ワイワイガヤガヤと大パエリアをシェアして、風が吹き込むテラスで昼からワインといただこう!
3月22日スペイン料理店『ブリーチョ』がオープンした。この店は代々木公園をグルメタウンにした先駆け、ポルトガル料理店『クリスチアノ』のオーナーの佐藤幸二氏の新店。
場所は赤坂、テーマはなんと“ワイザツ”!? どうにも気になる店の全貌を知るべく、早速店へ!
「炊きあがりを豪快に混ぜてサーブするパエリア。内容は日替わりで、この日は、ウサギ肉、鶏肉、エスカルゴ入り。」
『クリスチアノ』をはじめ、オーナーを務める3店舗が「ミシュラン東京2016」のビブグルマンに選出されている佐藤氏だけに、新店登場のニュースはグルメ界でも注目を集めている。今回はどんなアプローチになるのか。場所は港区赤坂、ビジネスパーソンが行き交う街だ。
到着したのは『アークヒルズ』2階。目の前の広場に面したテラス席もある、開放感抜群の立地が心地よい。
すると、突然カンカンと皿を叩く音とともに、「パエリアいかがでしょうか~!」とスタッフが叫んでいる。見れば、軽く十数人前はあると思しき大鍋に山盛りのパエリアが!
「肉の脂を適度にまとったライスは、パラパラとほどける絶妙な食感。これまた美味な自家製アリオリソースが付く。」
こんなに迫力のある料理、そうそうない。食欲を刺激された人々が次々と手を上げ注文する。
このパエリアこそ、毎日夜8時頃に提供される店のスペシャリテ。1日1回、多くても3回までしか提供しないという、争奪戦必至の1品なのだ。
熱々を頬張れば、肉やエスカルゴの旨み、焦がし玉ねぎの香ばしさが口いっぱいに広がる。これはもう、辛口白ワインが止まらない!
「これ以上ないほど潔い盛り付け。しかし、スペイン料理のバリエーションの豊かさ、味わいの多彩さに気付かされる。」
特大パエリアはマストとして、悩ましいのがそのほかのチョイス。メニューリストには、実に50種近い料理が並ぶ。
「品数をたくさん用意すれば、どれかしらに引っかかると思って」と笑う佐藤氏の策略に乗っかり、気になるものはどんどん注文するのが吉! なんせ、一番高いメイン料理でも2000円しないのだ。
この日のおすすめは「タラのアーモンドトマトソース煮込み」700円、「イワシの白焼き モホベルデ」800円、「牛の胸腺肉のレモン焼き」800円など。正直な話、どれも見た目はちょっと地味だが、どっこい口に入れると、予想を鮮やかに裏切る味わいが広がる。
「「イワシの白焼き モホベルデ」800円」
「牛の胸腺肉のレモン焼き」800円」
「「タラのアーモンドトマトソース煮込み」700円」
たとえば、スペイン産アーモンドをたっぷり使った「タラのアーモンドトマトソース煮込み」。玉ねぎの甘み、トマトの酸味、アーモンドのコクの三重奏に魚介出汁がじんわり広がり、奥行きあるおいしさにはっとする。
「イワシの白焼き モホベルデ」は、ミントとパクチーを使ったグリーンソースがさわやかだ。酒のつまみに最適な品ばかり!
「ワインは、スペインワインを中心に80種ほどを、2000円台から用意する。まずはドライなカヴァで乾杯! といきたいところ。」
パエリアのほか、スペイン風オムレツも特大の大鍋スタイルで提供されるらしい。このオリジナルな争奪戦スタイルの理由は? と佐藤氏に聞くと、「みんなの争う姿が見たくて」とニヤリ。いやいや、ほかにもあるでしょう。
「パエリアって普通に頼んだら3000円くらいかかるし、量も多い。食べたくてもあきらめることってありますよね。うちの店ならこうやってシェアするから、ひと皿800円で済む。大鍋で作った方が絶対おいしいし、安いならもっとうれしいでしょう。飾りっ気があるやり方はほかの店に任せて、うちは安くてうまいがコンセプトです!」。
「縦に長い店内は、適度にこじんまりとして居心地がよい。カジュアルな格好でもドレスアップしていても、違和感なく馴染む不思議な空間。」
大鍋が登場するたび、店内はにぎわう。「それ、おいしそう!」「こっちももらおうかな」。シェアすることで生まれる周りとのそんなコミュニケーションもまた、この店おもしろさなのだ。店名の「ブリーチョ」とは、スペイン語でにぎやかなさま。「猥雑で、ワイガヤ系の店にしたくて」と佐藤氏。
「壁面に描かれた絵はアーティスト・及川キーダ氏によるもの。大胆な作風が、にぎやかな店内の雰囲気を盛り上げる。」
この猥雑という言葉、なんと『アークヒルズ』本社への出店プレゼンに際し、佐藤氏が思いついたキーワードなんだとか。「前にこの場所にあったイタリア料理店と、全然違うイメージにしたいと考えて。ちょうど目の前に広場があるでしょう。この店がにぎやかになることで、広場も、建物全体もにぎやかになる、そんなイメージが浮かんだんです」。
