Norio NAKAYAMA
京都の街のあちらこちらで見られる京町屋。「杉本家住宅」は、商家や仕舞屋(しもたや:住居専用の町家)に見られる、京格子を建て、虫籠窓(むしこまど)を開く典型的京町家です。古民家好きには垂涎の建物ではないでしょうか。内部は撮影禁止になっていることから、直接自分の目で確認する他ありません。だからこそ見る価値があるといえます。京町家の佇まいをしっかりの自分の目に焼き付けて下さい。
1.「杉本家住宅」とは?
主屋は1864年禁門の変に伴う大火で焼失したのち、明治3年第6代当主により上棟され現在に至っています。建物は京都市指定有形文化財に指定、庭は国指定名勝に指定されています。
2. どんな魅力が?
何と言っても典型的な京町家の構成を保っているということです。主屋は表屋造りの形式を備え、京格子、出格子、大戸、犬矢来、土塗りの虫籠窓など、一般的民家よりかなり大きく、杉本家(奈良屋)が大店であったことを彷彿とさせます。庭は明治から大正にかけて整備されたもので、京都の気候にあった、その配置の機能性に驚かされます。
3.見どころ
建物
見所はやはり、建物そのものでしょう。外観はさることながら、内部も「門口(かどぐち)」(通りに面した玄関)から奥へまっすぐに伸びる通路には、台所、洗い場、風呂、庭と続く配置は、生活と商売の空間としての機能的な連続性が保たれています。また、昭和になって洋間も作られアールデコ調の内装は見る者を異空間へと誘います。
庭
芸術的にも一見の価値は十分にあります。国指定の名勝となっています。ぜひ建物とともに庭の素晴らしさを味わってみましょう。
所蔵品
豪商であった「奈良屋」には、多くの古文書や、西本願寺の直門徒としての役割から、年中行事や冠婚葬祭に用いられてきた什器などがよく保管されていて、江戸から明治にかけての民俗資料、工芸資料としても高く評価されています。年に3回特別公開時には、季節・行事に合わせた展示品を公開し、祇園祭では「屏風祭」で貴重な屏風が公開されます。
4.口コミ
実は伯牙山の会所は重文の杉本家住宅の店の間です。建物自体が貴重なので、隅々までご堪能下さい。また別の入口からは祇園祭り期間中に更に奥に入れます。有料拝観になりますが、文化財保護の為にご協力下さい。#京都クネクネ pic.twitter.com/2ip4pQ055s
— 京都クネクネ (@kyoto_qunequne) 2015, 7月 17
京都 祇園祭 伯牙山 重要文化財の杉本家住宅がお飾り所となります。 pic.twitter.com/8igqPDbHei
— 京からす (@KYOKARASU) 2015, 7月 14
5.詳細
■ 基本情報
- ・名称: 杉本家住宅
- ・住所: 京都市下京区綾小路通新町西入矢田町116
- ・アクセス: 京都市地下鉄烏丸線「四条駅」から徒歩約5分
- ・見学:特別一般見学コース (完全予約制)
- 予め日を定めて開催しています(実施日はHPに掲載)
- ・時間:コース開催日の午前(10:30~12:00)、午後(13:30~15:00)(各日2回)、各回定員2名以上20名まで
- ・料金:一般1500円、高校生以下800円(維持会員は無料)
- ・電話番号:075-344-5724
- ・公式サイトURL: http://www.sugimotoke.or.jp/
江戸期に活躍した呉服商「奈良屋」その本店を今に伝える「杉本家住宅」、京町家の典型的な佇まいと、機能的で芸術的な庭を心ゆくまで堪能してください。