フランスを旅したら、いつか泊まってみたい憧れの「パラスホテル」。数万とあるフランスのホテルの中で、たった16のホテルだけが、5つ星を超えた、「パラス」(フランス語で宮殿の意味)という称号をフランス政府により与えられています。
歴史、豪華さ、美しさ、施設・サービスなどが厳しく審査され、いったん認定されても、格付けは5年ごとに見直し。次回にその称号を失ってしまう可能性もあり、まさに最上級であることが常に求められるホテルです。
この超最高級の格付け「パラスホテル」の元シェフのパティスリーがパリで人気を呼んでいます。
パリで見つけた噂の俊才、ジル・マルシャルさん
パラスホテルのひとつである「プラザ・アテネ」のシェフパティシエに29歳の若さで就任したジル・マルシャルさん。のちに、パラスホテルの「ル・ブリストル」では8年間に渡りシェフパティシエを務め、「ラ・メゾン・デュ・ショコラ」ではクリエイティブ・ディレクターとして活躍。そんな輝かしいキャリアを持つジルさんが、満を持してパリ・モンマルトルに自身のお店を開いたのが昨年11月のことです。
パリの地下鉄2号線のアベス駅で下車、アベス通りを西方向へ100m進み、ラヴィニャン通りを右折。駅から徒歩2~3分で到着します。
懐かしく、ふくよかな味わい。魅惑的なマドレーヌの数々
お店に入ってまず目に入るのが、ショーケースの上にずらりと並んだマドレーヌ。おなじみの洋菓子ですが、実はジル・マルシャルさんの出身地、フランス北東部ロレーヌ地方の伝統菓子です。「マドレーヌって、僕にとってはお菓子職人としての原点なんだ」とジルさん。幼き日のジル少年は、自身のおばあちゃんやお母さんのお菓子づくりを見て、パティシエへの夢を膨らませました。いつかお店を持つときは、ふるさとであるロワール地方、そしてフランス菓子へのオマージュが込められたマドレーヌをお客様に食べてもらいたいと思っていました。
お店では、プレーン、レモン、オレンジ、ビターチョコレート、ピスタチオ、塩キャラメル、そしてロレーヌ地方ヴォージュ産もみの木のはちみつを使用したはちみつ味と合計7種類のフレーバーのマドレーヌがそろいます。
心躍るフレッシュケーキ、香ばしい焼き菓子、甘い誘惑がいっぱい
お店には、マドレーヌのほかにもバリエーション豊かなスイーツがところ狭しと並んでいます。エクレアとパリブレストをアレンジした「エクレアドゥブレスト」は、色よく焼き上げられたシュー生地がプラリネとヘーゼルナッツが混ぜ込まれたバタークリームでデコレーションされ、小さく砕き、グリエされたナッツ類がおいしい食感を添えています。
「レモンタルト」は、タルト生地にほどよい酸味のレモンクリームとサクサクとした小さいバトン状のメレンゲが絶妙のマリアージュ。まさにスターパティシエのならではの見事なクリエイションです。フランスの定番菓子も、その技とエスプリがプラスされ、さらに魅力的な味わい仕上がっています。
お店の壁を挟んだすぐ隣が厨房になっていて、終日フル稼働しているキッチンから、常にフレッシュなお菓子が運ばれてきます。運がよければ、できたてのスイーツが食べられるかもしれません!
地元感たっぷりのパティスリーに、国内外からスイーツ好きが足を運ぶ
「この前ね、子供がおやつにショソンオウポム(リンゴパイ)を買いに来たんだ。代金が10サンチーム足りなかったんだけど、いいよ、ってお菓子を渡してあげたんだよ。そしたら翌日にその子のお母さんがやってきて、昨日は息子がごめんなさいって。この地元の人とのやりとりが、たまらなく好きなんだよ」。大都市パリでは失われつつある昔ながらのコミュニティーが今なお息づくモンマルトルで、しっかりと地元ファンを増やしているジルさん。
お店は朝の8時に開店し、焼きたてのクロワッサンやパンオウショコラなどを目当てに店に来る人が絶えません。そしてスターシェフが独立した話を聞きつけて、海外からはるばるお店にやってくるファンも数え切れないほど。5~6人も入ればいっぱいになってしまう店内は、いつも賑やか。パティスリー ジル・マルシャル、スイーツ好きのマストアドレスです。
Pâtisserie Gilles Marchal(パティスリー ジル マルシャル)
- ・住所:フランス 9, rue Ravignan 75018 Paris
- ・営業時間:8:00~20:00
- ・定休日: 月曜日、12月25日を除く祝日
- ・電話番号: 01 85 34 73 30
- ・公式サイトURL: http://gillesmarchal.com/
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