夏の夜空にくっきりと浮かび上がる「五山の送り火」は、祇園祭と並び京都の夏を彩る風物詩として全国的にも有名です。今回は、そんな五山の送り火の見どころについてご紹介いたします。
1.五山の送り火とは
http://blog.zaq.ne.jp/shibayan/article/78/
8月16日、京都の夏の夜に浮かび上がる火文字。世間一般には「大文字焼き」として知られていますが、正確には「五山の送り火」と呼びます。五山の送り火とは、お盆に行われる京都の伝統行事で、京都を囲む5つの山にそれぞれ「大文字」「左大文字」「船形」「鳥居形」「妙法」の形に火を灯すというものです。五つの山に5種類の送り火を焚くところから「五山の送り火」と呼ばれるようになりました。
この五山の送り火は、お盆の先祖供養の一般信仰「盂蘭盆会(うらぼんえ)」と結びついたもので、お盆に帰ってきた先祖の魂を各家で供養した後、再びあの世に送り出す…という意味があります。
2.見どころ
(1) 大文字 (如意ヶ嶽・大文字山)
五山の中で一番最初に点火されるのが、この大文字です。文字が細長く美しいことから「女性型」と呼ばれているそうです。点火時刻の20時、「南の流れよいか」「北の流れよいか」「字頭よいか」「一文字よいか」というかけ声で、竹に麦藁を巻き付け親火から火を移した大松明を振りかざし、それと同時に一斉に点火されます。
大の字の2画目部分を「北の流れ」、3画目部分を「南の流れ」と呼んでいます。75カ所の火床は、大文字保存会の家ごとに担当が決められています。
■ 基本情報
- ・名称: 大文字
- ・場所: 左京区大文字山
- ・観覧スポット: 鴨川堤防(丸太町~御園橋)
- ・点火時間: 20:00~
- ・点灯時間: 30分
(2) 妙・法(万灯籠山・大黒天山)
妙の字形は万灯籠山、法の字形は大黒天山にありますが、”二山一対で一山”と数えます。西の町組が「妙」、東の町組が「法」をそれぞれ受け持っています。20時10分、妙法それぞれの山から良く見える位置より、松ヶ崎妙法送り火保存会長による合図で同時に点火されます。妙のある万灯籠山では、涌泉寺の住職や保存会員らによる読経が行われます。
■ 基本情報
- ・名称: 妙・法
- ・場所: 左京区松ヶ崎
- ・観覧スポット: 「妙」→北山通、「法」→高野橋北
- ※北山通りをゆっくり直進しながら歩くと両方観る事ができます。
- ・点火時間: 20:10~
- ・点灯時間: 30分
(3) 船形(西賀茂船山)
船をかたどった送り火は別名「精霊船」とも呼ばれ、船首は西方浄土に向いているといわれています。西方寺で鳴らす鐘を合図にして、20時15分に点火されます。
船の帆柱の先端にあたる火床を担当する若中頭が、全体の監督を務めます。20時15分、山上から手松明によって準備完了の合図が出され、麓の西方寺から保存会副会長による三番鉦が鳴らされます。一斉に若中が手松明に親火からの火を移し、受け持つ各火床に走って船底から帆柱へ瞬く間に送り火が点火されます。
■ 基本情報
- ・名称: 船形
- ・場所: 北区西賀茂船山
- ・観覧スポット: 御園橋周辺
- ・点火時間: 20:15~
- ・点灯時間: 30分
(4) 左大文字(大北山・大文字山)
東山の大文字と並べて、太くて逞しいので男型、左側に見えることから左大文字と呼ばれています。19時頃、菩提寺である法音寺門前通りで篝火を焚き、先祖の霊を菩提寺ヘ導きます。親火台で護摩木が焚かれ、先祖の霊を慰める点火法要が行われ、大松明と手松明が山上へ運ばれます。いったん火の消された手松明に再び大松明から火を移した後、保存会長の鐘の合図で、手松明によって筆順に点火されます。
■ 基本情報
- ・名称: 左大文字
- ・場所: 北区大北山
- ・観覧スポット: 西大路通 わら天神交差点北
- ・点火時間: 20:15~
- ・点灯時間: 30分
(5) 鳥居形(曼荼羅山)
