人専用としているわけではありませんが、一軒あたり家賃月100万円以上の物件ばかりなので、やはり大使館関係者や外資系CEOクラスの皆さまがほとんどです。敷地内の案内は英語表示で、新住民がくると、ビレッジ内のコミュニティで歓迎パーティーなど開催されており、本当にそこだけ外国のプチセレブ住宅地のような町となっています。
目白でできること
商店街やミュージアムや有名な寺社などもありますが、全体的に住宅地メインの地域なので、遊び施設系の観光スポットはあまりありません。所々にある有名な建物や景観のいい場所などを周りながら、落ち着いた街並みの雰囲気を優雅に楽しむ散策スタイルが、このエリアの良さを味わう一番ふさわしい観光の形かもしれません。以下、おすすめの散策例をいくつかあげてみました。ピンポイントスポットについては、次項の「おすすめスポット」でいくつか詳細を追記しておきます。
インターナショナルな雰囲気のある閑静な街並みを歩く
何か遊べるスポットが得にあるわけでもなく、記念写真撮る雰囲気というわけでもない、何にもないに近い住宅地ですが、「閑静な高級住宅地」っぽさを感じてみたかったら、山手線の西側の目白通りより北のエリアを歩くのが、一番イメージに合うでしょう。セレブ住区の「徳川ビレッジ」は、敷地内道路は私有地ですが囲いもなく、地域住民に開かれた街になっています。エリア内には30本以上の桜の大木があり、花の季節にいくととても美しいです。秋に訪れる場合は、東側ゲートから数分の所にある「豊島区立目白庭園」に寄ってみましょう。一年を通して様々な自然を満喫できるようになっていますが、特に秋の紅葉・黄葉の時季の景観の美しさはみごとです。また、南側ゲートの近くには、ロマネスク様式の聖堂が美しいキリスト教の教会「目白聖公会」があります。東京にある32の聖公会の教会の中で、唯一戦前から残る建物となっています。
神仏の杜で緑に癒される
都電荒川線・副都心線周辺の雑司ヶ谷近辺には、江戸時代以前より残る大小の神社仏閣がたくさん見られます。とりわけ「鬼子母神堂」は有名で、秋の御会式等の祭事には区外からも多くの人が訪れ、大変賑わいます。荒川線の隣駅「都電雑司ヶ谷」駅前には、複数のお寺に囲まれて広がる広大な「雑司ヶ谷霊園」があります。夏目漱石や小泉八雲など近代の著名人のお墓がたくさんあることで有名な霊園墓地は、新緑や紅葉の頃の散策コースには最適で、多くの人が訪れています。鬼子母神堂と200~300mくらいしか離れていないので、両方に足を伸ばしてみるのもいいでしょう。また、2010年より、鬼子母神堂を含め、南池袋、目白台を含む近隣エリアの神社で七福神の神々を祀り、「雑司ヶ谷七福神」としてコンパクトに七福神巡りをしよう!という呼びかけが、町おこしの一環として始まりました。いずれも閑静な普通の住宅地の中にぽっと現れる素朴な風格の神社が多く、半日くらいかけてのんびりとお散歩するのによいコースとなっています。
・参考サイト:豊島区観光協会HP「雑司ヶ谷七福神巡り」
趣のある建物や庭園を見て歴史を感じる
文京区目白台近辺の神田川に面するエリアは、まだ幕府が江戸に開かれるより以前から椿の自生する景勝地「つばきやま」で有名な地でした。江戸時代は久留里藩の下屋敷が置かれ、明治以降、屋敷跡は華族らの手に渡って、別邸として庭園などの整備が進み、現在は東京を代表するホテルのひとつ「椿山荘」になっています。椿山荘の庭園は無料で開放され、今も指定有形文化財を含む由緒ある史跡や七福神などのパワースポットを気軽に回ることができます。・参考サイト:ホテル椿山荘東京・庭園案内
近隣も、近代に多くの華族や外国人の屋敷が立ち並んでおり、時代の波を感じる貴重な西洋建築物等も多くありました。戦災で失われた部分もありますが、音羽地区にある鳩山一郎氏の邸宅は、明治・大正・昭和と生き残った建築物です。現在は傷んだ部分を改修して記念館として一般公開されています。
戦火で一度失われた後、再び価値ある建物が再興された所もあります。椿山荘の向かいに建つ、不思議な形の近代建築の建物は、「東京カテドラル関口教会」の「マリア大聖堂」です。貴重な木造ゴチック式の聖堂が空襲で焼け、戦後新たなデザインで再建されました。この建物は真上から見ると大きな十字架のデザインになっており、世界的に知られています。
おすすめ観光スポット
豊島区立目白庭園
街の都市化・国際化が進む中で、より潤いのある街づくりの一環として建設された日本庭園。敷地はそんなに広くはありませんが、四季折々の自然が楽しめる庭園です。都会の喧騒を忘れ、和の雰囲気に癒される空間です。■ 基本情報
- ・名称: 豊島区立目白庭園
- ・住所: 東京都豊島区目白3-20-18
- ・アクセス: JR山手線「目白」駅から徒歩5分
- ・営業時間: 9:00~17:00(7、8月のみ~19:00)
- ・定休日: 毎月第2・第4月曜日、年末年始
- ・電話番号: 03-5996-4810(目白庭園管理事務所)
- ・入園料: 無料
- ・公式サイトURL: http://www.seibu-la.co.jp/mejiro-garden/
目白聖公会
日本聖公会は日本で3番目に大きな協会です。目白聖公会は、2018年に創立100周年を迎えます。この地で初めて布教始めた頃は、病院の建物を改造した集会所で礼拝を行っていましたが、1929年に現在の聖堂が建立されました。奇跡的に戦災を逃れ、街の復興を見守ってきた聖堂です。中世の絵画のように美しいステンドグラスは100年余り前に作られたもので、1985年、イギリスの修道院から寄贈されました。■ 基本情報
