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大崎八幡宮で国宝を見学しよう!宮城県仙台市にある大崎八幡宮は「独眼竜」と呼ばれた伊達政宗公ゆかりの神社で、桃山時代の遺構として大変貴重な事から、社殿は国宝に指定されているほどの名建築です。今回はそんな伝統ある神社の魅力について、その建築の見どころや神社の祭事など、色々とご紹介したいと思います。坂上田村麻呂や伊達政宗公など、社会科の授業でおなじみの偉人と深い関わりのあるこのスポットでは、悠久の歴史に触れることができ、きっと心がリフレッシュしますよ!この他にも貴重な文化財がたくさんあるので、そうした物が好きな方なら一日じっくり楽しめるでしょう。境内の入り口にはちいさなお茶屋もあるので、疲れたら宮城名物ずんだと甘味でひと休み!今回は、そんな観光名所の魅力を紹介します!
大崎八幡宮とは?
それまでは鎮守府八幡宮と呼ばれていたのですが、奥州エリアをおさめていた大崎氏が田尻町(現在の大崎市田尻)へ遷祀したため、大崎八幡宮と呼ばれるようになります。
大崎氏の死後は、伊達政宗公が仙台城の北西側(現在の場所)へ遷しました。明治以降、大崎八幡神社と称していましたが、平成9年に大崎八幡宮に復名し、現在に至っています。
祀られているのは応神天皇、仲哀天皇、神功皇后になります。また、江戸時代の頃仙台で盛んであった卦体神(十二支の守り本尊のこと)信仰に伴って、乾の守り本尊でもある阿弥陀如来とされていました。現在においても、特に戌亥歳生まれの人からの崇敬を受けています。1月14日に行われる「どんと祭」における裸参りで有名な神社でもあります。
大崎八幡宮の魅力
大崎八幡宮の魅力といえば、なんといっても、極彩色の社殿です。豊臣家お抱えの工匠を招き、当時の粋を凝らして造営された社殿は細部まで非常に細かく丁寧に作られており、安土桃山時代の文化を現代に伝える最古にして唯一の建造物としてとても貴重なものです。国宝にもかかわらず間近で見ることができ、黒を基調とした漆塗りの拝殿はとても重厚な趣きです。風雨にさらされて色が薄れたりしていたのですが、平成12年に社殿を解体し修復した際、色彩も当時の色を再現しました。境内には無料のガイドさんがいますので、より詳しく大崎八幡宮を知ることができます。所要時間は20分程度。祈祷以外は社殿に昇れませんが、内部の様子を写真などを交えて丁寧に説明してくれます。
現在の本殿や国宝でもある拝殿は、かの伊達政宗が寄進して建てられたものです。1607年に竣工しており、拝殿と本殿の間を石の間で繋いでいます。これによってそれらが1棟となっている「権現造」形式になっています。石の間のところだけは床が一段低くなっていて、板敷きにされています。是非この豪華絢爛な社殿を見に来てくださいね。
大崎八幡宮の見どころ・オススメポイント
国宝に指定された社殿(拝殿・石の間・本殿)、重要文化財の長床など、文化財がたくさん!
昭和27年に国宝に指定された社殿は、手前にある拝殿と、その奥にある本殿を、石の間で繋いで1棟になっているもので、「権現造り(ごんげんづくり)」形式の建物です。拝殿内には狩野派の絵師、佐久間左京の筆による壁画などがあり、外から壁画の一部を伺い見ることができます。外観は彫り物や鍍金金具で絢爛に装飾が施されています。また、拝殿の手前にある長床(ながとこ)は社殿と同時期に建立されたと推測されており、国の重要文化財に指定されています。建物は割拝殿(わりはいでん)形式とよばれる、通り抜けられる方式の建物となっています。こちらは社殿とちがい素朴な素木造(しらきづくり)で、装飾はほとんどありません。社殿と長床を比べると、造りや装飾などの違いがよくわかります。
社務所、旧宮司宿舎、神馬舎は登録有形文化財になっていますし、選択無形民俗文化財の能神楽は、9月の例大祭で見ることができます。結婚式も執り行っているので、運が良ければ、神式の結婚式の様子や新郎新婦を見ることができますよ。
拝殿のところは入母屋造りで、桁行7間、梁間3間、という構成です。本殿の方は桁行5間、梁間3間となっています。また、「石の間」は両下造りであり、桁行も梁間も1間という大きさですね。とても立派な社殿ですが、かつては、さらに境内に樹齢350年以上というイヌシデの木が植えられていましたが、残念ながら環境が悪化して枯れてしまいました。
祭事の中には有名なものも!
