冬の最強の誘い文句と言えば、「旨い鍋食べに行くぞ!」である。
しかも誘われた店が、一筋縄じゃいかない、常連客以外だと勇気が必要な少しばかりハードルが高め!? な個性的な店で供される極上鍋だったら…。貴方の株は急上昇すること間違いなしだ!
そこで、誘われた人が無条件でついて行きたくなる、店主の物凄いこだわりが詰まっている個性的な鍋をご紹介!4店4様の絶品お鍋を、とくとご覧あれ。
「3代続くとんかつ店の“夜の名物シーン”。2階には宴会用の座敷もあるため、大人数で盛りあがるのにももってこい。おまかせのコースもあり!」
かつては料亭や待ち合いなどが軒を連ね、夕方になればお座敷へ向かう芸者が行き交う〝花街〞として知られたこの場所に昭和25年に創業。古き良き日本の面影を残す商店街の一角に佇む『どん平』は、とんかつ好きの間ではちょっと知られた存在だ。
豚バラ肉をじっくり煮込み、冷蔵庫で半日寝かせてから衣をつけて揚げる〝新感覚〞のとんかつを求めて遠方から訪れるファンも多い。店主の祖父の代から続く真っ当なとんかつ屋であることに間違いはないが、この店には実は、もうひとつの名物が存在する。
「日本酒のアルコールを飛ばしてから、まずはしゃぶしゃぶを堪能」
〝夜の顔〞として登場するのは、味はもちろん、その演出にも心が温まる酒鍋。豚のしゃぶしゃぶと寄せ鍋の二段構成で楽しむことができる酒鍋の味わい(見どころ)は、まず日本酒をたっぷり注いだ鍋に火をつけ、アルコールを飛ばす場面にある。
店内の明かりを消し、着火。火柱が立ち上がった瞬間、心もぽうっと温かくなるのは、この店が持つ〝人情味〞のあらわれか。火が消えたらアルコールを飛ばした酒鍋に豚肉をサッとくぐらせ、まずひと口。やわらかな豚肉が淡雪のようにふんわりとろける。
ひと通りしゃぶしゃぶを楽しんだら、第2ステージの寄せ鍋へ。しみじみとした旨さに〝鍋を囲む〞ことの意味を深く感じる。
「酒鍋¥1,800(※1人前。提供は夜のみ。事前に要予約、2人前より注文可能。写真は4人前)。やわらかくて甘みのある国産豚のしゃぶしゃぶと、具材たっぷりの寄せ鍋が味わえる。〆はうどんと雑炊から選ぶことができる。人情が感じられるコストパフォーマンスの高さに頭が下がる思い」
「『アンザイ』自慢の猪鍋(¥7,000の牡丹鍋コースより)。たっぷりの茸や野菜とともに食す猪肉は臭みがなく、肉質もジューシー。〆のきしめんのために、スープを取りすぎないのがルール!2日前には予約を!」
初訪問であれば、思わず面食らうほど〝濃いくち〞な店である。目白の閑静な住宅街にひっそり佇む『ジビエ料理 アンザイ』で供されるのは、狩猟免許を持つ店主が仕留めた猪や鹿肉を使った料理。
牡丹鍋コースの主役を張るのは、熟成された猪の背ロースやもも肉、茸類や野菜がたっぷり入った〝ぼたん鍋〞だ。猪の骨から取った出汁に醤油やみりん、酒を加えたスープで具材をぐつぐつ煮込み、卵につけ、すき焼き風にいただくのが『アンザイ』流。
「鹿の塩バターバジル炒め。ワインは安西さんが注目している『ファンキーシャトー』のグリグリ2012」
