葵祭という平安時代から続く京都の伝統のお祭りをご存知でしょうか?祇園祭・時代祭と共に京都三大祭の一つとされていて、平安の世から平成にタイムスリップしてきたかのような行列は一目見る価値がありますよ。また、行列以外にも葵祭には様々な見どころがあります。
京都葵祭りは、四月の中の酉の日(現在でいうところの、五月十五日)に行われています。昔は単に「まつり」といえば、この催しのことを指したんですよ。平安時代(弘仁元年・西暦810年)にはじまり、「源氏物語」の中では、この見物をめぐっての、正妻と六条御息所との「車争い」が描かれています。またその時代の双璧といわれる「枕草子」にも登場しています。今回は、優雅で古き王朝風俗の伝統に最も触れられるこのイベントをご紹介します。

葵祭は石清水八幡宮の南祭の対して北祭とも言います。石清水祭・春日祭とともに三勅祭の一つに数えられ、祇園祭が庶民の祭に対して葵祭は貴族の祭、ということですね。日本の祭の中でも数少ない王朝風俗の伝統が残された祭です。

平安時代風の着物に身を包んだおよそ500人が歩く様はそのきらびやかな衣装に圧倒されます。見ている人々は王朝絵巻さながらの行列をカメラに収めています。斎王代が主役と思われがちですが、実は主役は勅使代。源氏物語では光源氏が勅使を勤めていました。

「賀茂祭」が現在のように「葵祭」と呼ばれたのは江戸時代の元禄7年(1694年)。弘仁10年(819年)には朝廷の律令制度として最も重要な恒例祭祀に準じて行うという国家的行事になりました。源氏物語では車争いの10年経過後に光源氏と紫の上が祭り見物する場面が登場します。

賀茂御祖神社(下鴨神社)とともに賀茂氏の氏神を祀る神社でもあります。年2回社報「上賀茂」は発行されています。賀茂別雷大神は賀茂氏の祖神。「別雷」は「若雷」という意味があり、若々しい力に満ちた雷(神鳴り)の神という意味があるそうです。


流鏑馬は雄略天皇即位の年(457年)に「騁射(うまゆみ)」を行ったと「日本書紀」が伝え、「続日本記」では「賀茂祭に民衆を集めて騁射を禁ず」と記されており、どれほど古い歴史を持つのかを物語っています。
ルート上にいれば行列は見られますが、やはり人気のお祭りなので、「人だかりで列が見えなかった…っていうのは嫌だなぁ」「見たいけど混雑はちょっと…」と心配しますよね。
実は行列の閲覧場所の穴場があって、それは下鴨神社から上賀茂神社までのルート沿いにある鴨川からの閲覧です!こちらは比較的混雑の無い場所なので、ストレス少なく行列を楽しむことができますよ。
京都御所からスタートする路頭の儀。その長さは1キロほど。特に混雑するのはスタート地点でもある御所から下鴨神社までの道中と下鴨通り。歩道の狭さもあってかなり混雑します。しかし御所内はかなり広いので早い時間に場所取りすればそれほど気になりませんよ。京都御所と下鴨神社には有料観覧席も設けられます。
葵祭のメインどころであるこの神事はとても粛々とした雰囲気で、平安から続く歴史の重みを感じられます。この社頭の儀を見る際は、閲覧料(下鴨・上賀茂それぞれ5,000円)が必要なのでご注意を。
この神事の他には、舞人が優雅に舞い踊る「東遊び」や、「牽馬(ひきうま)の儀」という社殿の周りに神馬を引き回す儀式もあるので、そちらも一見の価値ありです。
以前までは葵祭は「宮中の義」「路頭の儀」「社頭の儀」という3部構成になっていました。現在では「宮中の義」は行われず「路頭の儀」が注目を集めています。そのために「社頭の儀」は関係者以外の方が知ることが少なくなっています。しかし元々葵祭は勅使が賀茂の神に進物を奉ることがルーツなので「社頭の儀」は祭りの重要部分でもあるのです。
というのも、他の行列参加者はアルバイトだったり乗馬経験者だったりなのですが、この斎王代だけは生粋の京都女性でないとなれないのです。