6月には水無月大祓式(一年の半分の穢れを払う祭事。茅の輪をくぐり、延命長寿を祈願する)がありますし、8月には七夕祈願祭(仙台七夕の最終日に、祈願短冊を神前に供える)があります。
例大祭は、9月の中旬に行われます。この際には、流鏑馬神事が奉納される事でも知られています。10月には神嘗奉祭や地久祭、11月には明治祭や七五三祈請祭、また12月には天長祭や大祓式など、1年を通じて大きな行事が執り行われていますね。一年の間、何かしらやっている印象です。多くの神事があるので、訪れる方の数も膨大なものになります。
訪問者・体験者の声
http://www.jalan.net/kankou/spt_04101ag2130012843/
http://www.jalan.net/kankou/spt_04101ag2130012843/kuchikomi/?afCd=&rootCd=&scree…
基本情報
- ・名称:仙臺総鎮守 国寶大崎八幡宮
- ・住所:〒980-0871 宮城県仙台市青葉区八幡4丁目6-1
- ・アクセス:仙台市営バス 10番のりば または 15番のりば 「大崎八幡宮前」下車 循環バス「仙台るーぷる」 「大崎八幡宮前」下車
- JR仙山線 東北福祉大駅から徒歩15分 または 国見駅から徒歩15分
- 自家用車 東北自動車道 仙台宮城ICより約15分
- 駐車場 有(無料)
- ・営業時間:9:00~16:00(閉門17時)
- ・定休日:なし
- ・電話番号:022-234-3606(社務所)
- ・料金: お守り 800円~
- 初穂料 気持ち(5000円~)
- ・所要時間:30分~
- ・オススメの時期:
- ・公式サイトURL:http://www.oosaki-hachimann.or.jp
国宝・大崎八幡宮の祭事についてもっと詳しく知ろう!!
1月14日 松焚祭(まつたきまつり)と「裸参り」
大崎八幡宮の松焚祭(まつたきまつり)は300年続く歴史的行事で1月14日の夜に行われています。お宮の境内のすみにてお正月で用いられた門松や注連縄(しめなわ)などの正月飾りに点火して焼納します。言い伝えでは、この火は「御神火」なので、あたると心と体も一緒に清められるようです。この1年間の無病息災・家内安全を願う松焚祭(まつたきまつり)では数千人の人々がそれぞれ頭には白い鉢巻き、体には白いさらしを巻いた「裸参り」をしますが、この「御神火」のために口には私語を慎む意味の「含み紙」と、右手には鐘、そして左手には提灯を持って歩いて参拝に行くのです。
この機会に仙台の文化を知りたい人は参加してみても良いでしょう。
もともと裸参りは厳しい寒さの時期に酒杜氏が仕込みに入る際、醸造の無事と吟醸祈願のために参拝をしたのが最初だと言います。より自らに厳しい試練を課す代わりに、無事にお酒造りができますようにとお祈りしたのですね。この裸参りは江戸時代中期には定着していたといいますが、それが現在まで祭りの中で続いているのは驚きですね。
6月30日 水無月大祓式
大崎八幡宮の大祓式は1年で2回(6月と12月)あります。特に6月30日の大祓式を「水無月大祓式」と呼び、この半年間の罪穢れをお祓いして残りの半年を清々しく過ごす為に行います。この儀式では形代(かたしろ)を使っての清祓いで、茅の輪をくぐった後に社殿に向かい参拝します。
ちなみに形代(かたしろ)には人の身代わりとなる「人形(ひとがた)」と自動車の代わりになる「 車形(くるまがた)」の二つあります。 人形(ひとがた)には参拝者が自分の家族の名前と年齢を書込み、息を吹きかけ撫でるというもので、車形は車の登録番号を書いておきます。
形代はお正月の松焚祭(まつたきまつり)で「御神火」に焼かれるとの事です。
