ナポリタンこそ日本で独自進化を遂げた(ラーメンに次ぐ)国民食! だれもがコドモの時から食べているあの味だが、お店によって千差万別なシロモノに。DNAレベルにまで刷り込まれたナポリタンが一変する、食するに値する6皿がここに。
「この店の人気メニューのナポリタン(650円)。昼間からサラリーマンで行列ができる。」
これぞ喫茶店のナポリタン!を腹一杯に味わえる店である。 新橋にある『カフェテラス ポンヌフ』は、ランチタイムをとっくに過ぎた時間でも店内は満席。一人客のサラリーマンがほとんどで、ひっきりなしにお客さんが入れ替わりするほど。
ここでいちばんの人気料理は、ナポリタン。やわらかな太麺をしっかり炒めて、ケチャップもたっぷり。具は、ハム、タマネギ、マッシュルームとシンプルだ。普通盛りでもかなりの量だが、ほとんどのサラリーマンはハンバーグスパゲティー(大盛り)を注文する。
もちろんナポリタンの単品(650円)でもじゅうぶん満足。客たちはその人気の激旨ナポリタンを、まるで「カリオストロの城」のルパンのようにズバズバと豪快に食べている。自分の食い意地に驚くほどの、絶品ナポリタンをぜひ味わってほしい。
「こちらは写真手前がポンヌフハンバーグ(780円)、奥がハンバーグスパゲティー大盛り(850円)。どちらもナポリタンがメインといえる人気メニューだ。」
三島由紀夫が愛した麺 『どん底』のナポリタンです。ウインナー! ケチャップ! 玉ねぎ! 甘い! え、アサリ?!がきて、ピーマン(このピーマンが好きだ)。シンプル最高ー! とフォークを天に掲げたい、そんな麺です。 文豪が愛した麺、文豪麺の記事を書いたとき、徹底的に文豪と麺の取材をしたのですが、やはりここは白眉。演劇青年だったオーナーの矢野さんが文字通り手作りでお店を作ったそうで、そのはじまりは、1951年。東京に於いても歴史ある居酒屋のひとつです。三島由紀夫氏や金子光晴氏、黒澤明監督、美輪明宏先生などの名だたる名士を筆頭に愛されました。
わたしは英文学科なのに日本文学に傾倒して、ついに卒論を「三島由紀夫とヘミングウェイの両性具有的マザーコンプレックスと男根崇拝」と、三島由紀夫氏を先に冠して提出してしまいました。意味不明ですね。
そんな私が、三島由紀夫の通った店として大学時代から愛してきたのがこちらの『どん底』。新宿三丁目のど真ん中にあります。来るときはいつもひとりで、ボトルキープしてある「いいちこ」をがぶがぶ飲みながら、ちびちびさかなをつまみ、最後にこのナポリタンを食べて、年季が入った飴色の壁にぼんやり想いを馳せながら、ここに通った文豪、女優、美輪明宏先生にシンクロします。ナポリタンを食べているのではなく、歴史を味わっているのです。
なにかしたいけどなにをしたらいいかわからないひとは、ここのナポリタンを食べてみてください。ざっくりですが、なにか見えてくるかもしれません(わたしはまだ見えません)。
昔ながらの喫茶店のナポリタンを楽しめるのが、五反田の歓楽街を抜けた場所にある『プランタン』。1977年創業の喫茶店であり、昼は洋食店であり、夜はスナック?という、知る人ぞ知るお店。しかし、ここのナポリタンはべらぼうに旨い。
昼時は近隣のサラリーマンでいっぱいになり、その多くがナポリタンを注文する。一目見てわかるように、目玉焼きがてっぺんに乗っている。もう、これだけでそこらのナポリタンから一歩抜きんでている。そして、スパゲティはもちもち。口の中に吸いついてくる感覚さえ覚える。これを、たっぷりのケチャップで高火力で炒める。うす味好きな人には、「ちょっと濃すぎか…」と思えるぐらいの、濃厚なケチャップの味わいがたまらない。
具はオーソドックスにたまねぎ、ピーマン、ソーセージ。味噌汁がついてくるのがまたいい。これで700円。コスパも抜群。オムライスやコンビーフライスという、そそられる喫茶メニューもあり。夜はお酒だって飲めるし、カラオケだってできる。編集部の近くにあってくれて、ありがとう。心から思える、良店だ。
「一見、見逃してしまいそうな外観。しかし、ここに食の桃源郷がある」
もっと美味しいナポリタンは他にもあるかもしれません。でも、私は神保町『さぼうる 2』のもの、と決めています。
友人の少ない大学生活を過ごした私の、ひとり遊びコースはこうです。道路を挟んで向かいにある「岩波ホール」で映画を観賞。スクリーンがひとつしかないミニシアターの先駆け的存在です。ストーリーにどっぷり漬かったまま、この老舗喫茶店のぼんやりとした照明の下、少し酸っぱいナポリタンをいただきます。