元々ポルトガル料理店から始めた佐藤氏は、常日頃からポルトガル料理とスペイン料理の違いを聞かれることも多かったそうだ。色々調べるうち、スペイン料理のおもしろさに開眼。ちょうどタイミングが合って『アークヒルズ』への出店話も持ち上がり、『ブリーチョ』オープンに至ったというわけだ。
「テラスには、テーブルサッカーや、スペインでおなじみのおつまみ「サルソル」社のナッツ販売機も。飲みながら楽しめる。」
ちなみに、この店が持つ“猥雑”なイメージとスペイン料理は相性がいい。
「優しい味わいのポルトガル料理に比べて、スペイン料理はエッジが効いているんですよ」と佐藤氏。にんにくなどを効かせて輪郭を際立たせる料理の数々は、ワインやビールがどんどん進む。人は饒舌になり、おのずと距離も近くなる。
「隣の席の会話が聞こえる距離感は、この店でいえば長所になる。スタッフのフレンドリーなサービスもまたよし。」
ちなみに散々食べて飲んで、単価の目安は4000円台。佐藤氏が話す通り「安くてうまい」というのは誰もが納得するはず。実は、その安さもうまさも、多大なる企業努力から生まれている。
魚なら、未利用魚と呼ばれる規格外のものを安価に仕入れて使用。塩漬けの干し鱈・バカラオなどの食材は、店で手作りすることでコストダウン。バレンシア産の高級ハムといった現地から取り寄せるものは、店の親会社が輸入を担うことで、価格を抑えて提供できるのだという。次々人気店を世に送り出す、佐藤氏の手腕に唸らされる。
「スペインでは幸運や勝利をもたらすとされるコウモリが目印。ちなみにこのマーク、佐藤氏自身がデザインを手掛けたそうだ。」
とはいえ、我々は難しいことは抜きにして、ただ楽しむのが正解。
連日満席で予約が取れない『クリスチアノ』同様、人気が加速する予感は多分にある。電話口でフラれるあの悲しさを味わう前に、すぐにでも行っておくべし!
これからは昼からワインがおいしい季節!猥雑な雰囲気も一緒に楽しめる仲間となら、なお最高だ。
【東京カレンダーの関連記事】
3月22日スペイン料理店『ブリーチョ』がオープンした。この店は代々木公園をグルメタウンにした先駆け、ポルトガル料理店『クリスチアノ』のオーナーの佐藤幸二氏の新店。
場所は赤坂、テーマはなんと“ワイザツ”!? どうにも気になる店の全貌を知るべく、早速店へ!
食べたいなら即挙手すべし! 出来立てが争奪戦になるド迫力パエリア登場
「炊きあがりを豪快に混ぜてサーブするパエリア。内容は日替わりで、この日は、ウサギ肉、鶏肉、エスカルゴ入り。」
『クリスチアノ』をはじめ、オーナーを務める3店舗が「ミシュラン東京2016」のビブグルマンに選出されている佐藤氏だけに、新店登場のニュースはグルメ界でも注目を集めている。今回はどんなアプローチになるのか。場所は港区赤坂、ビジネスパーソンが行き交う街だ。
到着したのは『アークヒルズ』2階。目の前の広場に面したテラス席もある、開放感抜群の立地が心地よい。
すると、突然カンカンと皿を叩く音とともに、「パエリアいかがでしょうか~!」とスタッフが叫んでいる。見れば、軽く十数人前はあると思しき大鍋に山盛りのパエリアが!
「肉の脂を適度にまとったライスは、パラパラとほどける絶妙な食感。これまた美味な自家製アリオリソースが付く。」
こんなに迫力のある料理、そうそうない。食欲を刺激された人々が次々と手を上げ注文する。
このパエリアこそ、毎日夜8時頃に提供される店のスペシャリテ。1日1回、多くても3回までしか提供しないという、争奪戦必至の1品なのだ。
熱々を頬張れば、肉やエスカルゴの旨み、焦がし玉ねぎの香ばしさが口いっぱいに広がる。これはもう、辛口白ワインが止まらない!
目移り必至のバレンシア郷土料理。しかも驚きのリーズナブルさ
「これ以上ないほど潔い盛り付け。しかし、スペイン料理のバリエーションの豊かさ、味わいの多彩さに気付かされる。」
特大パエリアはマストとして、悩ましいのがそのほかのチョイス。メニューリストには、実に50種近い料理が並ぶ。
「品数をたくさん用意すれば、どれかしらに引っかかると思って」と笑う佐藤氏の策略に乗っかり、気になるものはどんどん注文するのが吉! なんせ、一番高いメイン料理でも2000円しないのだ。
この日のおすすめは「タラのアーモンドトマトソース煮込み」700円、「イワシの白焼き モホベルデ」800円、「牛の胸腺肉のレモン焼き」800円など。正直な話、どれも見た目はちょっと地味だが、どっこい口に入れると、予想を鮮やかに裏切る味わいが広がる。
「「イワシの白焼き モホベルデ」800円」
「牛の胸腺肉のレモン焼き」800円」
「「タラのアーモンドトマトソース煮込み」700円」
たとえば、スペイン産アーモンドをたっぷり使った「タラのアーモンドトマトソース煮込み」。玉ねぎの甘み、トマトの酸味、アーモンドのコクの三重奏に魚介出汁がじんわり広がり、奥行きあるおいしさにはっとする。
「イワシの白焼き モホベルデ」は、ミントとパクチーを使ったグリーンソースがさわやかだ。酒のつまみに最適な品ばかり!
