名声は聞き及んでいても、予約が取れないなど、気軽に足を運ぶのは難しい人気店。そこではどんなスペシャリテが味わえるのか、名店を名店たらしめる一皿とはどんなものなのか……。
そこで今回は、そんな名店のスペシャリテをみっちり調査。
いつかは行こうと思っているあなたも、まずは視覚でご堪能あれ。
「土佐赤牛の炭火焼きとマナガツオの味噌幽庵焼きの盛り合わせ コースの一品」
「お客様にとって特別な存在でいたい、そのためには最上級のおもてなしをすること。それがこの店で私がやるべき仕事です」。店主である奥田透氏は自らの信条をかく語る。
名だたる有名店が居並ぶ群雄割拠の銀座にあって、格別の評価を受けている『銀座小十』。その名声に決して胡座をかくことなく、さらなる高みを目指す奥田氏の真摯な姿勢。それが最上級の存在たらしめる大きな理由だ。
「カウンターでは、目の前で奥田氏の包丁さばきを堪能できる」
氏が生み出す懐石の〝スペシャリテ〞は、日本文化が築き上げた逸品ぞろい。土佐赤牛の炭火焼きは、絶妙な火入れがもたらす食感に声を失う。
甘鯛の上質な身質から溢れる脂と、からすみの塩気が舌の上で至上の出会いを果たすお椀も白眉の仕上がり。これぞ名匠の技。
『銀座小十』で和懐石の真髄を見た。
「和牛のビステッカ コースの一品」
銀座で予約が取れないイタリアンレストランといえばこの店『アロマフレスカ』。
月齢32ヵ月の処女牛の熟成ロースを分厚くカットし、その表面を炭火で炙った後、肉の中心温度が45〜46℃になるポイントで約1時間、じっくりと火を入れる。
ラストに再度炭火で軽く炙り、周囲の肉をそぎ落とすと『アロマフレスカ』の〝スペシャリテ〞、ビステッカの完成となる。
「グリーンアレンジメントを中心に配置された7卓は、隣卓との距離も広く開放的だ」
こちらを生み出したのはイタリアンの名手、原田慎次氏。
「和牛ロースを一番美味しく食せる仕上がりを想像し、その過程を逆算したときに、この焼き方が最適という結論に至りました」。飄々と語る原田氏だが、相当な技術と素材への深い造詣があっての作品であることは明らかだ。
柔らかく美しいレアな質感を保ちつつも、しっかりと火の入った香りを宿し、噛み締めるたびに肉汁が溢れ出す。もはや脱帽するしかない。
「鮪・平目・こはだ・赤貝・穴子 おまかせコース内の品」
6年連続でミシュラン三ツ星を獲得した六本木にある鮨の名店『鮨 さいとう』。 「余計なものを削ぎ落とした究極の世界で魚介の旬の魅力に迫るのが鮨」と話す齋藤孝司氏。
大きめの粒の古米で塩も強めと、鮪を基準に調整した存在感のあるシャリだが、温度はネタに合わせて変える緩急が味わいの多様性を生み出し、飽きさせない。そういった出し方の計算の細かさも職人の腕の見せどころだ。
濃厚な鮪は、シャリとの絶妙なバランスで魅了。さっぱりとした平目(白身)で「シャリの個性を楽しんでほしい」と齋藤氏。
こはだは、「程よく柔らかく、鼻から抜ける香りの余韻が真骨頂」と塩加減、寝かし具合を日々微調整して頂点を目指す。貝は香りと食感。
そして穴子は、口の中でほわっと広がる湯気が香ばしさを脳裏の隅々まで届け、官能的なとろけ具合で見事にフィナーレを飾る。 「最大7名がゆったり座れる白木の上品なカウンター」
「山羊乳のヴァバロア コースの一品」
8年連続でミシュラン3つ星を獲得し、食べログでも常に上位に位置する、日本フレンチの最高峰として名高い北品川の『カンテサンス』。
潔いほどに純白な山羊乳のヴァバロアに合わせるのは、3種のオリーブオイル、フランス・ゲランド産の天然塩、食感にコントラストを与えるナッツと百合根。実にシンプルだ。
「内装は、テーマカラーであるこげ茶色と金属を基調にしたシンプルで重厚感にあふれた空間」
オーナーシェフ・岸田周三氏は「山羊乳のヴァバロア」について語る。
「当店の名は〝物事の本質〞を意味します。オリーブオイル、塩、ヴァバロア、それぞれの本来の旨み、つまり本質を存分に引き出したこの料理こそが、『カンテサンス』を表現しているのです」
一部の食通には〝オリーブオイルと塩が主役のヴァバロア〞と呼ばれているのが、よく分かる。口の中で渾然一体となりながらも、それぞれの旨みが調和をもって主張するのだ。
