峠駅と聞いて、皆さんはどんなイメージをお持ちでしょうか。山形県にあるこの地は、鉄道ファンの間では聖地と呼ばれ、今では車で来る観光客もいる人気の場所です。古い昔ながらのたたずまいをそのまま残し情緒のある、一度は訪れたいスポットです。そこで今回は知っておきたい基礎知識をまとめてみました。乗り入れ路線から周辺の見どころまでご紹介しますので、是非最後までお読みくださいね。人気の温泉なども登場しますので、ご期待ください!
峠駅とは?
「峠(とうげ)駅」は、山形県米沢市大字大沢字峠にある、JR東日本(東日本旅客鉄道)の無人駅。
奥羽本線内の最高標高地点にあるこの駅は冬には雪が多いことから古くから倉庫のような「スノーシェッド」と呼ばれる雪囲いの中にあり、ホームへも昔の「スノーシェッド」駅跡を通って行きます。
文字通り、峠にあります
福島駅から山形県と秋田県を経由して青森駅へと到着する「奥羽本線」は、山形県内の区間は「山形線」の愛称で親しまれてます。「峠駅」は福島方面から米沢盆地へと抜ける山越えの峠にある駅です。その名の通り、峠にあるから峠駅というんですね。峠駅は奥羽本線内においてもっとも標高が高い位置にある駅です。実はこの駅、鉄道ファンの間でも名の知れた駅なんですよ。
鉄道ファンに人気の理由
峠駅の魅力の理由はといいますと、先ずひとつ目に「4駅連続スイッチバック駅」であったことが挙げられます。スイッチバック?聞きなれない言葉ですよね。スイッチバックっていったいなんなのでしょうか?
スイッチバックの名残の駅舎
スイッチバックとは、急な山の斜面を列車が進行するために、鋭角的に進行方向を切り返しながら傾斜をのぼる鉄道線路のことをいいます。この峠駅は冬は豪雪地帯であり交通の難所です。吾妻連峰の険しい斜面が切り立つ山越えの峠ですので、旧来の蒸気機関車で走行するには厳しい個所もありました。その峠を安全に走行できるよう、峠駅を含む前後の四駅をスイッチバック方式の線路で結び、交通の難所を無事に抜け、米沢の町へと到達していたのでした。
スイッチバックは山形新幹線の開通に伴い廃止されましたが、その遺構は駅構内や近辺各所に残されてます。それらを見学に訪れる鉄道ファンも多いです。
味わいのあるスノーシェッド
峠駅の駅舎は木造のスノーシェッドで覆われています。山小屋のような安心感を感じるデザインのスノーシェッドは山間の風景に溶け込み、趣もたっぷりでいい感じですよね。豪雪地帯特有の情緒も感じられ旅心をくすぶられます。是非とも旅の写真に収めたい風景ですね。駅舎にあるスノーシェッドは、もともとスイッチバックの機構を雪から保護するための設備だったのですが、スイッチバック廃止の際にこの場所にプラットホームが移転され、日の目を見て使用されるようになりました。夏場は涼しくひんやりとして、なんだか落ち着く独特の空間ですよ。
峠駅名物「力餅」の売り子
峠駅の名物と言ったら「峠の力餅」が有名ですよね。古くからの名物で、現在の駅舎でも列車が到着するたびに駅売りさんが売り歩いている光景が見られます。列車が停車するわずかな時間内で、きびきびと売り歩く駅売りさんは熟練の手際の良さです。楽しい旅の光景ですよね。スイッチバック駅の頃は停車時間も長くのんびりと買い物できたんですが、最近は停車時間も短いので機敏に売り歩いてます。ホームでの立ち売りは、8:30~18:10まで行なってます。
峠駅名物「峠の力餅(10個入り1,000円)」、峠駅を通過の際にはおひとついかがですか?
