世界一乾燥した砂漠を襲った大雨が、18年ぶりに起こした”奇跡”とは

荒涼とした砂漠が、一面美しい花畑になった…。そんな童話みたいな話、信じられますか？でも、本当なんです！それも、世界一乾燥している「不毛の土地」で、です。不毛の土地に突如現れた、一面の花々…。一体なぜ、そんな奇跡が起きたのでしょう？

「死への道」と言われるアタカマ砂漠

アタカマ砂漠は、チリのアンデス山脈と太平洋の間にある砂漠で、全体の平均標高は約2,000m。その過酷さから、アタカマ砂漠への道は「死への道」と恐れられています。なんだかすごそう…。

写真を見てみれば分かるように、死の道と言われるのがうなずけるような景色が広がっているんです。草一本も生えていない砂漠。ここにポツリ一人取り残されてしまおうものなら、生き残ることは極めて難しそうですね。

地上で最も乾燥している地域

この砂漠は、世界で最も雨が降らない地域として知られていて、40年間まったく雨が降らなかったことも！お肌が荒れるとか、そんな程度じゃないものすごい乾燥具合です…。

しかしそんな過酷地帯でも、生命は花開く瞬間をじっと待っていたのです……！

本当に乾燥している場所に行ったことがある人なら分かるかもしれませんが、歩いているとすぐ脱水症状になってしまうだけでなく、ものすごく体力を消耗するんです。夏季は気持ちいいですが、それでも身体から水分が奪われていくのが分かるくらい。

洪水が生んだ「奇跡の花園」

な、なんということでしょう！！！ただ荒野が広がっていた砂漠に、見事な花、花、花！今年の3月、アタカマ地方は記録的な豪雨に見舞われました。これによって、地表近くで眠っていた200もの種が一斉に芽吹き、開花したんです…！

さっきの写真では草の一本も生えていなかった荒野でしたが、それが一変。楽園にでも来たかのような景色が広がっています。砂漠にも異常気象で雨がふることがあるんですね。盆地型の高知砂漠という特異な地理条件がもたらした奇跡なんです。

過去18年で最も美しい

このような現象は、アタカマ砂漠では数年に一度おこるそう。特に今年は、過去18年で最も壮観な開花。「グアナコの足」と呼ばれる紫色の花々が所狭しと広がるその光景は、まさに「奇跡の花園」です。

植物と水分は切っても切れない関係。このアタカマ砂漠はアンデス山脈によって湿気が全く遮断されているので、万年乾燥した風が吹きつけているんです。40年間全く雨がふらなかった地域もあるくらいなんです。ちょっと想像を超えますよね。

自然の厳しさと美しさ

大洪水を起こすほどの豪雨では、数千の家屋が破壊されるなど甚大な被害も出ました。自然の脅威は、ときに悲しみを生みます。しかし一方で、人間にこんな美しい奇跡を与えてもくれます。

そんな厳しい環境も時にはほころぶことがあるんです。奇跡的にもたらされた雨は風にのって地面に落ちた花の種を成長させ、そこには一面のワイルドフラワーが。このフラワーリングデザートという現象は、見る人に感動をもたらします。

「世界3大ワイルドフラワー」！

この「奇跡の花園」は、数十キロにも及ぶという規模の大きさから、「世界3大ワイルドフラワー」にも挙げられています。この絶景をひと目見ようと、観光客も多く訪れているとのこと。

このアタカマ砂漠にもたらした大雨、何が原因だったのでしょうか？実はこの年に起こった観測史上最大のハリケーンが原因だったと見られているんです。この異常気象が、大雨を降らせ、地中に眠っていた数々の植物が芽吹いたんですね。

アタカマ砂漠は見どころ満載！

アタカマ砂漠周辺には5000m峰がいくつも連なっており、荒涼とした息を呑む光景が人気の高い地域です。澄んだ空気に包まれた砂漠を、太陽が赤く染める光景はまさに幻想的。

１８年に一度のフラワーリングデザートなら、なかなか見る機会がないじゃない！チリって遠いし、そんな簡単に行けるようなところでもない！というのも分かります。でもこのアタカマ砂漠はフラワーリングデザートがなくても観光できるいい場所なんですよ。

ウユニに次ぐ大きさの塩湖も！

オアシスや塩湖、間欠泉など自然のアトラクションも多くあり、フラミンゴを始めとした多くの野生動物も生息しています。

湖の塩湖は塩分量が極めて高いため、泳ぐと身体が浮いてしまうんです。アタカマ塩湖から２０００メートル上がったところにあるのはミスカンティ湖とミニケス湖。この辺りは乾燥している上に高山気候なので、高山病にならないようにたくさん水を飲んで体調を整えておきましょう。

人間がつくった芸術もあります

な、なんだこれは！？砂漠のど真ん中に、突如として現れる巨大な手。この全長11mの巨大な作品は、92年にチリの彫刻家によって造られた「デザートハンド」。アタカマ砂漠、恐るべし！

地面から天に向けて突き出している宗教チックな手。仏陀の手にも見えなくはない…。地面に強固に埋まっているので、動かすことはできなさそうです。マリオ・イララザバル氏という芸術家によるものだそうですが、それにしても大迫力。

夜は満天の星空

この砂漠は、世界一綺麗な星空が見えることでも有名。まるで宇宙にでも行ったかのような満天の星が見られます。その美しさは、世界中から天文台が集まっていることからも伺い知れます。

星がきれいな場所の標高はなんと２６００メートルもあるんです。夕暮れ、夜空、朝日とそのどれもが良さを持っていて、見る人の心を奪ってしまうんです。また砂漠なので、周りに視界を遮るものがなく、観測できる星の数が多いんです。

どうやって行くの？

日本からは、飛行機でまずチリのサンティアゴへ。そこから国内線でカラマへ移動し、陸路でチリで最古の町、サン・ペドロ・デ・アタカマへ向かいます。

ここはアタカマ砂漠ツアーの拠点となる町。1時間もあれば街全体を周れるこの小さな街には、ホテルやレストラン、お土産屋さんなども充実していますよ。

一度でいいから見てみたい！

ボリビア アタカマ砂漠の朝日。 たまたま現地で知り合った日本人パッカーたちと 「朝日出てるらしいよ？どうする？寒くね？けど見とく？」 「きゃー！寒いー！笑」 「朝日沈むって！急ごう！笑」 とか言いながら見た朝日は綺麗でした☆ pic.twitter.com/vrpyxn4Yog

— じゅん☃11/21渋谷 23公園 ポトレ (@ju_n26) 2015, 11月 5

南アも夢だけど、チリのアタカマ砂漠は珍しくまとまった雨が降って花々が一斉に咲いて今観光ラッシュらしい。

— sae301 (@baranikukaidou) 2015, 11月 1

チリ、アタカマ砂漠：慈雨、いきなり花の絨毯に。RT @libe Que des millions de fleurs tapissent le désert d’Atacama https://t.co/L7DekVVS8F pic.twitter.com/JMvy3wCsY3

— 園丁より (@OuiNorini) 2015, 10月 31

実際に花が咲いていないときにとも、足の下には確かに命が根付いています。生命の息吹を感じに、アンデスの旅へ出かけてみてはいかがでしょう。