- ・名称: 目白聖公会
- ・住所: 東京都新宿区下落合3-19-4
- ・アクセス: JR山手線「目白」駅から徒歩5分
- ・主日礼拝: 日曜10:30~ 聖餐式
- ・電話番号: 03-3951-5010
- ・公式サイトURL: http://www.mejiroseikokai.com/
雑司ヶ谷 鬼子母神堂
法明寺の敷地内にあります。鬼子母神のご尊像は室町時代に発掘され、東陽坊というお寺(後に法明寺に合併)に納められたものです。現在のお堂は、徳川4代将軍家綱の時代に寄進によって建立されました。昭和35年に東京都有名文化財の指定を受けています。古くから安産・子育の神様として、多くの人々の信仰を集めてきました。境内には樹齢700年のケヤキがあります。都電の駅前から続く狭い参道の石畳やケヤキ並木も、代々の住民や行政が大事に守ってきたものです。静かな住宅地の中に埋もれていますが、10月の御会式の時は、狭い道に溢れるように、たくさんの万燈行列が通り、華やかで賑わしい夜となります。■ 基本情報
- ・名称: 鬼子母神堂
- ・住所: 東京都豊島区雑司ヶ谷3-15-20
- ・アクセス:
- 都電荒川線「鬼子母神前」駅から徒歩5分
- 東京メトロ副都心線「雑司ヶ谷」駅1番出口から徒歩5分
- JR山手線「目白」駅または「池袋」駅から徒歩15分
- ・電話番号: 03-3982-8347
- ・公式サイトURL: http://www.kishimojin.jp/
鳩山会館
明治地代から、4代続きで政治家となり、それぞれ政府や国会の主要な役目を担ってきた鳩山家の皆さんの邸宅です。2代目の鳩山一郎氏は、昭和29年から31年まで総理大臣を務め、在任中に保守合同を成し遂げ、自由民主党の初代総裁となりました。邸宅の応接室や居間では、かつて重要な会合なども幾度となく行われ、戦後の政治史の重要な舞台のひとつとなってきた場所です。関東大震災の翌年の大正13年に竣工した邸宅は、当時では珍しい鉄筋コンクリート造りの洋館で、要所で日本家屋の特徴も取り入れられた機能的な建築物でした。鳩山家の功績を後世に伝える記念館として、1996年オープンしましたが、イギリス風の中庭や、日本の風景を描いたステンドグラスなど、美的な建築物としての価値も高いミュージアムとなっています。ドラマのロケにも多く使われており、そちらの人気からも観光客を多く惹きつけています。
■ 基本情報
- ・名称: 鳩山会館
- ・住所: 東京都文京区音羽1-7-1
- ・アクセス: 東京メトロ有楽町線「江戸川橋」駅または「護国寺」駅から徒歩10分
- ・開館時間: 10:00~16:00(最終入館15:30)
- ・定休日: 毎週月曜日 ※祝日の場合は翌日
- ・電話番号: 03-5976-2800
- ・入館料: 大人 600円、65歳以上 500円、障がい者 400円、学生 400円、小中学生 300円
- ・公式サイトURL: http://www.hatoyamakaikan.com/index.php
カトリック東京カテドラル関口教会
カテドラル教会とは、カトリックの教会の教区の中で母教会となる教会で、司教が信徒を教え、導き、司式するための司教座(カテドラ)がある聖堂を持ちます。ここは明治時代からこの地にある由緒ある教会であり、東京教区のカテドラル教会です。戦前の木造の聖堂も、大変貴重な建築でしたが、残念ながら焼失してしまいました。戦後、ドイツの教区の支援や、カトリック教会内外の多くの協力よって再建されました。日本人建築家による新たな設計で昭和39年に竣功しました。特徴的なカーブを描くコンクリートの壁を垂直に近く立てた構造で、外装はステンレス張りとなっています。上から見たら、本当に輝く十字架に見えることでしょう。この荘厳な建物を見ようと、海外から訪れるカトリック信者も多いそうです。日中は特に行事などなければ、自由に入って見学もさせてもらえます。ピエタ像やルルドのレプリカなども見られます。
■ 基本情報
- ・名称: カトリック東京カテドラル教会
- ・住所: 東京都文京区関口3-16-15
- ・アクセス:
- 東京メトロ有楽町線「江戸川橋」駅1a出口から徒歩15分
- JR山手線「目白」駅前から都営バス「(白61)新宿駅西口」行き または
- JR山手線ほか「新宿」駅西口から都営バス「(白61)練馬車庫前」行き で
- → 「ホテル椿山荘東京前」下車徒歩すぐ
- ・電話番号: 03-3945-0126
- ・公式サイトURL: http://cathedral-sekiguchi.jp/
目白へのアクセス
南北にJR山手線が走り、その西側に広がる閑静な住宅地は、2路線の西武線に南北を挟まれています。山手線の東側は、都電荒川線、東京メトロ副都心線・有楽町線などがたてよこに走ります。都内らしく、電車の駅から徒歩で15分以上離れるような場所はありませんが、10分ほど歩くような場所は、路線バスを上手に利用することもできます。目白通りを走ってエリアの東西をつなぐ都営バス(新宿-練馬(白61系)路線バス)は重宝する移動手段となるでしょう。
また、東側エリアには、池袋や上野を起点とする路線もエリア内にアクセスしています。住宅地が多く、狭い道や一方通行規制道路も複雑に入組みます。大型駐車場など近くにない施設も多いので、車より公共交通を利用するほうが動きやすいエリアです。