いまだ、衰えをしらない熟成肉。となると、次はどんな“熟成がくるの?”という声もチラホラ聞こえてくるわけで。そこで思い出してもらいたいのが、江戸前鮨。旨みを引き出すための熟成は、先人たちの知恵。そんな熟成鮨を味わえる、3店をご紹介。
「左.赤シャリのウニ、白シャリの穴子。握りは上品な小振りで 右.旬の新子は白、強めに締めた小肌は赤のシャリで」
内装には、ソムリエが立っていても違和感がないようにと、洋のエッセンスを取り入れた。店主・佐藤卓也氏は『蔵六鮨』『箒庵』『久兵衛』など、数々の名店で江戸前鮨を究めた人物。ネタは熟成は無論、温度にまで気を使い、最高の状態で提供できるよう配慮。その味を求めて、現在も多くの人が訪れている。
店主の佐藤氏は伝統の技を学びつつ、ワインと合わせるという新たな可能性にいち早く注目した。その本意は「肩肘張らず、好きな飲み物と一緒に楽しんでほしい」という、一貫したゲスト目線。鮨を引き立てるワインは、あえてインパクトや個性を抑え、料理の全体を通して合わせられるようにセレクトされている。熟成されたネタとともに味わえば、そのマリアージュに唸ることだろう。
「10日間真空氷蔵でじっくり寝かせた「エイジングトロ」の握りは、江戸前寿司の進化系ともいえる逸品」
日本全国20軒近くの店を渡り歩いた中澤圭二氏が、1989年に四谷で始めた『すし匠』。幾多の食通たちを迎えた暖簾をくぐると、凛とした空気が店内を包む。「最高の鮨を味わってほしい」と語る大将・中澤氏の気迫が、心地いい緊張感を醸成している。
長年の研鑽の末に中澤氏が行き着いたのは、一口サイズの握りとつまみを交互に小気味良く提供するスタイル。握りの合間に「ハマグリの出汁漬け」といった酒肴が繰り出され、延べ30〜40品目に至る。
ネタによって仕込みや熟成も様々だが、10日間、真空氷蔵でじっくり寝かせた「エイジングトロ」の握りは、江戸前寿司の進化系とも云える逸品。カウンター越しの会話を楽しみつつ、至福の時間を過ごしたい。
「左上.低温で火入れした東松島産牡蛎の軍艦 右上.鰆。福井から直送 1週間寝かせて使用する 左下.石垣島の車エビ。こちらも1週間熟成させる 右下.岩手・石巻の真だら。船上で活け締めしたもの。料理はすべてコースより」
産地直送の旬魚に手業を凝らした正統派の鮨と、本格的な料理の二本立ての店が2014年12月に誕生した。店主・石田大樹氏は『青山えさき』を皮切りに、恵比寿『幸せ三昧』、中目黒の日本酒専門店『酒人あぎ』で料理長を務めた若き実力派。「お客様との会話を大切にした店を」と、白木のカウンターに立つさらしの仕事を志したという。
まずは先付、刺身に焼き物、天ぷら、小鍋につまみを繰り出しつつ、佳境の握りへ。福井・日向の漁師から直送される“船上活締放血神経締め”の魚に、宮城・東松島の牡蠣に海苔、米「かぐやひめ」など。自ら探し歩いたお宝素材は枚挙に暇がなく、珠玉のネタで食べ手を翻弄する。生食が難しい真たらなら活け締めで鮮度を保ち、握りに。牡蠣は低温調理し香り高い海苔で軍艦に。
石垣島の車エビは1週間熟成させて生で食べさせる巧者っぷり。料理と鮨に華を添える日本酒も、出身地である愛媛の銘酒、成龍酒造の「賀儀屋」「御代栄」をはじめ、バランスがよく口当たりの良い、食中向きの全国の銘酒40種をそろえる。
握り、料理、酒にもてなし。四拍子そろったこれほどの店は、巷にそうそう見つからない。
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『西麻布 拓』
乃木坂
「左.赤シャリのウニ、白シャリの穴子。握りは上品な小振りで 右.旬の新子は白、強めに締めた小肌は赤のシャリで」
内装には、ソムリエが立っていても違和感がないようにと、洋のエッセンスを取り入れた。店主・佐藤卓也氏は『蔵六鮨』『箒庵』『久兵衛』など、数々の名店で江戸前鮨を究めた人物。ネタは熟成は無論、温度にまで気を使い、最高の状態で提供できるよう配慮。その味を求めて、現在も多くの人が訪れている。
店主の佐藤氏は伝統の技を学びつつ、ワインと合わせるという新たな可能性にいち早く注目した。その本意は「肩肘張らず、好きな飲み物と一緒に楽しんでほしい」という、一貫したゲスト目線。鮨を引き立てるワインは、あえてインパクトや個性を抑え、料理の全体を通して合わせられるようにセレクトされている。熟成されたネタとともに味わえば、そのマリアージュに唸ることだろう。
『すし匠』
四谷
「10日間真空氷蔵でじっくり寝かせた「エイジングトロ」の握りは、江戸前寿司の進化系ともいえる逸品」
日本全国20軒近くの店を渡り歩いた中澤圭二氏が、1989年に四谷で始めた『すし匠』。幾多の食通たちを迎えた暖簾をくぐると、凛とした空気が店内を包む。「最高の鮨を味わってほしい」と語る大将・中澤氏の気迫が、心地いい緊張感を醸成している。
長年の研鑽の末に中澤氏が行き着いたのは、一口サイズの握りとつまみを交互に小気味良く提供するスタイル。握りの合間に「ハマグリの出汁漬け」といった酒肴が繰り出され、延べ30〜40品目に至る。
ネタによって仕込みや熟成も様々だが、10日間、真空氷蔵でじっくり寝かせた「エイジングトロ」の握りは、江戸前寿司の進化系とも云える逸品。カウンター越しの会話を楽しみつつ、至福の時間を過ごしたい。
『鮨 心白』
広尾
「左上.低温で火入れした東松島産牡蛎の軍艦 右上.鰆。福井から直送 1週間寝かせて使用する 左下.石垣島の車エビ。こちらも1週間熟成させる 右下.岩手・石巻の真だら。船上で活け締めしたもの。料理はすべてコースより」
産地直送の旬魚に手業を凝らした正統派の鮨と、本格的な料理の二本立ての店が2014年12月に誕生した。店主・石田大樹氏は『青山えさき』を皮切りに、恵比寿『幸せ三昧』、中目黒の日本酒専門店『酒人あぎ』で料理長を務めた若き実力派。「お客様との会話を大切にした店を」と、白木のカウンターに立つさらしの仕事を志したという。
まずは先付、刺身に焼き物、天ぷら、小鍋につまみを繰り出しつつ、佳境の握りへ。福井・日向の漁師から直送される“船上活締放血神経締め”の魚に、宮城・東松島の牡蠣に海苔、米「かぐやひめ」など。自ら探し歩いたお宝素材は枚挙に暇がなく、珠玉のネタで食べ手を翻弄する。生食が難しい真たらなら活け締めで鮮度を保ち、握りに。牡蠣は低温調理し香り高い海苔で軍艦に。
石垣島の車エビは1週間熟成させて生で食べさせる巧者っぷり。料理と鮨に華を添える日本酒も、出身地である愛媛の銘酒、成龍酒造の「賀儀屋」「御代栄」をはじめ、バランスがよく口当たりの良い、食中向きの全国の銘酒40種をそろえる。
握り、料理、酒にもてなし。四拍子そろったこれほどの店は、巷にそうそう見つからない。
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