上品な脂がのった猪肉はクセが皆無でしっとりやわらかい。「野生の猪の風味が苦手という人にこそ食べてもらいたい。きっとイメージが変わるはずです」という安西氏は、幼い頃は狩猟免許を持つ父親のあとをついて野山に入っていたという。
34歳のときに猟を始め、美味しい野生肉の味を少しでも多くの人に知ってもらいたいと1日1組限定の〝ジビエ料理専門店〞をオープンさせた。
もともとの凝り性気質もあってか、日本ワインの品ぞろえには目を見張るものが。ふすまを〝開帳〞すれば、酒瓶が出てくる、出てくる。気の置けない仲間とともに鍋を囲み、酒を汲む。鍋の中身が空になろうとも、すっかり根の張った腰をあげられずに、ディープな夜は続いてゆく。
「ふすまを開けると日本酒などのボトルがズラリ。圧巻!」
「34歳で狩猟免許を取得。猟場の静岡県で猪や鹿を捕る安西康人氏。店も個性的なら店主のキャラもかなりディープ」
「まさかここが?の入口をくぐると、そこは食いしん坊天国だ!ポストの小さい目印をお見逃しなく。」
「鴨鍋¥4,000(2人前より注文可能)。新鮮な鴨肉のほか、京野菜や葛切りもたっぷり。好みで自家製ポン酢につけて食す。ほかにも同じく冬限定の鶏鍋もある」
2010年当時、「ミシュランガイド東京」に焼き鳥店が選出されたのは、革新的な出来事だった。それまで〝庶民の味〞と多くの人が認識していただろう焼き鳥が、世界に誇る和食の一ジャンルとして認められた瞬間だった。
〝つねに良質な料理を提供している焼き鳥の名店〞として選ばれた4軒のうちの1軒が、錦糸町の『とり喜』。店主の坂井康人さんが炭の香りを過剰に纏わせず、丁寧に焼き上げる串が高評価を得た。
下町の名焼き鳥店、否、〝鶏懐石〞を味わえる店として文字通り飛躍を遂げたこの店の常連客の冬のお楽しみが、特別料理として供される鴨鍋だ。茨城で獲れる鴨肉を贅沢に使った鍋である。
「客席はカウンターがメイン。店奥には10名まで利用できる掘りごたつ式の座敷もある。」
注文の受け付けは3日前から、代金は来店前に支払うなど、いくつか〝ルール〞があるが、つなぎを使わずに作る鴨団子やジューシーなロース肉を、たっぷりの京野菜とともに、はふはふ頬張る愉悦――。
一度食べたなら、その味わいの虜になることは間違いない。〆の雑炊は別料金だが、鴨の上質な脂が溶け出した鍋のスープをあますことなく堪能したいのなら、是が非でも食すべきだ。
店主の技が光る焼き鳥コースにすべきか、鴨鍋をとるべきか。幸福な煩悶もまた、この店を訪れる楽しみにつながる。
「店主の坂井康人氏は“鶏懐石”のスタイルを提唱。「時間をかけて、ゆっくりと焼き鳥や料理を楽しんでいただきたい」」
「焼き鳥のおまかせコースは¥3,500~。鶏肉は、おもに丹波黒鶏と大山地鶏を使用。焼きの技術が光る逸品ぞろい」
「店舗外観」
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しかも誘われた店が、一筋縄じゃいかない、常連客以外だと勇気が必要な少しばかりハードルが高め!? な個性的な店で供される極上鍋だったら…。貴方の株は急上昇すること間違いなしだ!
