鎌倉の紅葉の見ごろ＆名所をご紹介。ライトアップもキレイです。

東京から電車で約1時間ほどで行くことができ、一年中様々な植物の鑑賞が楽しめるエリアとして知られてきました。海と山に囲まれた豊かな自然と温暖で過ごしやすい気候、そして美しい景観を持つ「古都鎌倉」。中でも紅葉の素晴らしさを味わえるスポットの多さでも定評があります。

古来より貴族の間で嗜まれた雅やかな趣味「紅葉狩り」。四季と自然を愛で美しむというこの文化は禅文化と相まって、現在でも「日本的で風流な嗜み」として残ります。多くの歴史の登場人物や数々の文人も愛した「鎌倉の紅葉」を有名な寺・神社からハイキングコースまで、豊富なシチュエーションを体感できるスポットまで、改めてご紹介します！

■鎌倉の紅葉シーズンは、いつ頃？

鎌倉の紅葉の見ごろは11月中旬くらいから12月の中旬くらいまでです。

鎌倉は温暖な気候なので東京などより紅葉は遅めの傾向にあります。また起伏の多い土地柄、場所によって色付く時期に差があります。鎌倉の中では円覚寺は比較的早めに、鎌倉宮や長谷寺や瑞泉寺、そして獅子舞の谷などはちょっと遅めに色づくようです。スポットによっては12月の下旬まで楽しめる箇所もあります。

■最低気温10度が続くようになったら、紅葉狩りの計画を！

紅葉は朝の最低気温が8度を下回ると進んでいきます。鎌倉の最低気温が10度が続く目安は11月の勤労感謝の日前後。そこから12月頭～中旬くらいが最盛期といわれています。その年の気候や樹木のご機嫌によって頃合いは異なります。それも含めての紅葉狩りを楽しみましょう。

■紅葉スポット①お寺や神社で楽しむ！

鎌倉各所にある古刹名刹は絶好の紅葉スポットです。美しい自然と歴史的建造物が融和した景観は、禅の心得を体現した表現でもあります。その姿は心に梁を与えてくれ、凛として生きる美しさを説いてくれているようです。晩秋そして初冬の香り立ちこめる澄んだ空気を想いっきり吸い込んで、思い思いに古都を散策しましょう。

東慶寺

鎌倉の紅葉の定番、旧駆け込み寺「東慶寺（とうけいじ）」。本堂の前の紅葉の木が特に見事と有名。澄んだ空気の境内で、色付いた落葉樹は参拝客の目を楽しませてくれます。紅葉だけでなく春の梅の花や梅雨のアジサイの花も有名。四季を通して美しい庭園が楽しめる古刹です。

紅葉の見頃は11月下旬から12月下旬。

鎌倉宮

大塔宮護良親王をお祀りする神社「鎌倉宮」。紅葉の美しさは鎌倉でも指折りの名所です。紅葉の見頃は12月初旬から下旬と比較的遅めでも楽しめるようです。ハイキングも兼ねて近郊の瑞泉寺や獅子舞の谷と合わせて訪れてはいかがでしょうか。

鶴岡八幡宮

鎌倉の象徴として親しまれている鶴岡八幡宮も、秋には色づいた木々に境内を彩られます。

シンボルでもあった樹齢千年を超える大銀杏の巨木は2010年に強風で倒壊してしまいました。現在は再生に向け新たな希望の芽を伸ばし、明日へと力強く生命を繋いでいます。

長谷寺　（はせでら）

四季折々の花木に彩られた鎌倉の西方極楽浄土と謳われる「長谷寺（はせでら）」。紅葉の時期は朱に色付いたもみじが優しくお出迎え。和み地蔵でほっこり♪

見晴台からの景色は必見！由比ケ浜、そして眼下に広がる鎌倉の町を一望することができます。妙智池に映った紅葉も綺麗です。

明月院　（めいげついん）

あじさい寺という名でも知られる「明月院（めいげついん）」の紅葉も非常に美麗。本堂にある満月を模った円窓からとても雅やかな奥庭を覗く事ができるます。

この奥庭は梅雨のアジサイの時期と、花菖蒲の咲く時期、そして秋の紅葉の時期にのみ一般公開され立ち入ることができます。
 ■紅葉スポット②ハイキングコースで楽しむ！ 鎌倉は山も身近にあります。