こちらの神社では、大祓式の参加以外にも、氏子崇敬者が「祈願幟」「殿内調度品」「献木(記念樹)」といた奉納を行っています。希望する人は、直接神社に来て受付をしても良いですし、申込書一式を送ってもらって返信することもできます。記念樹については、寄付をすると表参道芳名板に名前が掲示されます。様々な形で無病息災を祈願するのですね。
8月8日 七夕祈願祭と仙台七夕まつり
8月8日の大崎八幡宮七夕祈願祭は、7月7日の月遅れである8月7日を中日とした仙台七夕まつりの最終日に
行われています。用意された笹竹に願い事を書いた短冊を吊し、ご神前にお供えします。8月7日までの奉納した人は8月8日に祈願してくれるそうです。
ちなみに、日本には古くに「七夕送り」と呼ばれるご先祖祭りの前に行われる禊(みそぎ)があったそうです。飾った笹竹を川や海に穢れを流して、お盆にご先祖を迎えていたようですが、これに天の川の織姫と彦星が登場する七夕伝説が加わって、現在のような「七夕祭」になったという事です。
仙台七夕まつりでは短冊も含めた7つの形の飾り方があり、それぞれの願いが込められるのです。
「雛祭り」「端午の節供」などと同様、この七夕も中国より伝わってきた習慣に日本独自の風習が入り混じっています。中国の乞巧奠というお祭りの影響もあるといわれています。八幡宮に七夕の短冊を奉納されるのは、企業さんや各種自治会、子供会といった団体における七夕行事のものも多いですね。もちろん個人でも奉納できます。短冊や竹は7月1日から境内で準備されています。
8月12日 御鎮座記念祭「雅楽の夕べ」
御鎮座記念祭は慶長9年、伊達政宗によって大崎八幡宮の社殿が造立された事を記念にしたお祭りです。毎年、八幡さんの遷座祭が行われたという8月12日に「雅楽の夕べ」が開催されています。古の夢の宴を見るような、そんな幻想的なひと時を楽しむ事が出来ます。「雅楽の夕べ」ではかがり火が焚かれ、社殿前に設けられた舞台では「青葉の舞」などのお神楽や伶楽舎の演奏する管絃曲が披露されます。夏の夕暮れに奈良・平安朝を偲ばせる舞人とそれを包み込む古代音楽から日本の伝統文化の神髄を体験する良い機会になると思います。
国宝・大崎八幡宮の本領発揮の祭事と言えるでしょう。
この「雅楽の夕べ」は実は最近になって行われ始めたものです。御鎮座が390年記念となった平成8年に初めて開催されています。それからは例年の行事という事で定着しました。神前神楽である「浦安の舞」や御神楽である「青葉の舞」、「其駒-人長舞」などがかがり火に照らされながら幻想的に舞われる姿を美しい音楽が包み込みます。
9月13日 例大祭神幸祭
一年に一度行われる大崎八幡宮の大祭。15日の例大祭に至る神幸祭が圧巻です。500名が随従、行列する大神輿の御巡幸はまさに例大祭の華。荘厳とも華麗ともたたえられる一大祭事です。仙台の鎮守としての大崎八幡宮に関わる全ての人の面目躍如といった所でしょう。お神輿の渡御は、まず午前10時に八幡宮にて出御祭が行われます。次に三之鳥居前にて出幣式を行った後、11時に一之鳥居前から神幸祭が開始します。そうして八幡小学校、国見小学校、レキシントンプラザと巡って午後2時半に再び一之鳥居に到着し、本殿の還御祭をもって終了します。
この神幸祭は絢爛たる桃山絵巻を体現するものとして、伊達政宗の壮大なる気概も感じる事ができるようです。
例大祭自体は9月に入ってから実施されています。鳥居祭やどんとロード幡雀踊り、例大祭献饌式にちびっこまつり、能神楽奉奏、居合道演武、神賑演芸大会などが各日程に開催されています。馬場では、江戸時代より継承されてきた「流鏑馬」を見ることができます。神幸祭はその中でも特に見どころとなり、人出もすごいですよ。
国宝・大崎八幡宮で結婚式を挙げる
仙台市内から離れた静かなこの八幡宮で、豪壮そして華麗な結婚式を挙げるカップルもいます。その内容は
