Andrea Schaffer
奈良公園の奥にある春日大社。今回ご紹介する「春日若宮おん祭」は、春日大社で800年以上続く伝統のお祭りです。奈良公園が一年で最も盛り上がるお祭りの三日間、一体どんなことが行われるのでしょうか!?春日若宮おん祭とは
http://www.sei.co.jp/president_blog/2011/12/post_267.html
春日若宮おん祭は、春日大社の若宮神社に祀られている「若宮様」という神様のために、毎年12月16日~18日にかけて行われるお祭りです。若宮様は春日大社の本社に祀られている第三殿天児屋根命と第四殿比売神の子どもにあたる神様で、この春日若宮おん祭も「稚児」と呼ばれる子どもを前に様々な芸能を奉納するという形式になっています。https://wakasa15thfd.wordpress.com/2014/12/18/%E6%98%A5%E6%97%A5%E8%8B%A5%E5%AE%…
簡単に言うと「まだ子どもである若宮様のために楽しいことをいっぱい見せてあげよう!」というのがこのお祭りの目的になっているというわけですね。といってもこのお祭りで行われる芸能は本格的なものばかり。1136年に関白・藤原忠通がこのおん祭りを始めて以来800年以上に渡って途切れることなく行われてきた、日本の伝統芸能を凝縮したお祭りがこの春日若宮おん祭なのです!春日若宮おん祭の見どころ
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三日間に渡って行われる春日若宮おん祭には見どころがいっぱい!中でも「これは絶対見ておくべき」なイベントをピックアップしてみました。遷幸の儀(一日目)
http://wanosuteki.jp/place/%E6%98%A5%E6%97%A5%E5%A4%A7%E7%A4%BE%E8%8B%A5%E5%AE%A…
春日若宮おん祭の一日目、深夜0時から行われる遷幸の儀は若宮様を「御旅所」というおん祭り専用スペースにお連れする儀式です。春日大社の中から奈良公園の中央部にある御旅所まで街灯などの灯りを一切消し、松明の灯りだけで若宮様をお連れします。神職の人々が放つ「ヲーヲー」という声と松明の火の粉が散らばる道は非常に幻想的で、まさに今目の前を「神様がお通りになられている」という実感が不思議と湧き上がってきます。
暁祭(一日目)
お渡り式(二日目)
https://wakasa15thfd.wordpress.com/2014/12/18/%E6%98%A5%E6%97%A5%E8%8B%A5%E5%AE%…
「おん祭といえばコレ!」という方も多いのではないでしょうか。お渡り式とは、このあと行われる若宮様への奉納に携わる人々が奈良県庁前から御旅所に向かって時代行列をするイベントです。現代の街並みの中に伝統芸能の衣装の人々や大名行列が通る様はなんとなく不思議な感じ。着物を自然に着こなした行列の人々にはさすが!というしかありません。各行列の前には旗持ちの人がおり、どういった団体の行列なのかが分かるようになっています。
松の下式(二日目)
お渡り式の途中、春日大社の「一の鳥居」そばにある影向(ようごう)の松の下で行われるのが松の下式です。このあとに行われる御旅所祭のプレイベントとでも呼ぶべきでしょうか、一刀彫の大きな帽子が特徴の田楽や稚児流鏑馬、宝蔵院流槍術の演武などが白い頭巾をかぶった「稚児」の前で行われます。稚児流鏑馬や白頭巾の稚児を担当しているのは、小学校低学年くらいの少年たち。かなり幼い年齢の子どもたちですが、神事に携わっているだけあって堂々とした風格を感じさせてくれます。
御旅所祭(二日目)
御旅所祭は春日若宮おん祭のクライマックス!午後3時半から夜の11時近くまで、様々な芸能が御旅所にいる若宮様の前で奉納されます。御旅所祭で奉納される芸能は多岐に渡り、まさしく日本の伝統芸能と呼べるようなものばかり。日が暮れてあと、舞台両脇の大きな太鼓が光に照らされて闇に浮かび上がる姿はこの世のものとは思えない空間!その中で行われる数々の芸能を見ていると、タイムスリップをしたかのような気持ちになれますよ。
奉納相撲(三日目)