秘境駅
峠駅は非常に秘境感があります。奥深い山奥に囲まれた無人駅は野鳥の声が響き、渡り生い茂る木々が風に揺らぐ静かな音に包まれた、とっても空気の美味しい場所です。駅近郊随所に残る古い時代の残り香が心の深い処に訴えかけてくるような不思議な望郷心を憶えます。山間を散策しながら、通り過ぎる列車を眺めたりスイッチバック遺構を散策したりするのは、心おだやぐやすらぎの時間です。かつてのホームに、蒸気機関車時代の賑やかな面影を探してみるのも興味深いかもしれませんね。ちょっとした廃墟感も楽しめますよ。
なお山中ですので蜂や蛇も出現することもあります。散策の際はくれぐれもご注意くださいね。
乗り入れる路線
「峠駅」にはJR東日本の奥羽本線が乗り入れている。
- 奥羽本線(下り)「山形・新庄方面」
米沢まで普通で約17分
米沢から乗り換え:山形まで普通で約50分/山形新幹線で約40分
米沢から乗り換え:新庄まで山形新幹線で約80分
始発 7:45 終発 21:37 (1日6本・米沢行きのみ運行)米沢から乗り換え:山形まで普通で約50分/山形新幹線で約40分
米沢から乗り換え:新庄まで山形新幹線で約80分
- 奥羽本線(上り)「福島方面」
始発 7:35 終発 20:58 (1日6本)
「峠駅」の詳しい時刻表はこちら↓
http://www.jreast-timetable.jp/timetable/list1040.html
「峠」といえば「力餅」!
「峠駅」の名物は「峠の力餅」。
こしあんが入ったの優しい風味のお餅です。
明治34年(1901年)から峠駅で販売され続けている伝統と歴史のある「峠の力餅」。
ホームに電車が入ると、停車中のわずかな時間で「峠の力餅」を販売する、峠駅名物の立ち売りが始まります。
峠駅の「峠の力餅」は駅のそばにある本家・峠の茶屋が販売しています。
峠の茶屋・最上屋
峠駅を出てスグのところにある「峠の茶屋・最上屋」は、参勤交代の時代から峠の茶屋を営んでいるそうです。初代店主が鉄道工事に参加する傍ら、同僚たちに振る舞っていた大福餅が評判を得て、駅開業の際に初代峠駅駅長から餅販売許可を得て、以来変らず駅名物として力餅を販売しているそうです。店内では「山菜入りお雑煮餅(850円)」や「ミックス餅(850円)」など懐かしくも美味しい山形の餅料理やそばなどを食べることができます。スイッチバックや蒸気機関車時代のノスタルジックな写真が飾られた店内は、なだらかな時間が流れている独特の雰囲気です。古き良き時代の面影を探しに訪れる方も多いそうですよ。
■ 基本情報
- ・名称: 峠の茶屋・最上屋
- ・住所: 山形県米沢市大沢848
- ・アクセス: 峠駅より徒歩1分
- ・営業時間: 日の出から日の入りまで
- ・定休日:
- ・電話番号: 0238-34-2301
- ・料金: 2,000円以内
- ・公式サイトURL: http://www.togenochaya.com/
1日の駅利用者数
「峠駅」の1日の平均乗車人数は約15人。(降車人数含まず)周辺観光スポット
秘湯 滑川温泉
峠駅から宿泊者のみの送迎あり約20分(要予約)/ 峠駅から徒歩約1時間滑川温泉に1件の福島屋の自然にかこまれた昔ながらの温泉。
お湯は全て源泉掛け流しで、乳白色の濁り湯。
温泉通も唸る極上の湯質 「福島屋」
開湯250年といわれる、大自然に囲まれた秘湯です。雰囲気満載の温泉は極上の湯質で多くの温泉通を唸らせてきました。温泉は、岩露店風呂と桧露天風呂、混浴内風呂と女性用内風呂があり、時間割によって入浴時間が区切られてます。硫黄の匂いが強く、効用が体に浸み込む感じがして湯上り後も体のポカポカが続きますよ。昔ながらの自炊湯治も出来ますよ