また、ただの京都女性であれば良いというわけでもなく、先祖代々京都在住のお金持ちのお嬢様がなれるんです。本当のお姫様が、この斎王代に選ばれるんですねぇ…。
今でこそ葵祭の主役といえば斎王代ですが、この斎王代が主役となっての葵祭の歴史はそれほど古いものではないんですよ。長きに渡る葵祭の歴史の中で16世紀はじめの室町期と19世紀中頃の幕末、太平洋戦争末期には葵祭が途切れています。この戦時中から戦後にかけて中断、昭和28年(1953年)に復活、昭和31年(1956年)になって斎王代が登場したのです。
5月3日に行われる流鏑馬神事にはじまり、4日、5日と日によって行われる葵祭の前義。その後15日に葵祭を迎えます。どの神事も葵祭の無事を祈ってお祓いをしたり身を清める、沿道を清める魔除け、葵祭に先駆けて比叡山山麓の御蔭山より下鴨神社に神霊を迎えるなどの神事なんですよ。
走る馬は12頭。どの馬もかっこよくて、一の鳥居から本殿まで一気に勇猛果敢な走りを見せます。目の前を駆け抜ける馬に圧倒されてしまいそうです!この足汰式で、本番の加茂競馬で走る順番や組み合わせを決めるんですね。
馬の能力を見て組み合わせを決めるだけでなく、競馬神事の祈願も行われます。出仕報告などを終えた乗尻が朱色や紫色の三懸(さんがい)で飾った馬にまたがり新苑内の馬場を走り、外幣殿で奉行の判定を受けるんです。
15日の葵祭の神事を前に、斎王代と女人列に参加する女性たちが神社内の御手洗池に手を浸して身を清めるという儀式です。毎年交互に上賀茂神社と下鴨神社のどちらかで行われる行事なので、見物の際はどちらで行われているのか調べるのをお忘れなく(2016年は上賀茂神社)。
葵祭に参加する女性が手を浸すだけの神事なのですが、優美な雅楽をBGMに、清流である御手洗池に手をすっと浸すその姿は神聖そのもの。十二単の斎王代の女神のような姿も美しく、思わず惚れ惚れしてしまいそうです。
この神事では、弦の音で邪気を追い払う「蟇目式(ひきめしき)」から始まり、楼門の屋根を越えて飛ばす「屋越式(やごししき)」、大きな的を射る「大的式(おおまとしき)」、連続で矢を射る「百々手式(ももてしき)」と進められ、中でも百々手式は順々に放たれる矢に圧巻です。
この神事は、平安時代に五穀豊穣を祈願して上賀茂神社で競馬をしたことが由来となっていて、私たちが良く知る競馬とは違う神聖な空気が漂っています。競駈と呼ばれる競争の前に行われる必勝祈願などの神事も見ておきたいですね。
この神事の後に神霊を歓迎する「切芝の神事」というのがあるのですが、こちらでも葵祭の社頭の儀で行われる「東遊び」が見られますよ。そこで神霊を乗せた馬が、幕からひょっこりと顔を出している様子は見ていてほっこりする光景です。
京都葵祭りについてご紹介してきましたが、いかがだったでしょうか?葵祭についての知識や行事、中には裏話もありました。関連神事もあるので、そちらも是非楽しんで葵祭を100%堪能してくださいね!新緑輝く5月に葵祭を楽しんで、平安の世から平成へ続く長い長い歴史を感じれば、日本の良さを改めて感じちゃいますね。
7月に八坂神社で行なわれる祇園会とも並ぶこの催しは、由緒正しい、生きた歴史ともいえる年中行事です。桜の季節が過ぎたこの地には、萌えるような、目にもまぶしい青葉が生き生きと茂り、賀茂川の水はどこまでも清く澄きとおり、現代人の心にどこか痛いような、心地よい郷愁を呼び起こします。古風で優雅な平安の王朝時代に貴方も会いに行ってみてはいかがでしょうか。
京都葵祭りは、四月の中の酉の日(現在でいうところの、五月十五日)に行われています。昔は単に「まつり」といえば、この催しのことを指したんですよ。平安時代(弘仁元年・西暦810年)にはじまり、「源氏物語」の中では、この見物をめぐっての、正妻と六条御息所との「車争い」が描かれています。またその時代の双璧といわれる「枕草子」にも登場しています。今回は、優雅で古き王朝風俗の伝統に最も触れられるこのイベントをご紹介します。
葵祭とは?
