パステルグリーンの窓枠の向こうに並んでいたのは、さまざまなやちむん。でも、その奥には洋服がぎっしり並んでいて。
どんなお店なんだろう……と、そっと扉を開けたのが「藤井衣料店」との出あいでした。
藤井衣料店があるのは、ここ数年でぐっと人気が高まっている港川の外人住宅街。米軍関係者の住まいとして作られた平屋建てが並ぶエリアで、その異国情緒あふれる建物を利用して、タルト屋にパン屋、カフェなど個性的な店が集まるスポットになっています。
オーナーの藤井さんは長崎県出身。10代の頃から沖縄の青い海と明るい太陽の光に魅せられて、何度も足を運ぶうちに自分の店を持ちつつ永住したい気持ちが高まっていったそう。そんなときに出あったのがこの外人住宅の物件でした。
もともとアンティークや古いもの、時を経て味わいが増していくものが好きだった藤井さん。年月を重ねた外人住宅そのものが味わい深い存在で、インスピレーションを感じるままに、店を出すならこの場所でと決めたそう。
その後、住むことはやむなく諦めましたが、出店の夢は実現。今は長崎にある実家の藤井衣料店を経営しながら、沖縄と長崎を行ったり来たりの日々を過ごしています(そう、ここは「藤井衣料店 沖縄店」なのです!)。
そんなわけで店に並ぶのは、流行を追いかけるのではなく経年変化を楽しめるものばかり。洋服は何度も着るうち洗ううちに風合いがよくなり、味が出てくる職人の技が光るもの。沖縄初上陸のブランド「TIGRE BROCANTE(ティグル ブロカンテ)」を中心に、上質な大人のカジュアルをテーマにしたレディース&メンズの服が並びます。
「ティグル ブロカンテはとにかく発色がいいんですよ。肩が内側に寄ったデザインもあるので、女性はきゃしゃに見える人もいて体型を上手にカバーしてくれるんです」と、店長の芝原さん。
ほかにもナチュラル系ブランド「ichi(イチ)や「CALINE(カリネ)」、上質な素材が特徴の「アンティークス」などがあり、こちらは沖縄の風土に合わせたもの。ゆったりとしたデザインで風通しがよく、気候も湿度も高い沖縄で涼しげにリラックスして着られるものがそろいます。
メンズはティグル・ブロカンテのほかに、アウトドアブランドの「MANASTASH(マナスタッシュ)」や着心地のいい「BIG・SMITH(ビッグスミス)」のパンツ、ヴィンテージラインの「チャンピオン」など、旅行中に買い物をして、そのまま海や山に出かけて気持ちのいい服ばかり。実際に、購入したらそのまま着て帰る方も多いそう。
暑い時期にはタイダイ染めのパンツなど、見ているだけで元気になりそうなカラフルなショートパンツも並びます。
「観光客の方はもちろんですが、沖縄の人にもぜひ着てほしい。沖縄の方にも愛される店にしたいんです」と藤井さん。
なんとバスルームが試着室になっていて、これがまたユニーク。訪れたら、ぜひ試着を! 随所にオーナーの遊び心が感じられる店なのです。
工房コキュ
山ひつじ舎
さて、窓ごしに気になったやちむんはというと、沖縄の赤土で作った器に白い土で模様を描いたマグカップやピッチャーなどが人気の「工房コキュ」をはじめ、同じく土にこだわり30年の歴史をもつ与那国島の「山口陶工房」、それぞれの個性がきわだつ「山ひつじ舎」、「工房いろは」、「シマシマポタリ」など、県内でも人気の作家の器が並びます。
室生窯
こちらの藍色とのびやかな唐草が美しい器は「室生窯」のもの。藤井さんは、ひと目見て「この器でカレーを食べたい!」と思ったそう。やちむんのどっしりとした存在感にほれぼれします。
「青い森商店」のオーナーが作るMITSU PRINTの手ぬぐいもおすすめ。タッチが繊細で美しいグラデーションで描かれているものが多く、おみやげにもぴったり。藤井衣料店オリジナルのものもあります。
MITSU PRINTはTシャツや赤ちゃん用ロンパースもあるので、そちらもチェックしてみてくださいね。
こちらは、オキナワンメイドのバスソルト(左)とソープ(右)。特にソープは自然原料を使用し、石油系化学成分や合成防腐剤、合成香料を使っていないもの。アセロラワイン、ドラゴンフルーツ、タンカンなどのほか、島豆乳や黒糖といった沖縄ならではの種類が豊富で、選ぶのが楽しくなります。
沖縄のやちむんや雑貨を眺めながら、洋服も選べるセレクトショップ、藤井衣料店。個性的なデザインが光る服ばかりなので、店内をぐるりめぐるだけでわくわくします。時おり関西弁が混じる芝原さんのやわらかな雰囲気もあって、居心地のよさもお墨つき。ふらり立ち寄ったら、とっておきのアイテムに出あえるかもしれません。
藤井衣料店
- 住所/沖縄県浦添市港川2‐15‐7‐29
- 電話/098‐877‐5740
- 時間/11時~19時(金・土・日)、11時30分~19時(月・火・木)
- 定休日/水曜日
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