その気持ち、手紙にしませんか？宛名のない手紙を運ぶ「漂流郵便局」がステキです

未来の自分、今は亡き人、大好きなモノ。そんな人やモノへの行くあてのない想いを綴った手紙を、預かってくれる場所があるんです。その名も「漂流郵便局」。香川県三豊市、瀬戸内に浮かぶ粟島で、毎月200通以上もの手紙が届き続けているんですよ♪

3年間で届いた手紙は１万5,000通以上!?

「漂流郵便局」は、1991年まで実際に使われていた旧粟島郵便局の一部を改装して誕生しました。2013年の開局以来、行くあてのない手紙を漂流郵便局留めという形で預かってくれています。届く手紙の数は増え続け、その数なんと３年間で１万5,000通以上!!

実はプロジェクト型の現代アートです

「漂流郵便局」は、本当の郵便局ではありません。芸術家の久保田沙耶さんによって、2013年の瀬戸内国際芸術祭に出品された、プロジェクト型と呼ばれる現代アート作品なんです。そのため、この国際芸術祭の舞台の１つである粟島にあるんですよ。

一ヵ月限定だったはずなのに、今でも開局しているそのわけは？

「漂流郵便局」の開局期間は、実は芸術祭に合わせて一ヵ月間の予定でした。予定を変更せざるを得なかった理由は、期間が過ぎても、毎月200通以上の想いのこもった手紙が寄せられ続けたためなんです！その結果、2016年の現在でも第二・第四土曜日の13:00～16:00に開局しています。

その笑顔にファン多し！迎えてくれるのは元局長さん!?

郵便局が開いている間、いつも温かい笑顔で迎えてくれるのが、局長の中田さん♪中田さんは、旧粟島郵便局で実際に郵便局長だった人なんですよ。もう一人の局員さんは「漂流郵便局」の産みの親、芸術家の久保田沙耶さんです。運が良ければ久保田さんにも会えるかも!?

パンフレットには今日の消印を押してくれます♪

建物の中に入ると、局長から「漂流郵便局」のパンフレットをもらえます。しかも、来場した日の消印を押してくれるんですよ♪パンフレットをもらったら、さらに奥に入ってみてください。本来局員さん達の作業スペースだった場所には、私書箱やアート作品が展示されています。

しつらえの一つひとつもアートです

「漂流郵便局」は、旧粟島郵便局という建物、いく宛のない手紙を保管するというコンセプト、更に建物内のいたるところにあるモノや展示品まで、そこにある全てを含めてアート作品です。手紙を出した人なら出した瞬間から、来場した人ならこの場所に足を踏み入れた時から、もう作品の中なんです。



石、ガラス片といった粟島に流れついた漂流物が、オブジェとしてずらりとならんでいます♪



久保田さんの作品「惑星機」という装置。光を乱反射させて幻想的な空間を産み出します。

届いた手紙は”漂う私書箱”の中で保管されています

届いた手紙は、ブリキ缶の私書箱に保管されています。ピアノ線で吊られて揺れるブリキ缶は、本当に宙を漂っていよう。整然と並べるのではなく、漂よわせるという保管方法が、「漂流郵便局」ならではですね。来場者は、ブリキ缶から自由に手紙を取り出して読むことができます。

八角形の台座は回転するんですよ！まわすと缶が触れ合いさざ波のような音がします♪ 

夜の建物内の様子。「惑星機」がつくりだす幻想的な光を、私書箱のアルミ缶が受けて更に幻想的です♪もはや手紙は、時間も空間も超えた世界を漂っているかのよう!?

行き場のない想いがあるなら、手紙にしてみませんか？

自分も書いてみたくなりませんか？手紙を出す方法は、直接「漂流郵便局」に持っていくか、漂流郵便局宛に手紙を出すかの二通り。出した手紙は返却されないのと、著作権は久保田さんに譲渡するという形になるのでご注意を。

書くときはハガキで！封筒だと一番最初の人だけに開封するという作業がありますが、ハガキならいつでも読む人は同じ状態なので、ハガキでお願いしているそうです。

手紙の数だけドラマがあります

「漂流郵便局」に届いた手紙には、その数だけドラマがあります！中には、涙無しには読めないものも。実際の手紙を手にとって読んでみたい方は是非、現地へ。その手紙は、あなた宛かもしれませんよ。