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葵祭とは毎年5月15日に下鴨神社(左京区)と上賀茂神社(北区)の開催される例祭。新緑が美しい京都御所から平安貴族装束で総勢500名以上と牛馬計40頭、長さは全長約800メートルにもなる一行が、至るところに飾った葵を優雅に揺らしながら上賀茂神社へ向かうところから祭りは始まります。斎王代を運ぶ優雅な行列が有名で、糺の森で行われる流鏑馬神事が人気の祭事です。正式には「賀茂祭」といい、「源氏物語」や「枕草子」にも登場します。葵祭は石清水八幡宮の南祭の対して北祭とも言います。石清水祭・春日祭とともに三勅祭の一つに数えられ、祇園祭が庶民の祭に対して葵祭は貴族の祭、ということですね。日本の祭の中でも数少ない王朝風俗の伝統が残された祭です。
葵祭の見どころは優美な平安装束の行列
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京都御所から出発し、糺の森を越え上賀茂神社へと続く約8キロの道のりを葵の花と紋様で装飾された行列が練り歩くさまは圧巻です。 平安時代風の着物に身を包んだおよそ500人が歩く様はそのきらびやかな衣装に圧倒されます。見ている人々は王朝絵巻さながらの行列をカメラに収めています。斎王代が主役と思われがちですが、実は主役は勅使代。源氏物語では光源氏が勅使を勤めていました。
葵祭の由来と魅力
http://kyo-seiyu.up.n.seesaa.net/kyo-seiyu/
平安時代(567年)の欽明天皇の頃、激しい風雨で五穀が実らず飢饉が起きました。この水害は加茂の神-賀茂別雷大神(かもわけいかづちのおおかみ)の祟りであるといわれ、大神を鎮めるために馬に鈴をかけ、人に猪頭(ししがしら)をかぶらせ駆競(かけくらべ)をしたところ、風雨はおさまり五穀は豊かに実り民に安泰が訪れたいう話が祭祀の始まりです。江戸時代に今のようにすべてを葵の花と紋様で飾るようになりました。京都三勅祭のひとつとなり、何度か中断されているものの伝統は忠実に守られています。 「賀茂祭」が現在のように「葵祭」と呼ばれたのは江戸時代の元禄7年(1694年)。弘仁10年(819年)には朝廷の律令制度として最も重要な恒例祭祀に準じて行うという国家的行事になりました。源氏物語では車争いの10年経過後に光源氏と紫の上が祭り見物する場面が登場します。
行列が向かうのは世界遺産・上賀茂神社
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上賀茂神社の正式名は「賀茂別雷神社(かもわけいかづちじんじゃ)」です。加茂の神-賀茂別雷大神(かもわけいかづちのおおかみ)が祀られています。世界遺産に登録されています。賀茂御祖神社(下鴨神社)とともに賀茂氏の氏神を祀る神社でもあります。年2回社報「上賀茂」は発行されています。賀茂別雷大神は賀茂氏の祖神。「別雷」は「若雷」という意味があり、若々しい力に満ちた雷(神鳴り)の神という意味があるそうです。
葵祭のクライマックスは流鏑馬神事(やぶさめしんじ)
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葵祭のクライマックスは流鏑馬神事(やぶさめしんじ)です。上賀茂神社の糺の森(ただすのもり)の真中にある全長500メートルの馬場を、平安貴族のような装束姿や武士風の狩装束姿の射手(いて)たちが着飾った馬に跨り疾走しながら、3つの的を射抜くという儀式。馬を走らせながら正確に的を射抜く場面が印象的で、人気の行事の一つです。ys*
(写真)射手のかけ声「イン、ヨー」とは「陰陽」のこと。矢が的中すれば五穀豊穣、祈願成就と言い伝えられている。流鏑馬は雄略天皇即位の年(457年)に「騁射(うまゆみ)」を行ったと「日本書紀」が伝え、「続日本記」では「賀茂祭に民衆を集めて騁射を禁ず」と記されており、どれほど古い歴史を持つのかを物語っています。
■ 基本情報
- ・名称:葵祭
- ・場所:上賀茂神社
- ・アクセス:公共交通機関の場合、京都駅、地下鉄烏丸線北大路駅等より市バス。
- 車利用の場合、名神高速道路京都南インターより約40分。
- 京都駅より約30分。堀川御池より約20分。
- ・公式サイトURL:https://www.kyokanko.or.jp/aoi/(京都市観光協会 葵祭)
路頭の儀の行進ルートとおすすめ閲覧場所
葵祭名物の行列である「路頭の儀」は、京都御所→堺町御門→ 丸太町通→ 河原町通 →下鴨神社→下鴨本通 →洛北高校前→ 北大路通→北大路橋→賀茂川堤→上賀茂神社のルートで行進します。このルートにいれば、間違いなく行進が見られますよ。スタートの京都御所から上賀茂神社までは大体5時間ほどです。ルート上にいれば行列は見られますが、やはり人気のお祭りなので、「人だかりで列が見えなかった…っていうのは嫌だなぁ」「見たいけど混雑はちょっと…」と心配しますよね。
実は行列の閲覧場所の穴場があって、それは下鴨神社から上賀茂神社までのルート沿いにある鴨川からの閲覧です!こちらは比較的混雑の無い場所なので、ストレス少なく行列を楽しむことができますよ。
京都御所からスタートする路頭の儀。その長さは1キロほど。特に混雑するのはスタート地点でもある御所から下鴨神社までの道中と下鴨通り。歩道の狭さもあってかなり混雑します。しかし御所内はかなり広いので早い時間に場所取りすればそれほど気になりませんよ。京都御所と下鴨神社には有料観覧席も設けられます。
社頭の儀も見どころ!