まずは控所から渡り廊下を進んで行って桃山様式を今に伝える国宝の社殿に向かいます。服装は式に相応しい格好ならば問わないようですが、やはり和服となりましょう。
次に本殿ではお祓いをしてもらった後に、巫女さんが神楽の舞を奉じてくれたり、三三九度などの儀式が色々と続きます。指輪交換や参列した新郎新婦両家の皆さんとお神酒も頂きます。そうして、式のあとは社殿の前などで記念撮影をするようです。
国宝神前での結婚の報告は、きっと晴れて夫婦となった事を示す最高の舞台なのでしょう。
挙式をあげる半年前から予定日打ち合わせを開始すれば順当に式が挙げられるでしょう。祭典行事などもあり、打ち合わせ日時がずれることもありますが、うまく日時が決まっていけば3か月前ほどに正式に申し込みができます。ここで社務所に申し込みを記入した用紙を持っていきます。参列する人は特に和服でも洋服でもかまいませんが、礼装である必要はあるでしょうね。
国宝・大崎八幡宮のお札やお守り
御神札
大崎八幡宮では世界平和をご守護くださる天照大神様の御神札や大崎八幡宮の氏神様のお札を頂けます。特に大崎八幡宮神札は戌歳・亥歳生まれの人々を守るお札として広く授与されているとの事です。ちなみに仙台市民の方全員は八幡様の氏子なんだそうです。
お札は各家庭の神棚におまりつしますが、古くは仙台藩主の伊達政宗をはじめ、城下町の人々を支えてきました。現代に至っても仙台市民を見守っている鎮守・大崎八幡宮のご神徳をわけてもらえます。
お守り
大崎八幡宮のお守りは開運、合格、学業成就、厄除けなど多くの種類があります。中でも桐の箱に納められた病気平癒のお守りと、同じく桐の箱に入った安産守袋は特別みたいです。お守りを通して大崎八幡宮としっかり結びついておけば安心でしょう。また、キティなでしこ守とか、ベカルタ守護や楽天守護など、変わり種とも思えるお守りもあり、これらは戦いを守護して来た八幡らしい現代風のものと言えるかも。
国宝・大崎八幡宮の御朱印帳と扇
御朱印帳とは
神社などに参拝した時にもらえる朱印を集めるための帳面、御朱印帳。これを用いる巡礼者の方にとってはかなり大事なもののようで、各地域に出かける時の必須のアイテムにもなり得るようです。大崎八幡宮の御朱印帳は黒地糸に金糸をあしらって国宝社殿を表した贅沢なものですね。ちなみに朱印は印に神社やお寺の名前が入っています。そこで、お札やお守りなどのような扱いが求められるので朱印を集めた御朱印帳は神棚とか仏壇においている人が多いそうです。
扇
扇は古くから日本にあったもので、夏の暑さに対して涼をとるためのものと、祭事用として穢れを祓うためのものとがあったそうです。扇面には観賞用のものとして絵や和歌を書き、贈答にしたり神仏に献上
していたそうですが、大崎八幡宮の扇には国宝の社殿と祭典の様子が描れています。
左から順に松焚祭の様子、次に国宝大崎八幡宮の御社殿、次に例大祭に奉奏される能神楽、最後は例大祭神幸祭となっています。
大崎八幡宮の魅力、伝わったでしょうか?大崎八幡宮は地元仙台の人からは「大崎さん」の愛称で親しまれているそうです。表参道から社殿に向かうとその雰囲気に心も落ち着く神社であるとの評判で、さらには社殿は大変立派で威厳ありとの事です。きっと今も伊達政宗の息吹が残っているのでそう感じるのではないか思います。
安土桃山時代の文化を色濃く感じさせる社殿を見ながら、当時の生活に思いを馳せるのも楽しいものですよ。あまり歴史に詳しくないという方でも、ガイドさんが丁寧に説明してくれるので、疑問に思ったことはなんでも質問してみましょう。松焚祭などの行事の際にはまた違った表情を見せてくれるので、気に入った方は何度も訪ねてみるのも良いかもしれませんね。まずは自分だけの魅力を見つけに行ってみてはいかがでしょうか?