https://www.youtube.com/watch?v=hmvfksIDKcw
二日目の夜に春日大社へと戻った若宮様ですが、春日若宮おん祭はこれで終わりではありません!三日目の午後1時からは御旅所の南側にある特設土俵で奉納相撲が行われます。非常に寒い12月の奈良ですが、奉納相撲は大盛り上がり!子どもたちの部から成人の部まで、本格的な相撲を楽しむことができます。春日若宮おん祭りで見られる伝統芸能
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暁祭や松の下式、御旅所祭などおん祭のあらゆるシーンで見られる伝統芸能。色々ある中からいくつかをご紹介致します!田楽
この帽子、まさにメガ盛り!?両手で支えていないとかぶっていられないほど大きなこの花笠は、奈良の伝統工芸である一刀彫で作られた帽子です。田楽は特殊な楽器を用いて演奏される曲と共に舞を奉納するもの。能の大家である世阿弥もこの春日若宮おん祭で田楽を見て感動したという記録が残っているそうです。
神楽
二日目に行われる御旅所祭で最初に行われるのがこの神楽。巫女の方々が榊などの神具を持って舞う伝統の舞で、社伝神楽とも呼ばれています。ゆったりとした雅な動きが美しい舞です。東遊
東遊は駿河(現在の静岡県)に天女が舞い降りて踊ったという故事からできた、関東が起源の舞だと言われています。おん祭で東遊を舞うのは4人の子どもたち。「子どもが舞う」というのは非常に珍しいそうですが、これもまだ子どもである「若宮様」に奉納するからこその特徴かもしれませんね。細男
筑紫(現在の福岡県)の海岸で老人が「細男を舞うと磯良という人が海から出てきて干珠、満珠の玉をくれるだろう」といった故事から出来た舞がこの細男です。この「磯良」という人物が貝殻で顔を覆っていた、という物語の内容からか、舞を踊る人の顔には白い布が垂れ下がっています。日本の芸能史の中でも非常に珍しい舞で、神秘的な雰囲気を感じさせてくれます。
蘭陵王
蘭陵王は中国から伝わったとされる舞で、他の舞とは異なり大陸文化的な雰囲気を醸し出しています。蘭陵王は中国の武将の名前で、いつも恐ろしい面をつけて戦っていたのだとか。そんな人物をテーマにしているだけに、他の舞よりも勇壮な雰囲気のある舞となっています。納曽利
納曽利は別名「双龍舞」とも呼ばれる舞で、龍をモデルにした面をつけて舞う舞楽となっています。先にご紹介した蘭陵王とセットで舞うのが通例で、春日若宮おん祭では松の下式で行われる競馬によってどちらを先に舞うかを決めています。能・狂言
日本の伝統芸能の代表ともいえる能と狂言は三日目の奉納相撲のあとに行われます。能が二番、狂言が一番という組合せは毎年同じですが、行われる演目はそれぞれの年によって違うので毎年来ても飽きることはありません!お昼に行われるので、比較的温かく見やすいのもうれしいですね。春日若宮おん祭りの詳細情報
それでは最後に、春日若宮おん祭へのアクセスと詳細情報をご紹介します!公共交通機関でのアクセス
春日若宮おん祭が行われる奈良公園の御旅所への最寄駅は近鉄奈良駅です。奈良国立博物館のすぐ裏が御旅所になっています。JR奈良駅を利用する場合は三条通りを抜けるとお祭りの出店を楽しむことができます。車でのアクセス
車でのアクセスは名阪国道の天理ICを利用するのが便利です。駐車場は特に用意されていないため、近隣の有料駐車場を利用しましょう。ただし春日若宮おん祭の当日は駐車場が混み合うほか、お渡り式の最中には交通規制もあるので注意してください。■ 基本情報
- ・名称: 春日若宮おん祭
- ・住所: 奈良県奈良市登大路町
- ・開催日程:毎年12月16日~18日
- ・電話番号: 0742-22-7788
- ・料金: 無料
- ・公式サイトURL: http://www.kasugataisha.or.jp/onmatsuri/
地図はこちら
伝統芸能というと敷居が高い感じがしますが、春日若宮おん祭なら無料で好きなだけ見られるのがうれしいですね!基本的に全て立ち見となるほか、12月の寒い時期のお祭りとなりますので防寒対策はしっかりと行っていくようにしましょう。
春日若宮おん祭の三日間、日本の伝統芸能を堪能しちゃってください!