何ヵ月待ってでも、そして何度でも食べたくなるスペシャリテである。
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そこで今回は、そんな名店のスペシャリテをみっちり調査。
いつかは行こうと思っているあなたも、まずは視覚でご堪能あれ。
「土佐赤牛の炭火焼きとマナガツオの味噌幽庵焼きの盛り合わせ コースの一品」
匠の技が冴え渡る和懐石の真髄を見た 『銀座小十』
「お客様にとって特別な存在でいたい、そのためには最上級のおもてなしをすること。それがこの店で私がやるべき仕事です」。店主である奥田透氏は自らの信条をかく語る。
名だたる有名店が居並ぶ群雄割拠の銀座にあって、格別の評価を受けている『銀座小十』。その名声に決して胡座をかくことなく、さらなる高みを目指す奥田氏の真摯な姿勢。それが最上級の存在たらしめる大きな理由だ。
氏が生み出す懐石の〝スペシャリテ〞は、日本文化が築き上げた逸品ぞろい。土佐赤牛の炭火焼きは、絶妙な火入れがもたらす食感に声を失う。
甘鯛の上質な身質から溢れる脂と、からすみの塩気が舌の上で至上の出会いを果たすお椀も白眉の仕上がり。これぞ名匠の技。
『銀座小十』で和懐石の真髄を見た。
イタリアンの名手が超絶技で挑むひと皿 『リストランテ アロマフレスカ』
銀座で予約が取れないイタリアンレストランといえばこの店『アロマフレスカ』。
月齢32ヵ月の処女牛の熟成ロースを分厚くカットし、その表面を炭火で炙った後、肉の中心温度が45〜46℃になるポイントで約1時間、じっくりと火を入れる。
ラストに再度炭火で軽く炙り、周囲の肉をそぎ落とすと『アロマフレスカ』の〝スペシャリテ〞、ビステッカの完成となる。
こちらを生み出したのはイタリアンの名手、原田慎次氏。
「和牛ロースを一番美味しく食せる仕上がりを想像し、その過程を逆算したときに、この焼き方が最適という結論に至りました」。飄々と語る原田氏だが、相当な技術と素材への深い造詣があっての作品であることは明らかだ。
柔らかく美しいレアな質感を保ちつつも、しっかりと火の入った香りを宿し、噛み締めるたびに肉汁が溢れ出す。もはや脱帽するしかない。
一貫一貫に結集する味わいの深さに陶酔 『鮨 さいとう』
6年連続でミシュラン三ツ星を獲得した六本木にある鮨の名店『鮨 さいとう』。 「余計なものを削ぎ落とした究極の世界で魚介の旬の魅力に迫るのが鮨」と話す齋藤孝司氏。
大きめの粒の古米で塩も強めと、鮪を基準に調整した存在感のあるシャリだが、温度はネタに合わせて変える緩急が味わいの多様性を生み出し、飽きさせない。そういった出し方の計算の細かさも職人の腕の見せどころだ。
濃厚な鮪は、シャリとの絶妙なバランスで魅了。さっぱりとした平目(白身)で「シャリの個性を楽しんでほしい」と齋藤氏。
こはだは、「程よく柔らかく、鼻から抜ける香りの余韻が真骨頂」と塩加減、寝かし具合を日々微調整して頂点を目指す。貝は香りと食感。
そして穴子は、口の中でほわっと広がる湯気が香ばしさを脳裏の隅々まで届け、官能的なとろけ具合で見事にフィナーレを飾る。
味の本質を物語る白く、可憐な一皿 『レストラン カンテサンス』
8年連続でミシュラン3つ星を獲得し、食べログでも常に上位に位置する、日本フレンチの最高峰として名高い北品川の『カンテサンス』。
潔いほどに純白な山羊乳のヴァバロアに合わせるのは、3種のオリーブオイル、フランス・ゲランド産の天然塩、食感にコントラストを与えるナッツと百合根。実にシンプルだ。
オーナーシェフ・岸田周三氏は「山羊乳のヴァバロア」について語る。
「当店の名は〝物事の本質〞を意味します。オリーブオイル、塩、ヴァバロア、それぞれの本来の旨み、つまり本質を存分に引き出したこの料理こそが、『カンテサンス』を表現しているのです」
一部の食通には〝オリーブオイルと塩が主役のヴァバロア〞と呼ばれているのが、よく分かる。口の中で渾然一体となりながらも、それぞれの旨みが調和をもって主張するのだ。
何ヵ月待ってでも、そして何度でも食べたくなるスペシャリテである。
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