温泉に本気で向き合うサークル
温泉サークルの名は「 東大温泉サークルOKR(おける)」(http://utonsen.wix.com/ut-okr)。自分たちで温泉を楽しむのはもちろん、その魅力を広く外部に発信していこうという趣旨のもと、2015年8月に設立された。
大学生の温泉サークルというと、温泉そっちのけでお酒を飲むだけという、いわゆる出会い目的の「ウェイサー」や「飲みサー」のイメージがある。
しかし、OKRは違う。
ただひたすら温泉を巡り、将来的には温泉地の活性化や入浴剤作り、雑誌製作などもやっていこうという、なんともマジメな温泉サークルなのだ。
そんな 温泉愛あふれるガチのメンバーたちに「いま一番行きたい温泉」について、徹底議論してもらった。どんな議論が繰り広げられるのかドキドキです…。
「Yutty!」の依頼に応えて集まってくれたのは、サークル代表で温泉ソムリエの資格も持つ比護祐介(ゆうすけ)さんに加えて、佐藤瑛大(あきひろ)さん、出口達也さん、池田春花さんの4名。全員、教養学部の1年生だ。
では、さっそく始めてもらおう。
それぞれが注目する温泉とは?
比護:どの温泉にも独自の魅力があって、いろんな楽しみ方ができるんだよね。参考までに、旅行会社やネットエージェントが選ぶ「にっぽんの温泉100選」(主催=観光経済新聞社)では、13年連続で草津が1位になったね。佐藤: 草津温泉のお湯は酸性が強くて、効能もすごい。共同浴場もたくさんあるし、江戸時代は東の大関(当時の最上位)といわれていた。ちなみに、西の大関は有馬温泉。
出口: 有馬温泉は秀吉が愛した湯だよね。通ってた高校が近くて、六甲山の登山行事ではゴールが有馬温泉(笑)。
一同:おお、うらやましい!
比護:有馬温泉は含鉄泉だから 冷え性や貧血によく効くし、女性におすすめだな。
池田:私は熊本出身なので、やっぱり地元の 黒川温泉が思い入れが強い。
街ぐるみで盛り上げようとしていて、女性にも人気。
比護:あそこは雰囲気作りに凝ってて、タイムスリップしたみたいな気分になるよね。
池田:あと、宮城の 鳴子温泉もよかったな。
比護: 鳴子や別府は泉質が多彩で楽しめるよね。
出口:北海道の 十勝川温泉は、世界でもまれなモール泉。お湯に石炭が浮いてくる。
温泉観を変えたのは長湯温泉のラムネ温泉館
比護:僕はどんな温泉も好きだけど、ふだんは秘湯感のあるところによく行くかな。たとえば、青森の 不老ふ死温泉は海沿いに露天風呂がある。同じく秋田の乳頭温泉郷にある鶴の湯温泉も雰囲気がいい。さらに、あそこは源泉が足元から湧いてて新鮮なお湯が楽しめるんだよ。
佐藤:僕は景色かな。山梨の ほったらかし温泉は、朝は富士山からの日の出、夜は甲府盆地の夜景と最高。石川の片山津温泉は湖に面した温泉で、春は対岸の桜が咲いて花見ができる。湯布院は温泉街込みで楽しかった。
写真提供/ほったらかし温泉
出口:僕は歴史を重視したい。山形の 小野川温泉は平安時代に小野小町が浸かったといわれてる。
佐藤:1200年前じゃん(笑)。
出口: 山中温泉は行基が開湯したといわれてる。松尾芭蕉も訪れて絶賛したらしいね。
比護:奈良時代(笑)。
出口:布教の途中で立ち寄ったんだとか。昔ながらの街並みは雰囲気がいいし、食べ歩きもできる。
池田:私はやっぱり美肌の湯が好き。 黒川温泉は美肌の湯として有名で、同じ熊本の山鹿温泉もそう。あと、佐賀の嬉野温泉は炭酸水素塩泉でクレンジング効果があるから肌がスベスベになる。
比護: 温泉観を変えたのは、今年の1月に行った長湯温泉のラムネ温泉館。
大分駅からバスで1時間半かかるんだけど、いまブームの天然炭酸泉で濃度が全然違う。泡の湧き出方がすごくて、お湯に顔をつけると1秒でヒリヒリする(笑)。
出口:そういう意味では、高校2年の時に行った 奈良の湯泉地(とうせんじ)温泉がすごい。
最寄り駅からバスで3時間かかる秘湯で、道なき道を行くかんじ。命がけだった(笑)。
いよいよ「いま一番行きたい温泉」を発表!
佐藤:いまの時期だと、まだ雪景色を楽しめるところがいいかも。
池田:今年の干支の申(サル)にちなんだ温泉も捨てがたい。
出口:世間のブームということでは、NHKの大河ドラマ『真田幸村』の舞台が長野だね。
比護:おお、雪景色、サル、長野といえば、あそこじゃない?
一同: 湯田中渋温泉郷の地獄谷温泉!
比護:ニホンザルが露天風呂に入りに来るし、国の天然記念物に指定されている間欠泉もあって新しい楽しみ方を提案できそう。
野猿公苑の露天風呂には人間は入れないけど、日本秘湯を守る会に加盟する一軒宿の「後楽館」のお風呂には入れる。というわけで、温泉大国日本の温泉にはそれぞれに固有の魅力があるので、正直一番を選ぶのは難しいのですが、「いまの旬」なら 地獄谷温泉を推します!
結論
温泉好きの東大生が選ぶ「いま一番行きたい」温泉は湯田中渋温泉郷の地獄谷温泉
でした。
というわけで湯田中渋温泉郷の地獄谷温泉の皆さま、おめでとうございます!とはいえ季節によってベストが変わるのが温泉の魅力。ぜひ、いろんな温泉に行ってみてください。
※これ以外にも全国津々浦々のたくさんの温泉が話題にのぼりましたが、字数の都合上カットさせていただきました
(取材日:2016年2月4日)
元記事はこちら
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