葵祭といえば平安貴族の行進の路頭の儀が注目されがちですが、社頭の儀というのも一目見てみたいところです。これは、行進の途中で訪れる下鴨神社と、行進のゴールである上賀茂神社で執り行われる神事です。この神事は、簡単に言えば天皇からの祝詞が書かれた文章やお供え物を奉納する儀式です。葵祭のメインどころであるこの神事はとても粛々とした雰囲気で、平安から続く歴史の重みを感じられます。この社頭の儀を見る際は、閲覧料(下鴨・上賀茂それぞれ5,000円)が必要なのでご注意を。
この神事の他には、舞人が優雅に舞い踊る「東遊び」や、「牽馬(ひきうま)の儀」という社殿の周りに神馬を引き回す儀式もあるので、そちらも一見の価値ありです。
以前までは葵祭は「宮中の義」「路頭の儀」「社頭の儀」という3部構成になっていました。現在では「宮中の義」は行われず「路頭の儀」が注目を集めています。そのために「社頭の儀」は関係者以外の方が知ることが少なくなっています。しかし元々葵祭は勅使が賀茂の神に進物を奉ることがルーツなので「社頭の儀」は祭りの重要部分でもあるのです。
女性の主役・斎王代に選ばれる女性はただ者じゃない!
この葵祭で、列の中に輿に担がれている一際美しいお姫様のような女性がいるのですが、それは「斎王代」と言って、簡単に言えば皇室から神社に送られる巫女さんとなる女性のことです。この斎王代の女性は現在は選ばれた女性となっているのですが、その選抜基準が凄いのです。というのも、他の行列参加者はアルバイトだったり乗馬経験者だったりなのですが、この斎王代だけは生粋の京都女性でないとなれないのです。
また、ただの京都女性であれば良いというわけでもなく、先祖代々京都在住のお金持ちのお嬢様がなれるんです。本当のお姫様が、この斎王代に選ばれるんですねぇ…。
今でこそ葵祭の主役といえば斎王代ですが、この斎王代が主役となっての葵祭の歴史はそれほど古いものではないんですよ。長きに渡る葵祭の歴史の中で16世紀はじめの室町期と19世紀中頃の幕末、太平洋戦争末期には葵祭が途切れています。この戦時中から戦後にかけて中断、昭和28年(1953年)に復活、昭和31年(1956年)になって斎王代が登場したのです。
当日だけじゃない!前儀も見どころ!