ワイザツさがハッピーを生む! 大勢で楽しむシェア酒場
「ワインは、スペインワインを中心に80種ほどを、2000円台から用意する。まずはドライなカヴァで乾杯! といきたいところ。」
パエリアのほか、スペイン風オムレツも特大の大鍋スタイルで提供されるらしい。このオリジナルな争奪戦スタイルの理由は? と佐藤氏に聞くと、「みんなの争う姿が見たくて」とニヤリ。いやいや、ほかにもあるでしょう。
「パエリアって普通に頼んだら3000円くらいかかるし、量も多い。食べたくてもあきらめることってありますよね。うちの店ならこうやってシェアするから、ひと皿800円で済む。大鍋で作った方が絶対おいしいし、安いならもっとうれしいでしょう。飾りっ気があるやり方はほかの店に任せて、うちは安くてうまいがコンセプトです!」。
「縦に長い店内は、適度にこじんまりとして居心地がよい。カジュアルな格好でもドレスアップしていても、違和感なく馴染む不思議な空間。」
大鍋が登場するたび、店内はにぎわう。「それ、おいしそう!」「こっちももらおうかな」。シェアすることで生まれる周りとのそんなコミュニケーションもまた、この店おもしろさなのだ。店名の「ブリーチョ」とは、スペイン語でにぎやかなさま。「猥雑で、ワイガヤ系の店にしたくて」と佐藤氏。
エッジが効いたスペイン料理で、他人との距離も縮まりそう!?
「壁面に描かれた絵はアーティスト・及川キーダ氏によるもの。大胆な作風が、にぎやかな店内の雰囲気を盛り上げる。」
この猥雑という言葉、なんと『アークヒルズ』本社への出店プレゼンに際し、佐藤氏が思いついたキーワードなんだとか。「前にこの場所にあったイタリア料理店と、全然違うイメージにしたいと考えて。ちょうど目の前に広場があるでしょう。この店がにぎやかになることで、広場も、建物全体もにぎやかになる、そんなイメージが浮かんだんです」。
元々ポルトガル料理店から始めた佐藤氏は、常日頃からポルトガル料理とスペイン料理の違いを聞かれることも多かったそうだ。色々調べるうち、スペイン料理のおもしろさに開眼。ちょうどタイミングが合って『アークヒルズ』への出店話も持ち上がり、『ブリーチョ』オープンに至ったというわけだ。
「テラスには、テーブルサッカーや、スペインでおなじみのおつまみ「サルソル」社のナッツ販売機も。飲みながら楽しめる。」
ちなみに、この店が持つ“猥雑”なイメージとスペイン料理は相性がいい。
「優しい味わいのポルトガル料理に比べて、スペイン料理はエッジが効いているんですよ」と佐藤氏。にんにくなどを効かせて輪郭を際立たせる料理の数々は、ワインやビールがどんどん進む。人は饒舌になり、おのずと距離も近くなる。
人気店となるのは時間の問題…ならば今が行きどき!
「隣の席の会話が聞こえる距離感は、この店でいえば長所になる。スタッフのフレンドリーなサービスもまたよし。」
ちなみに散々食べて飲んで、単価の目安は4000円台。佐藤氏が話す通り「安くてうまい」というのは誰もが納得するはず。実は、その安さもうまさも、多大なる企業努力から生まれている。
魚なら、未利用魚と呼ばれる規格外のものを安価に仕入れて使用。塩漬けの干し鱈・バカラオなどの食材は、店で手作りすることでコストダウン。バレンシア産の高級ハムといった現地から取り寄せるものは、店の親会社が輸入を担うことで、価格を抑えて提供できるのだという。次々人気店を世に送り出す、佐藤氏の手腕に唸らされる。
「スペインでは幸運や勝利をもたらすとされるコウモリが目印。ちなみにこのマーク、佐藤氏自身がデザインを手掛けたそうだ。」
とはいえ、我々は難しいことは抜きにして、ただ楽しむのが正解。
連日満席で予約が取れない『クリスチアノ』同様、人気が加速する予感は多分にある。電話口でフラれるあの悲しさを味わう前に、すぐにでも行っておくべし!
これからは昼からワインがおいしい季節!猥雑な雰囲気も一緒に楽しめる仲間となら、なお最高だ。
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