鳥居形が点火される鳥居本は、愛宕山への参道にある鳥居が由来となっています。そのため鳥居の字形になったのではないかと言われています。五山の中で唯一西山に位置し、高度も低いため、市内各地から見るのは難しいものの、五山の送り火の中でも最も勇壮で美しいと称される送り火です。
■ 基本情報
- ・名称: 鳥居形
- ・場所: 右京区嵯峨鳥居本
- ・観覧スポット: 嵐山・広沢の池近く
- ・点火時間: 20:20~
- ・点灯時間: 30分
3.全ての送り火が見える観賞スポット
1.京都タワーホテル
http://youpv.exblog.jp/15287779
京都タワーホテルでは、「五山送り火鑑賞と晩餐の夕べ」と銘打って、毎年送り火観賞イベントを開催しています。地上100mの京都タワー展望室から、全ての送り火をゆったり眺めることができます。また、舞妓さんの京舞観賞と、送り火をイメージしたホテルレストランのフルコースディナーがセットになっており、大満足のイベントです。
■ 基本情報
- ・名称: 五山送り火鑑賞と晩餐の夕べ
- ・アクセス: JR京都駅から徒歩2分
- ・電話: 075-361-3212
- ※受付は終了致しました。
- ・公式サイトURL: http://www.kyoto-tower.co.jp/
2.京都駅ビル
http://youpv.exblog.jp/15287779
毎年、送り火当日の19時半から20時半までの間、JR京都駅の空中径路と大空広場を入場制限して、「五山送り火観賞会」が開かれています。距離があるので小さめですが、ほぼ全ての送り火を見ることができるそうです。抽選によって選ばれた700名限定のイベントですので、当選券が無ければ見ることはできませんが、入場制限している分落ち着いて観賞できますし、電車に乗ってすぐ帰宅できるという事で、大変人気があります。
■ 基本情報
- ・名称: 五山送り火観賞会
- ・観賞場所: 京都駅ビル 空中径路・大空広場 ※観賞場所は選べません
- ・アクセス: JR京都駅 改札を出て徒歩すぐ
- ・開催日時:2016年は未定
- ・応募期間: 2016年は未定
- ・応募方法: ホームページ・郵便はがきのいずれか
- ・公式サイトURL:https://www.kyoto-station-building.co.jp/gozan/
3.東山・将軍塚展望台
http://www.miyadaiku-asuka.co.jp/
東山・将軍塚展望台からも、ほぼ全ての送り火を観賞する事ができます。ただし、当日は、届け出済み以外の車両は中に入れず、観賞スペースもチケットがないと入場できませんので、「特別観覧席」のチケット込みのツアーに参加されることをおススメいたします。
■ 基本情報
- ・名称: 京都・大文字送り火「特別観覧席」鑑賞ツアー
- ・観賞場所: 東山・将軍展望台
- ・催行人数: 40名(最少15名)
- ・料金:15,980円
- ・スケジュール: 京都駅16:30発→京都御池・濱登久(京料理夕食)→
- 東山・将軍塚(展望台「特設席」から大文字や「五山送り火」を一望)→
- 京都21:30着予定
- ・企画旅行会社: 旅のふぁくとりー
- ・電話: 0797-87-4221
- ・公式サイトURL: http://www.tabif.jp/
五山送り火 基本情報
■ 基本情報
- ・名称:五山送り火
- ・住所: 文字によって、見やすい場所は異なるため公式サイト等でご確認下さい。
- ・開催日:8月16日
- ・開始時間: 20:00~
- 大文字 午後8時、松ヶ崎妙法 午後8時05分、船形万燈籠 午後8時10分
- 左大文字 午後8時15分、鳥居形松明 午後8時20分
- ・電話番号: 075-341-8266(京都観光協会)
- ・公式サイトURL: http://www.gozan-okuribi.com/
- ・参照サイトURL:https://www.kyokanko.or.jp/okuribi/
いかがでしたか?
それぞれの見どころと鑑賞スポットを事前に確認して、心静かに送り火を眺めたいですね。