葵祭の日といえば5月15日なのですが、その前にも5月には葵祭の関連神事があります。どれも見物可能ですし、前儀によってはゴールデンウィーク中にあって訪れやすいので、メインである路頭の儀と社頭の儀の前に、この前儀を見ることで葵祭を数倍楽しみましょう!5月3日に行われる流鏑馬神事にはじまり、4日、5日と日によって行われる葵祭の前義。その後15日に葵祭を迎えます。どの神事も葵祭の無事を祈ってお祓いをしたり身を清める、沿道を清める魔除け、葵祭に先駆けて比叡山山麓の御蔭山より下鴨神社に神霊を迎えるなどの神事なんですよ。
加茂競馬足汰式(かもくらべうまあしぞろえしき)
京都市の無形文化財に登録されているこちらの儀式は、5日にある加茂競馬という神事に使う馬を実際に走らせることで馬の能力を見る儀式です。ここでは馬の速さや健康状態を見るだけでなく、実際に馬を操る「乗尻」と呼ばれる騎手の技量も見られますよ。走る馬は12頭。どの馬もかっこよくて、一の鳥居から本殿まで一気に勇猛果敢な走りを見せます。目の前を駆け抜ける馬に圧倒されてしまいそうです!この足汰式で、本番の加茂競馬で走る順番や組み合わせを決めるんですね。
馬の能力を見て組み合わせを決めるだけでなく、競馬神事の祈願も行われます。出仕報告などを終えた乗尻が朱色や紫色の三懸(さんがい)で飾った馬にまたがり新苑内の馬場を走り、外幣殿で奉行の判定を受けるんです。
■ 基本情報
- ・名称: 加茂競馬足汰式
- ・場所:上賀茂神社
- ・日程:5月1日 13:00~
- ・料金: 無料 (有料席500円もあり)
斎王代禊の儀(さいおうだいみそぎのぎ)
葵祭に参加する女性が手を浸すだけの神事なのですが、優美な雅楽をBGMに、清流である御手洗池に手をすっと浸すその姿は神聖そのもの。十二単の斎王代の女神のような姿も美しく、思わず惚れ惚れしてしまいそうです。
■ 基本情報
- ・名称: 斎王代禊の儀
- ・場所: 1年交代で上賀茂神社・下鴨神社のどちらか
- ・日程: 5月4日 10:00~
- ・料金: 無料
歩射神事(ぶしゃしんじ)
弓の行事と言えば流鏑馬が有名なのですが、こちらの歩射神事も一見の価値があります。こちらは、地上で射手が矢を射る神事で、葵祭の沿道を清める安全祈願の儀式です。粛々とした中で白袴や平安時代の衣装を着て弓を射る姿から、ピリリとした空気が伝わります。この神事では、弦の音で邪気を追い払う「蟇目式(ひきめしき)」から始まり、楼門の屋根を越えて飛ばす「屋越式(やごししき)」、大きな的を射る「大的式(おおまとしき)」、連続で矢を射る「百々手式(ももてしき)」と進められ、中でも百々手式は順々に放たれる矢に圧巻です。
■ 基本情報
- ・名称: 歩射神事
- ・場所: 下鴨神社
- ・日程: 5月5日 11:00~
- ・料金: 無料
加茂競馬(かもくらべうま)
「徒然草」などにも記述されたことのある、京都市登録無形民俗文化財にも登録されているこの神事。1日の時とは違う舞楽衣装に身を包んだ乗尻が馬と共に速さを競います。順番や能力を見定めていた足汰式とは一味も二味も違う雰囲気が楽しめますよ。この神事は、平安時代に五穀豊穣を祈願して上賀茂神社で競馬をしたことが由来となっていて、私たちが良く知る競馬とは違う神聖な空気が漂っています。競駈と呼ばれる競争の前に行われる必勝祈願などの神事も見ておきたいですね。
■ 基本情報
- ・名称: 加茂競馬
- ・場所: 上賀茂神社
- ・日程: 5月5日 10:00~(競駈は14:00頃から)
- ・料金: 有料席500~1,000円(柵外は無料)
御蔭祭(みかげまつり)
これは葵祭に先駆けて、比叡山の山麓にある御蔭山から下鴨神社に神霊をお迎えする神事です。この御蔭祭、日本最古の神幸列となっていて、神霊の迎え方も古くから伝わる信仰形態が表れていて、歴史を感じられる光景が広がります。この神事の後に神霊を歓迎する「切芝の神事」というのがあるのですが、こちらでも葵祭の社頭の儀で行われる「東遊び」が見られますよ。そこで神霊を乗せた馬が、幕からひょっこりと顔を出している様子は見ていてほっこりする光景です。
■ 基本情報
- ・名称: 御蔭祭
- ・場所: 下鴨神社
- ・日程:5月12日 9:30~
- ・料金: 無料
京都葵祭りについてご紹介してきましたが、いかがだったでしょうか?葵祭についての知識や行事、中には裏話もありました。関連神事もあるので、そちらも是非楽しんで葵祭を100%堪能してくださいね!新緑輝く5月に葵祭を楽しんで、平安の世から平成へ続く長い長い歴史を感じれば、日本の良さを改めて感じちゃいますね。
7月に八坂神社で行なわれる祇園会とも並ぶこの催しは、由緒正しい、生きた歴史ともいえる年中行事です。桜の季節が過ぎたこの地には、萌えるような、目にもまぶしい青葉が生き生きと茂り、賀茂川の水はどこまでも清く澄きとおり、現代人の心にどこか痛いような、心地よい郷愁を呼び起こします。古風で優雅な平安の王朝時代に貴方も会いに行ってみてはいかがでしょうか。