京都の御池通に面した京町家「ウサギノネドコ」は、自然の造形美を伝える活動をしています。展開は多彩で、雑貨を販売する「ミセ」と宿泊施設の「ヤド」、そして誰でも気軽にその世界を楽しめる「カフェ」の3つがあります。このうちのカフェをたずねてみました。
ガラスの引き戸は不思議な世界の始まり
京都市営地下鉄「西大路御池」駅下車。西大路御池の交差点から御池通を2筋東に歩いたところに「ウサギノネドコ」はあります。二棟続きの京町家で東側が「ミセ」、ミセの2階が「ヤド」、そしてガラスの引き戸のある西側が今回訪れた「カフェ」です。
「ウサギノネドコ」の活動の柱は、「自然の造形美」を伝えること。たとえばタンポポの綿毛や動物の骨格などには、究極の機能美ともいえる不思議な魅力がある、と代表の吉村紘一さんは言います。「隣にあるミセには自然史に興味のある人が多く訪れてくれます。カフェは、自然史に興味のない人にも気軽に入ってもらえたらと思い作りました」とカフェをオープンした理由を話してくれました。
店内は、奥に長い「ウナギノネドコ」
店名は「ヒカゲノカズラ」という植物の別名に由来するとともに、奥に長い京町家を表す言葉「うなぎの寝床」をもじっています。 中央にあるキッチンを挟んで手前は展示スペース。動物の骨などの常設展示のほかに、期間限定の企画展示も行われており、この日は「ウニのない人生なんて」と題したさまざまなウニの写真などが置いてありました。
キッチンの奥は、天窓から光が差し込む明るいカフェスペース。小さな子ども連れでも過ごしやすい座敷席もあります。「カフェスペースはもちろん、展示スペースでも食事やカフェタイムを楽しんでもらえます。最初はびっくりされる方もいますが、せっかく来たのだからと展示スペースのガラステーブルを利用する方も多いですよ」と吉村さんは笑います。
ディナータイムにはしっかりと食事ができます
こちらはカフェですが、ディナータイムもしっかりご飯が食べられるのも魅力です。夜のセットメニューのひとつ「パスタセット」は、パスタのほかにサラダとスープがつきます。パスタは2種類からセレクトが可能。この日は、魚介とトマトソースのラグーをオーダーしました。
ラグーとは煮込みのこと。タコやイカ、エビ、アサリをミンチにして野菜と一緒にトマトソースで煮込み、パスタに和えた一品です。たくさんの魚介がひとつになった味わいが楽しめます。「プチトマトは岩場で光る鉱石をイメージしています」とフード担当のシェフ。なるほどとお皿の上を眺めていると、おのずと「自然の造形美」の世界へ引き込まれていきそうです。
シェフおすすめのスイーツはフェミニンな美しさ
食後は、スイーツ担当シェフおすすめの「ゴルゴンゾーラのチーズケーキ」をいただきました。ピンクペッパーとブラックペッパー、そしてハチミツとオレンジを合わせたソースがエディブルフラワーとともに散りばめられています。ソースとペッパーを交互につけながら食べると、それぞれに違った味が楽しめました。コーヒーや紅茶はもちろん、お酒にも合うようにつくられているそうです。
一風変わったカフェですが、お店をあとにすると、自然の作り出す美しい形に目が向くようになりました。毎日の暮らしのなかに新しい発見をもたらしてくれるきっかけになります。ぜひ一度、訪れてみてくださいね。
- ・名称: ウサギノネドコ
- ・住所: 京都府 京都市中京区西ノ京南原町37
- ・営業時間:11:30~22:30(21:30L.O.) ランチ11:30〜14:30、ディナー17:30〜21:30
- ・定休日: 木曜
- ・電話番号: 075-366-6668(カフェ)
- ・公式サイトURL: http://usaginonedoko.net/
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