紅葉狩りは自然散策でもあります。ちょっと長い距離を歩いてみませんか？四季の移ろいを感じながら鎌倉の山中を散策しましょう。澄んだ空気の美しい自然の中を歩くのは解放感に包まれ心躍ります。ハイキングコースも整備されてますので、お寺巡りと合わせて四季を体感しましょう。

獅子舞の谷

天園ハイキングコース内にある「獅子舞の谷」は鎌倉の北の山間にある紅葉の穴場的名所です。山道を40分ほど歩くと一面黄金色に色付いた銀杏が生い茂る場所に出ます。大地一面に落葉した銀杏の葉はまるで黄金色の絨毯のよう。神話のような、大変神々しい雰囲気です。

さらに山道を先に進むと天園の見晴台に着きます。壮大な色付く山の景観を眺めることができます。

■紅葉スポット③鎌倉五山

禅宗最高格付の五大寺「鎌倉五山」は、鎌倉の魅力が凝縮されたスポット。鎌倉らしい風贅や景観がじっくりと楽しめます。歴史的な建造物と合わせて色めく紅葉を満喫しましょう。

建長寺

鎌倉五山の第一位に位する日本最初の禅寺「建長寺」。建長寺の紅葉は境内奥の塔頭(たっちゅう)のひとつ「龍峰院」から、境内最奥の半僧坊へ向かう半僧坊道付近に多く見られます。豊かな自然と融和した歴史的建造物は訪れるものの心の奥に響く凛とした美しさです。

「鎌倉アルプス」とも呼ばれる鎌倉北部の尾根道を歩く「天園ハイキングコース」も組まれています。

円覚寺

禅の心得今に伝える名刹「円覚寺」。近郊の山も含め一帯は国の史跡になってます。
茜色に染まった風景は、日本女性のような奥ゆかしきも可憐な雰囲気漂います。境内は広く、歴史的建造物や仏殿などの見どころも数多くあります。紅葉の見ごろは11月中旬から12月下旬となっています。

寿福寺

源氏のルーツといわれる寿福寺は、鎌倉五山で最も古い歴史をもつ寺。現在境内は一般公開されていませんが、総門から中門までの石畳の参道を散策することができます。

茜色に染まる木立の静謐で凛とした佇まいに、心静かに癒されます。

浄智寺

素朴な自然に囲まれた静かな古刹「浄智寺 （じょうちじ）」は1283年に創建されました。境内は国の史跡に指定されています。また源氏山に続くハイキングコースも通ってます。

北鎌倉駅近郊はお寺や自然に囲まれたのどかなエリアで散策するのが楽しいエリア。歩いてみるのも楽しいです。

浄妙寺

足利義兼（よしかね）創建の古刹「浄妙寺（じょうみょうじ）」の紅葉も見事。特に裏山からの景観は必見で、本堂前景を視界に収めることができ、前方には茜色に染まる衣張山も望めます。
境内には洋館を改装して作られたカフェ＆ベーカリーレストラン「石窯ガーデンテラス」も併設されてます。自然酵母の焼き立てパンやパスタランチをいただくことができます。

■ゆっくり紅葉を楽しみたい！穴場鑑賞スポット

山と海に囲まれた豊かな自然を持つ鎌倉は、まだあまり知られていない紅葉スポットもあります。
今回はこっそりとちょっとだけ穴場スポットもご紹介しちゃいます‥‥♪

鎌倉文学館

旧侯爵前田侯の別荘として建てられた「鎌倉文学館」は静かな高台にあります。三方を山に囲まれ、眼下に海を望むたいへん眺めのいい洋館です。

秋の彩りの中の洋館は文学的な佇まい。バラが咲き誇る庭園も美しいです。秋バラの見頃は11月の下旬まで。紅葉と合わせて楽しみましょう。展覧会も随時開催中。（有料）

瑞泉寺（ずいせんじ）

「瑞泉寺（ずいせんじ）」は「花寺」とも呼ばれ、その名の通り鎌倉でも隋一の花の寺として知られています。ウメ、スイセン、サクラなど、四季折々の花が咲き誇り参拝客の目を楽しませてくれます。また瑞泉寺周辺の谷戸一帯の地名は「紅葉ヶ谷」と呼ばれ、古くから紅葉の名所であった事も偲ばせてくれます。

例年落葉樹が色づくのは遅めで、見頃は12月上旬から12月下旬です。

源氏山公園

標高93mほどの小高い丘「源氏山公園」は桜や紅葉の名所です。源頼朝の先祖義家が後三年の役での挙兵の際、勇ましく源氏の白旗を立て戦勝を祈願したという由来のある公園です。近郊一面美しい自然が広まってるので散策にもオススメです。

