引接寺とは?
京都市上京区にある高野山真言宗に属する寺院です。一般には千本閻魔堂の通称で知られています。引接とは、仏が我々人間をあの世に導いてくれるという意味だそう。お堂が建てられたのは、平安時代の寛仁元年(1017)に定覺上人が引接寺として開山した頃だそう。その後、応仁の乱でお堂と閻魔法王は焼失しますが、長享2(1488)年に閻魔法王は新たにつくられ、現在でもゑんま堂として厚く信仰されています。本尊は閻魔法王(高さ2.4メートル)左脇に司命、右脇に司録が安置されています。引接寺の魅力やご利益
平安朝京洛の中心道路である朱雀大路(現千本通)頭に位置するこの引接寺の場所は、あの世へ通ずる処として亡き人をここから送ったそうで、京都では、お精霊迎えの根本霊場とされていました。かつては、その折にのみ本尊が開扉されていましたが、近年は毎月16日の縁日に開扉されています。堂内の壁に室町・桃山時代の狩野元信筆閻魔王庁の図があり、境内には、花冠ごと散る珍しい桜「ふげんぞう桜」や、紫式部の供養塔、重要文化財の梵鐘など見所もたくさんあります。
見どころ・お勧めスポット
ゑんま様
ゑんま様はなぜ怖い表情をしているのか?ゑんま様は、死者を地獄へ送るために怖い顔をしていると思われてしまいますが、実はとても良い仏様なのです。ゑんま様のお仕事は、死者の送り先が天国か地獄かを判断する裁判長の役割を担っています。ゑんま様は死者を三悪道(地獄・飢餓・畜生)の道に行かせないように、怒りの表情で地獄の恐ろしさを語り、嘘をついた人間には「舌を抜くぞ」と説いているのです。裁判長であるゑんま様の両脇には、検事役である司命尊(しめいそん)と書記役である司録尊(しろくそん)がひかえています。司命尊は死者の生前を閻魔帳に記録する重要な役割を持ち、司録尊はゑんま様の裁判の様子をしっかりと記録する役目。約1週間の公正な裁判によって、死者は天国か地獄行きかが決められるのです。また、ゑんま様を補佐する人物として、小野篁がいたといわれています。平安京のエリート 小野篁
平安京のエリートとしても名高い人物である小野篁。才知にあふれていた篁は若くして宮中に仕え、百人一首に収められるほど和歌などを詠むのも上手かったそうです。さらになんと、あの世とこの世を行き来する神通力を持っていたといわれています。昼間は宮中に仕え、夜になると人間界から閻魔庁に赴き、ゑんま様の行う裁判の補佐をしていたと伝えられています。ゑんま堂狂言
ここ千本ゑんま堂のみどころには、毎年2月3日の節分と5月1~4日に行われる「ゑんま堂狂言」があります。ゑんま堂狂言は大変人気があり、京都三大念佛狂言のひとつにも数えられています。織田信長が上杉謙信に贈った狩野永徳筆の「洛中洛外図屏風」にも狂言の様子が描かれており、室町時代からゑんま堂狂言があったとされています。狂言といえば台詞がないのが普通ですが、ゑんま堂狂言にはなんと台詞があり、内容もわかりやすいので、若い人からご年配の方まで楽しめます。■ 基本情報
- ・名称:引接寺(いんじょうじ)
- ・住所:京都府京都市上京区千本通鞍馬口下ル閻魔前町34
- ・アクセス:京都市営バス「乾隆校前」「千本鞍馬口」下車 徒歩2分
- ・営業時間:9:00~17:00
- ・電話番号:075-462-3332
- ・料金:無料(本殿昇殿は500円)
- ・公式サイトURL:http://yenmado.blogspot.jp/