比叡山延暦寺(ひえいざんえんりゃくじ)、貴船神社(きふねじんじゃ)、哲学の道、平安神宮、下鴨神社(しもがもじんじゃ)。京都にはたくさんの紅葉の名所がありますが、永観堂(えいかんどう)は別格だという声も少なくありません。
京都の左京区にあり、空海(=弘法大師)の高弟である僧都・真紹(しんしょう / しんじょう)によって建立されました。学問がさかんで、そのうえ千年以上のいにしえから「秋はもみじの永観堂」と呼ばれ、紅葉の名所として知られる永観堂。そんな永観堂の魅力をまとめてみました。
永観堂とは
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永観堂(えいかんどう)は、正しい名前を禅林寺(ぜんりんじ)と言います。京都市左京区にある浄土宗西山禅林寺派総本山の寺院としていますが、市民の人も観光客も通称の永観堂で呼び親しんでいます。 masato_photo
永観堂とは1040年頃に寺に入った永観という高名な僧にちなんでつけられた名前です。永観は人々に念仏を勧め、また、禅林寺内に薬王院を設けて、病人救済などの慈善事業も盛んに行ないました。そんな永観を人々はとても愛していたのでしょうね。ちなみに、このお寺「永観堂」は一般的には「えいかんどう」と読みますが、お寺のもととなった高僧「永観」という僧の名は「ようかん」と読むのが正しいとされています。同じ漢字、同じ人物が由来なのに、ちょっと不思議な感じがしますね。また禅林寺は2つの国宝とあまたの重要文化財を所蔵していたことでも有名です。国宝の2つ、「金銅蓮華文磬(こんどう れんげもん けい)」および鎌倉時代の仏画「絹本著色山越阿弥陀図」は、東京国立博物館に寄託されています。
永観堂の魅力

http://blogs.yahoo.co.jp/sshoko0313/18891454.htm
日本語には「錦秋(きんしゅう)」というきれいな言葉があります。時候の挨拶にも使われる言葉で、「紅葉が錦の織物のように美しい秋」という意味です。永観堂の紅葉は、まさに錦の織物さながらに美しいです。桜と紅葉はそれこそ古代から、日本人の美意識を刺激してきました。桜と紅葉が題材となった文学作品、美術工芸作品は数えられないほどあります。かの紫式部『源氏物語』にも、「紅葉賀」という章があります。
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見逃せないね!3つのポイント
ここで、永観堂を訪れた時には見逃したくない3つのポイントを紹介しますね!見返り如来
永観堂の本尊である阿弥陀如来は少し変わっています。正面を向いておらず、すこし斜め後ろを振り返る様な姿勢。これは、実は阿弥陀如来が、念仏を唱えて行道する永観と歩こうとしました。思わず永観が驚いて立ち止まってしまうと「永観遅し」といって振り返った時の儘だからと言われています。阿弥陀如来は静けさと穏やかさに満ちた表情をしていますね。この像は、平安時代末期、12世紀後半の作とされています。この種の「みかえり阿弥陀」の作例は、この永観堂のものが日本では最古とされています。ところで禅林寺、通称「永観堂」のホームページには、毎月「今月のみかえり」として色紙が紹介されています。ホームページでバックナンバーも読むことができますよ。
水琴窟

http://blog.livedoor.jp/mcsen27/archives/1000967699.html
すいきんくつ、と読みます。岩の中に空洞があり、その中には水がたまっています。そこに、ぽたりぽたりと落ちる水滴がまるで琴の様に美しい音色を奏でる構造になっています。京都では幾つかの庭やお寺にあり、特に永観堂の音色は美しいと評判です。水琴窟も最近では内部のメンテナンスができるようになったものや、水が途切れることなくずっと流れているものになったものや、様々な試みがなされているのですが、やはり京都のお寺には伝統的な水琴窟が似合います。水琴窟は江戸時代に庭園の設備として作られはじめ、明治時代にはよく作られました。一時期は廃れましたが、1980年代に入り、再びマスコミに取り上げられ、注目を集めるようになりました。
紅葉のライトアップ
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永観堂では、秋の紅葉が美しくなってくると夜間に特別拝観を行います。ライトアップされた紅葉の美しさは美しく、寒さを堪えて多くの人が足を運びます。永観堂では毎月11月に寺宝展が開かれます。多くの貴重な文化財を見ることができます。それと同じ11月に夜間の特別拝観も始まります。昼は寺宝を楽しみ、夜はライトアップされた紅葉を楽しむのはいかがでしょうか。紅葉のライトアップばかりではなく、永観堂こと禅林寺では様々なイベントが行われます。ホームページでチェックできますよ。ツツジなど庭園の美しい写真も見ることができます。
口コミ、あつまれ!
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https://www.tripadvisor.jp/Attraction_Review-g298564-d479881-Reviews-Zenrinji_te…
基本情報
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■ 基本情報
- ・名称: 禅林寺(永観堂)
- ・住所: 〒606-8445 京都府京都市左京区永観堂町48
- ・アクセス: JR京都駅から市バス5系統で「南禅寺永観堂道」下車、徒歩3分。
JR京都駅から市バス100系統で「東天王町」下車、徒歩8分。 - 地下鉄烏丸線「京都」から、「烏丸御池」にて地下鉄東西線六地蔵方面行き乗り換え、「蹴上」下車、徒歩15分。
- 京阪電車「三条」から市バス5系統で「南禅寺永観堂道」下車、徒歩3分。
- 京阪電車「神宮丸太町」から市バス204、93系統「東天王町」下車、徒歩8分。
- ・拝観時間: 午前9時~午後5時(受付は午後4時で終了)
- ・定休日: 無休
- ・電話番号: 075-761-0007
- ・料金: 大人600円 小・中・高校生 400円
- ・公式サイトURL: http://www.eikando.or.jp/index.html
というわけで、禅林寺(ぜんりんじ)、通称「永観堂(えいかんどう)」の紹介でした。紅葉の名所が多い京都においても、その名はひときわ有名です。
また、紅葉の名所としてのイメージが強かっただけに、学問が盛んであったことや、国宝や重要文化財など、貴重な品々が収蔵されていることなど、「永観堂(えいかんどう)」について新しく、色んな魅力を知った、という方もいらっしゃるのではないでしょうか?
「永観堂(えいかんどう)」の成り立ちなどの歴史や由来に触れることで、境内の趣の感じ方や、見え方がずいぶんと違って来る様にも感じますね。紅葉の美しい色彩も、より一層深みを増すように感じます。
特に、夜間、暗闇とのコントラストが美しく映える時間帯の鑑賞がおすすめです。ぜひ紅葉を観に行かれる際には、夜間、庭園がライトアップされる期間に行ってみてください。
素材提供:トリップアドバイザー