そこで、誘われた人が無条件でついて行きたくなる、店主の物凄いこだわりが詰まっている個性的な鍋をご紹介!4店4様の絶品お鍋を、とくとご覧あれ。
街のとんかつ店の夜限定の〝熱い!〞鍋『どん平』
かつては料亭や待ち合いなどが軒を連ね、夕方になればお座敷へ向かう芸者が行き交う〝花街〞として知られたこの場所に昭和25年に創業。古き良き日本の面影を残す商店街の一角に佇む『どん平』は、とんかつ好きの間ではちょっと知られた存在だ。
豚バラ肉をじっくり煮込み、冷蔵庫で半日寝かせてから衣をつけて揚げる〝新感覚〞のとんかつを求めて遠方から訪れるファンも多い。店主の祖父の代から続く真っ当なとんかつ屋であることに間違いはないが、この店には実は、もうひとつの名物が存在する。
〝夜の顔〞として登場するのは、味はもちろん、その演出にも心が温まる酒鍋。豚のしゃぶしゃぶと寄せ鍋の二段構成で楽しむことができる酒鍋の味わい(見どころ)は、まず日本酒をたっぷり注いだ鍋に火をつけ、アルコールを飛ばす場面にある。
店内の明かりを消し、着火。火柱が立ち上がった瞬間、心もぽうっと温かくなるのは、この店が持つ〝人情味〞のあらわれか。火が消えたらアルコールを飛ばした酒鍋に豚肉をサッとくぐらせ、まずひと口。やわらかな豚肉が淡雪のようにふんわりとろける。
ひと通りしゃぶしゃぶを楽しんだら、第2ステージの寄せ鍋へ。しみじみとした旨さに〝鍋を囲む〞ことの意味を深く感じる。
「酒鍋¥1,800(※1人前。提供は夜のみ。事前に要予約、2人前より注文可能。写真は4人前)。やわらかくて甘みのある国産豚のしゃぶしゃぶと、具材たっぷりの寄せ鍋が味わえる。〆はうどんと雑炊から選ぶことができる。人情が感じられるコストパフォーマンスの高さに頭が下がる思い」
1日1組限定!アンザイさんちのおもてなし『ジビエ料理 アンザイ』
初訪問であれば、思わず面食らうほど〝濃いくち〞な店である。目白の閑静な住宅街にひっそり佇む『ジビエ料理 アンザイ』で供されるのは、狩猟免許を持つ店主が仕留めた猪や鹿肉を使った料理。
牡丹鍋コースの主役を張るのは、熟成された猪の背ロースやもも肉、茸類や野菜がたっぷり入った〝ぼたん鍋〞だ。猪の骨から取った出汁に醤油やみりん、酒を加えたスープで具材をぐつぐつ煮込み、卵につけ、すき焼き風にいただくのが『アンザイ』流。
上品な脂がのった猪肉はクセが皆無でしっとりやわらかい。「野生の猪の風味が苦手という人にこそ食べてもらいたい。きっとイメージが変わるはずです」という安西氏は、幼い頃は狩猟免許を持つ父親のあとをついて野山に入っていたという。
34歳のときに猟を始め、美味しい野生肉の味を少しでも多くの人に知ってもらいたいと1日1組限定の〝ジビエ料理専門店〞をオープンさせた。
もともとの凝り性気質もあってか、日本ワインの品ぞろえには目を見張るものが。ふすまを〝開帳〞すれば、酒瓶が出てくる、出てくる。気の置けない仲間とともに鍋を囲み、酒を汲む。鍋の中身が空になろうとも、すっかり根の張った腰をあげられずに、ディープな夜は続いてゆく。
焼き鳥の名店が贈る〝風物鍋〞は1日2組限定!『とり喜』
2010年当時、「ミシュランガイド東京」に焼き鳥店が選出されたのは、革新的な出来事だった。それまで〝庶民の味〞と多くの人が認識していただろう焼き鳥が、世界に誇る和食の一ジャンルとして認められた瞬間だった。
〝つねに良質な料理を提供している焼き鳥の名店〞として選ばれた4軒のうちの1軒が、錦糸町の『とり喜』。店主の坂井康人さんが炭の香りを過剰に纏わせず、丁寧に焼き上げる串が高評価を得た。
下町の名焼き鳥店、否、〝鶏懐石〞を味わえる店として文字通り飛躍を遂げたこの店の常連客の冬のお楽しみが、特別料理として供される鴨鍋だ。茨城で獲れる鴨肉を贅沢に使った鍋である。
注文の受け付けは3日前から、代金は来店前に支払うなど、いくつか〝ルール〞があるが、つなぎを使わずに作る鴨団子やジューシーなロース肉を、たっぷりの京野菜とともに、はふはふ頬張る愉悦――。
一度食べたなら、その味わいの虜になることは間違いない。〆の雑炊は別料金だが、鴨の上質な脂が溶け出した鍋のスープをあますことなく堪能したいのなら、是が非でも食すべきだ。
店主の技が光る焼き鳥コースにすべきか、鴨鍋をとるべきか。幸福な煩悶もまた、この店を訪れる楽しみにつながる。
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