Dick Thomas Johnson
東京駅の銀の鈴という名を聞いたことはありますか?構内にこの名の待ち合わせ場所ができたのは、昭和43年のことでした。最初は、東海道新幹線の乗り換え改札前にありました。新たな路線が次々に増え、駅舎は改装を繰り返し、時と共に風景が変化していく中、このスポットも幾度と場所を変えましたが、ずっと利用客に愛され続けています。現在は、中央通路地下にあるショッピングエリアの中にありますが、今も変わらず、色々な人が訪れて様々な時間を過ごしています。
銀の鈴とは?
昭和40年代、東京駅の利用者も混雑も年を追って激増していきました。
当時、関口さんという駅員さんが、混雑してもお客さんが見つけやすい待ち合わせ場所の目印を作ったらどうだろう、ということで、巨大な神社鈴を吊り下げるアイデアを思いついたのだそうです。
以来、八重洲口と丸の内口を繋ぐ駅中央に位置する待ち合わせ広場には、ずっと大きな銀の鈴が飾られています。
現在の鈴のオブジェは4代目で、地下のショッピングエリアの完成に伴い、平成19年に鉄道会館から寄贈されたものです。
待ち合わせ場所に非常分かりやすい場所だとは思いますが、どうして「鈴」でなくてはいけなかったのでしょう。鈴が身近にあるのは神社ですよね、神社は健康などの個人の望みを願って参拝するために多くの人が足を運ぶ場所です。神社に行ったことがない人はいないほどに、日本人には馴染み深い場所にある神社には「神様を呼んで願いを聞き届けてもらう」意味があるそうです。神様を呼ぶように「人を呼ぶ」鈴が待ち合わせ場所に相応しいオブジェとして選ばれたのですね。
銀の鈴の魅力
現在の銀の鈴待ち合わせ場所は、中央通路の地下にある、グランスタというショッピングエリアの中にある広場になっています。多くの路線が乗り入れ、地下の新たな乗り場も増設された駅構内は、初めて来る人には、さながらダンジョンのように感じられます。
以前は、在来線のホームを降りるとすぐの中央通路の延長にあったので、大きな鈴を探してウロウロすれば容易に見つかりましたが、今は地下へ降りないといけないので、構内の案内をよく見ながら進まないとたどり着けません。
が、そうやってわざわざ探してたどり着く甲斐のある、美しい広場です。
広場を取り囲んで、レストランやお弁当、お惣菜や雑貨などのお店が並び、ちょっと早めに着いても十分時間が潰せます。座れる場所もあるので、買い物の合間の休憩場所としても重宝します。
この鈴は、設置当初から昭和53年ころまで駅にやってくる人の憩いの空間としてスピーカーから鈴の音を鳴らしていたそうです。その後は、銀の鈴広場に6か所設置したスピーカーから正午に環境音楽が数分流れており、時報としての機能も果たしています。もしかしたら、鈴の音を待ち合わせ中に聞いたことがある人もいるのではないでしょうか。初めて訪れた人は、迷ってしまい中々たどり着けないかも知れませんが、お昼に流れる音楽に耳を傾けながら鈴を探してみてはいかがでしょうか・
銀の鈴の見どころ
4代目銀の鈴
ガラスケースの中に飾られている鈴は、東京藝術大学学長である金工家「宮田亮平」さんの製作によるものです。近くで見ると、上部の吊り下げるための輪と鈴の中央がイルカのデザインになっているのがわかります。
季節やイベントシーズンに合わせて、毎回異なる装いがされています。
様々な色のLEDライトで下からライトアップされたり、 ガラスケースの表面にデコレーションが施されたりしており、 注意して見ていると、実に多くの表情を魅せるオブジェになっています。
現在の4代目の鈴は現代的でシンプルなものです。その時代にニーズに合わせてデザインされているのも、東京駅を代表する鈴だからなのでしょう。エレガントな雰囲気さえするこの鈴は、ガラス越しに駅を過ぎ去る人や待ち合わせで立ち止まる人を見守ってくれているのですね。待ち合わせだけでなく、東京駅の名物としてこれからも多くの人に愛されていくのでしょう。
足元の古地図
今はなくなった建物や昔の地名など、ずっと見ているといろいろな発見があって飽きません。
古地図のようなものは、現在見ようと思ってみるものではありませんし、興味のない人にはわざわざ調べてまで見る事もないと思います。東京駅が開設されてから、この周辺も随分と建物も変化しています。そんな歴史をちょっとした待ち合わせ時間に見られるにはとてもまれですし、ラッキーな事だと思いませんか?このセンスには脱帽しかありません!!あえて、壁ではなく床に描くことで地図に広がりと想像力を掻き立てさせてくれるのをお見逃しなく!!
竣工当時の駅舎の姿
広場の奥の壁には、丸の内駅舎の古写真が一面に広がっています。こちらも大正3年、竣工当時のものです。新たに建て直された 現在の駅舎が、忠実に当時の姿を再現したものであることが よくわかります。
ドームを備えた大正の創建当時の姿に戻った東京駅。昔のままの赤れんがの建物に、今なぜなのか?と言った声もあったようです。第1次世界大戦が始まった1914年当時は、丸の内側は野原でした。皇居と向かい合うようにイギリスの建築をモデルにした東京駅は、日本の玄関口としてだけでなく近代国家の象徴でもありました。駅とは思えない豪華な造りにすることで、日本の中心部であることを知らしめた意味合いもあります。関東大震災でも崩れる事のなかった東京駅は、日本人の粘り強さや、芯のあるサムライの心をもった日本の象徴でもあるのでしょう。だからこそ歴史的な建築物と言うだけでなく、日本そのものとして現在は当時のままの姿に蘇ったのです。現在の姿と比べてみるのも楽しいですね。
銀の鈴を訪れた人の声
http://www.553110.info/shop598/
待ち合わせ場所に「神社鈴」といういきなりな発想といい。音が出るという奇抜さ(鈴の音は昭和53年までの10年間流れていたという)といい、なんだか「銀の鈴」が好きになってきました。
http://www.excite.co.jp/News/bit/00091111142799.html
■ 基本情報
- ・名称:銀の鈴
- ・住所:東京都千代田区丸の内1丁目9-1 東京駅構内地下1階
- ・利用可能時間:始発から終電まで、東京駅稼働時間内
- ・定休日:年中無休
- ・東京駅施設案内サイト:https://www.tokyoinfo.com/guide/station/ginnosuzu.html
東京駅銀の鈴についてお届けしました。1階の八重洲中央口付近の階段を降りると見えてくるのがこのスポットで、近くにはベンチも設置されていますので、少し休憩することもできます。ショッピングエリアのグランスタ内ということもあり、待ち合わせで使う以外にも、買い物で歩きまわった後に一息ついたり、電車の発車までここで過ごすことができます。まだ一度も行ったことがないという方は、毎日のように多くの人が立ち寄るこの場所に、訪れてみてはいかがでしょうか?