■鎌倉で唯一！紅葉ライトアップスポット【長谷寺】

2015年の紅葉ライトアップは11月21日(土)～12月6日(日)まで！

長谷寺では、紅葉の見頃である11月下旬から12月上旬の期間、閉館時間が延長されライトアップされた紅葉を楽しむことができます。闇の中、朱に浮かび上がるモミジは昼とは異なる妖艶な表情を見せとても幻想的です。

必見！境内の池に映る「逆さ紅葉」

夜風に波ゆらぐ妙智池の面に映るもみじは、万華鏡の如く美しさです。来る冬に備えた自然の神秘を垣間見ることができます。

■まだまだあります！鎌倉にあるとっておきの紅葉スポット

毎年訪れても回りきれないほど、鎌倉には隠れた紅葉名所がありすぎます。メジャーなスポットを制覇したら、ぜひ訪れてほしい場所をお教えしましょう。

佐助稲荷神社

鎌倉幕府を開いた源頼朝が、伊豆に流されてから頼りにしていた稲荷神を祀っている佐助稲荷神社。稲荷神の助言に従ったおかげで征夷大将軍にまで上り詰めたことにあやかり、建立したのが始まりです。いくつもの赤い鳥居をくぐり、何段もの階段を越え、拝殿にたどり着けば、頼朝のように出世した気分に。

春はシャガ、初夏はイワタバコ、初秋は曼珠沙華など、小規模ながら種々の花鑑賞を楽しめるスポットとしても知られてきました。秋になれば、赤い鳥居と幟に負けない真っ赤な紅葉が拝殿を囲む風景を堪能できます。12月上旬まで素晴らしい紅葉の世界が見られる年もあるため、貴重な名所の一つです。

海蔵寺

海蔵寺は、年中観光客でごった返す鎌倉駅周辺の喧騒を通り抜け、源氏山公園を越えると見えてきます。ちょっとしたウォーキングのつもりで向かえば、境内で咲いている四季折々の花々が疲れを癒してくれるでしょう。住職による手入れの行き届いた庭は、全国津々浦々の花好きの憧れでもあるのです。

秋の主役である紅葉の見ごろは11月下旬から12月上旬。境内だけでなく、門前通りから紅葉のトンネルは始まっています。その鮮やかな色づきに、足並みがいつの間にかゆっくりと進み、時の経つのも忘れそう。思いの外、至るところに紅葉が見られます。本堂の裏や鐘楼脇など隅から隅まで歩いてみるのがポイント。

浄光明寺

時には陰になり日向になり鎌倉幕府を支えた北条氏、遠く京都で武家政治を引き継いだ足利氏と縁のある浄光明寺。中世に建立された寺院でありながら、建物や収蔵品の保存状態が良いことから国の指定重要文化財になっているものもあります。

11月下旬から12月上旬が見ごろの紅葉も特筆すべきポイント。阿弥陀堂、網引地蔵など、当時の雰囲気が色濃く残る遺跡が見られる中で、真っ赤に色づいた紅葉を鑑賞すれば、鎌倉時代にタイムスリップした気分にひたれるでしょう。季節により、紫陽花、萩や曼珠沙華などを求めて訪れる人々も後を絶ちません。

白旗神社

白旗神社は、関東地方、中部地方を中心に点在します。その一つである鎌倉市の法華堂跡にある白旗神社は、源頼朝の墓があることで有名です。有名武将にしては、意外と質素で小規模な墓石ですが、だからこぞ味わいがある魅力が広がり、隠れた人気スポットとなりました。

11月下旬になると、墓の周辺は、頼朝の情熱的な魂がよみがえったかのように紅葉が色づき、一段と華やかになります。社殿の横にある巨大なイチョウの木がはっきりと黄色に変わるのも自慢の一つ。紅葉の赤とイチョウの黄のコントラストが同時楽しめる欲張りなエリアです。

杉本寺

鎌倉時代を更に遡り、奈良時代に行基が建立した杉本寺。近隣にある鎌倉時代に創建された寺院とはケタの違う貫禄があります。すり減った石段に生える苔の緑の深さ、年季の入った本堂の茅葺屋根など、長い歴史が随所に見られるのです。