こちらの温泉宿はかなりの秘湯です。近郊には民家もなく大自然と温泉を楽しむにはもってこいのお宿ですよ。その泉質は極上ゆえ湯治客も多く自炊滞在する設備もあります。日帰り入浴もできますので、是非一度こちらの温泉に訪れてみてくださいね。道中細い道もありますので、くれぐれも安全運転で気を付けてくださいね。尚冬季は道が閉ざされてしまうため営業してません。
■ 基本情報
- ・名称: 滑川温泉 福島屋
- ・住所: 山形県米沢市大沢滑川15
- ・アクセス: 国道13号より板谷経由 / JR奥羽本線 峠駅(宿泊の場合は送迎あり)
- ・チェックイン: 14:00 (最終チェックイン:21:00) ・チェックアウト:11:00
- ・営業期間:4月下旬~11月上旬(冬季休業)
- ・電話番号: 0238-34-2250
- ・料金: 1泊2食付9,600円~ / 自炊2,500円~
- ・日帰り入浴:大人500円 / 子供250円 9:00~16:00
- ・公式サイトURL: http://www.namegawa-fukushimaya.com/index.html
秘湯 姥湯温泉
峠駅から宿泊者のみの送迎あり約40分(要予約)/ 峠駅から徒歩約2時間周りを山や岩で囲まれた自然そのままの露天風呂が人気の1件宿、桝形屋。
山あいにある古くからの風情ある旅館でお湯は全て源泉掛け流しで、乳白色の濁り湯。
開湯室町時代の秘湯中の秘湯「桝形屋」
コチラの温泉は開湯が室町時代という非常に伝統深い温泉宿です。現在の当主は17代目というから驚きですよね。標高1,300mの人里離れた静かな渓谷の大自然に囲まれて、野趣あふれる湯浴みを満喫できますよ!青みがかかった独特の色合いの温泉は硫黄の匂いが立ち込め、新緑紅葉に時期は美しい四季の景観も楽しめます。温泉好きなら一度は訪れておくべき秘湯です。日帰り入浴もできますのでぜひ訪れてくださいね。なおこちらの温泉も道中足場が悪い個所が多いので、車での訪問の際はお気をつけて!
■ 基本情報
- ・名称: 姥湯温泉 桝形屋旅館
- ・住所: 山形県米沢市大沢姥湯1
- ・アクセス: 峠駅より当館送迎車にて25分 要予約
- ・チェックイン: 15:00 (最終チェックイン:19:00) ・チェックアウト10:00
- ・営業期間: 4月下旬~11月上旬 (冬期休業)
- ・電話番号: 090-7797-5934
- ・料金: 平日宿泊12,400円 休前日宿泊13,000円
- ・日帰り入浴:大人 600円 子供 300円 9:30~15:30
- ・公式サイトURL: http://www.ubayuonsen.com/guide/
滑川大滝
滑川温泉のすぐそば。日本の滝100選にも選ばれた、滑川大滝は、落差100mほどの美しい滝。
周りのブナ林などの木々に囲まれ、新緑や紅葉などの季節は特におすすめ。
■ 基本情報
- ・名称:JR峠駅
- ・住所:山形県米沢市大字大沢字峠
- ・営業時間:始発から終発
- ・電話番号:050-2016-1600(お問い合わせセンター)
- ・公式サイトURL:https://www.jreast.co.jp/estation/station/info.aspx?StationCd=1040
峠駅の知っておきたい基礎知識をまとめてみましたが、いかがだったでしょうか。秘湯とよばれる温泉や、そのすぐそばにある滑川大滝など、見どころがたっぷりでしたね。力餅の立ち売りも見逃せません。ほかにも、新緑のシーズンにはトレッキングなどもおすすめですよ。鉄道ファンならずとも、一度は訪れていただきたいところばかりです。興味のわかれた方はチェックしてみてくださいね。次の旅行は是非、この山形の穴場スポットへお越しください~!