石段を両脇から覆うように色づく紅葉、門前沿いを流れる滑川沿岸に立ち並ぶ紅葉の見ごろは11月下旬から12月上旬。同じく歴史を刻んできたイチョウの大木とともに色づく秋を静かに盛り上げています。冬を乗り越え、春を迎えるためのエネルギーを養う自然の姿を楽しんでくださいね。

報国寺

金沢街道エリアに佇む報国時は、約1000本以上もそびえ立つ迫力満点の孟宗竹の林で知られた名所です。青々とした竹林からの木漏れ日、小鳥のさえずり、竹の葉音が、極上の癒しを与えてくれます。真夏に訪れれば、天然のエアコンのような澄んだ空気を浴びることができるでしょう。

高くそびえる竹林と、11月下旬から12月上旬が見ごろの紅葉が織りなす、緑と赤のハーモニーは圧巻。庭園の木々との紅葉もとてもカラフルで味わい深いのです。鐘楼の裏に立つ大きなイチョウの木となされる黄と赤の競演もお見逃しなく！

妙本寺

鎌倉駅から東へ向かって徒歩圏内にある妙本寺。日蓮宗で一番古い寺であり、鎌倉幕府初代将軍だった源頼朝の乳母を務めた一族比企族が開きました。北条氏との権力争いに敗れた比企族の生き残りが、日蓮聖人に屋敷を献上したのが由来。

同じ鎌倉エリアの紅葉スポットより遅れて色づくことで知られており、見ごろは毎年12月上旬から中旬。見逃してしまっても、諦めず妙本寺まで足を伸ばしてみるのをおすすめします。境内はとても広く、緑に恵まれており、天を仰ぐ紅葉も石畳に落ち広がる紅葉の絨毯もフォトジェニックです。

安国論寺

安国論寺は、深い緑と起伏のある地形で知られる松葉が谷を境内に持ちます。鎌倉駅から海岸方面へ歩いて20分ほどかかるためか、花見の全盛期でも思ったほど混雑しない穴場スポットとして知られてきました。参拝しているだけでハイキング気分になれるのは、富士見台からの眺めを堪能すればより実感可能。

本堂を守るように覆いかぶさる巨大なカエデ、門前脇に佇むイチョウの木とともに秋を彩る紅葉は、11月下旬から12月上旬が見ごろです。カエデのやさしい赤、イチョウの陽気な黄は、朝日でも夕日でもお互いの個性を生かしながら、更に輝きを増します。

鎌倉大仏

鎌倉大仏は、家族でのお出かけや、近隣の幼稚園生から関東近郊の高校生までが遠足など必ず訪れるメジャー観光地として君臨してきました。波乱万丈な日本の歴史を見守ってきた有り難い姿を崇めたり、胎内見物を楽しんだり、お土産を買ったりするのも良いですが、たまには境内の自然にも目を向けてみませんか？

イチョウの木も大仏様の脇では寄り添うように鮮やかな黄色に染まっています。観月堂や長与専斎碑に美しく被さる紅葉、紅葉越しの大仏様など、いろいろな紅葉スポットが境内で見られるのです。見ごろは、11月下旬から12月上旬。暖かい服装で大仏様と紅葉のツーショットを楽しんでください。

長寿寺

鎌倉駅周辺を回りきったら、次は北鎌倉駅エリアを制覇したいもの。臨済宗建長寺派の境外埠頭である長寿寺は、足利尊氏とゆかりがあり、遺髪が納められている墓も残存しています。長い間非公開でしたが、本堂の新築工事が完了してから、季節や時間を限定し公開が実施されてきました。

毎年11月下旬から12月上旬になると、境内のところどころが色づき始め、違った魅力を楽しむことができます。観音堂近辺のカエデの紅葉やイチョウの木が黄色に染まる様子は、目を見張るものがあると好評。本堂や書院に入ることもできるので、畳に座ってゆっくりと鑑賞するのもおすすめ。

まとめ

紅葉狩りとは、自然と共存しながら四季の刹那や美しさを愛でる雅やかな嗜み。日本人の心の中にある、大切な情景のひとつなのではないでしょうか。

ここまで神奈川県の鎌倉周辺で鑑賞できるとっておきの紅葉スポットを紹介しましたがいかがだったでしょうか？どこも由緒ある歴史的背景を持ち、ゆかりのある有名人のエピソードも知ることができるのが魅力です。紅葉の時期以外にも、季節による自然の移り変わりを体感するだけでなく、ご自分だけのより深い味わい方を見つけてみてくださいね♡