お腹がいっぱいになる頃には「単位とか就職とか、どうにかなるだろ」と根拠のない晴れ晴れした気持ちになるのでした。
「おとなりには本店『さぼうる』が。お食事メニューが豊富なのが『さぼうる 2』です」
¥650という価格でこのボリューム。入っている具はハムとマッシュルームと玉ねぎとにんじんだけ、ととてもシンプルです。なので一本丸ごと運ばれてくるパルメザンチーズをたっぷりかけるのも、ありです。
私もそのひとりでしたが、「お金がない」が口癖の学生さんにとっては究極に優しい一皿。昭和、平成、これからもずっと時代を超えて、みんながほっとする味を守り続けてほしいと思っています。
路面店でスパゲッティをいただく、略してロメスパ。都内のロメスパ店の中でもナポリタンが売りのこちら、とにもかくにも量がすごい。普通盛りで350gというもの結構な量だが、大盛りで500g! 特盛りで700g!! メガ盛りで1000g!!!と、どんな腹ぺこにも対応出来るボリューム満点なサービスが売り。
私は様子見で大盛りで。同行してもらったカメラマンは、特盛りに。なんでもロメスパとは、茹で置きのパスタを炒めて作るものだそうで、厨房では一心不乱にフライパンをふるシェフが4人並ぶが、良く見るとフライパンではなく、中華鍋。メガ盛り(1キロ)のオーダーが続いたら、腱鞘炎になるのではないかと心配になるほど。
「見よ、このそびえ立つ山を。カメラマンは勇敢にも特盛りにチャレンジ。20代らしく、涼し気に完食してました」
ほどなく、大盛りが登場。量は多いが食べられないほどではない。パスタは懐かしい極太のタイプで、もっちりな食感。茹で置きの麺を炒めているためソースが麺にしみ込み、濃いめの味が疲れ気味の身体に染み渡る。
粉チーズを大量に投下したり、タバスコをかけてみたりと、気がつけばぺろっと5分で完食。パスタではなく、スパゲッティを食べたい。そんな昔の気分を味わいたいときおすすめです。
三宿在住なので、自然と中目黒でメシを食ったり、酒を飲んだりする機会も多い。それも仕事帰りの遅い時間に。。。
そんなケースで無性に食べたくなるのが、こちらのバーのナポリタンだ。ベーコン、ピーマン、玉ねぎ、マッシュルームといった王道の具材がいい。あまりひねりが効いてないほうが、こういうのは得てしていいのだ!
この店は、クリエーター系お洒落な夜遊び達人が集う店で、カジュアルな雰囲気で居心地もいい。白ワインをグビグビいきながら、ナポリタンをほおばる至福と言ったら!
書いていて、お腹が減ってきた。それぐらい、中毒性のあるナポリタンといえよう!
【東京カレンダーの関連記事】
『カフェテラス ポンヌフ』のナポリタン 副編集長 昌保博之選
これぞ喫茶店のナポリタン!を腹一杯に味わえる店である。 新橋にある『カフェテラス ポンヌフ』は、ランチタイムをとっくに過ぎた時間でも店内は満席。一人客のサラリーマンがほとんどで、ひっきりなしにお客さんが入れ替わりするほど。
ここでいちばんの人気料理は、ナポリタン。やわらかな太麺をしっかり炒めて、ケチャップもたっぷり。具は、ハム、タマネギ、マッシュルームとシンプルだ。普通盛りでもかなりの量だが、ほとんどのサラリーマンはハンバーグスパゲティー(大盛り)を注文する。
もちろんナポリタンの単品(650円)でもじゅうぶん満足。客たちはその人気の激旨ナポリタンを、まるで「カリオストロの城」のルパンのようにズバズバと豪快に食べている。自分の食い意地に驚くほどの、絶品ナポリタンをぜひ味わってほしい。
「こちらは写真手前がポンヌフハンバーグ(780円)、奥がハンバーグスパゲティー大盛り(850円)。どちらもナポリタンがメインといえる人気メニューだ。」
『どん底』のナポリタン 編集部員 鮓谷裕美子選
「¥850。ちなみに海外に行くと『どん底』に絵葉書を出してしまう酔狂な癖があるわたし。有難いことに、絵葉書はお店に飾ってくれています。でもロシアから送ったものは、1年経ちましたが届いていません。ゴーリキー!」三島由紀夫が愛した麺 『どん底』のナポリタンです。ウインナー! ケチャップ! 玉ねぎ! 甘い! え、アサリ?!がきて、ピーマン(このピーマンが好きだ)。シンプル最高ー! とフォークを天に掲げたい、そんな麺です。 文豪が愛した麺、文豪麺の記事を書いたとき、徹底的に文豪と麺の取材をしたのですが、やはりここは白眉。演劇青年だったオーナーの矢野さんが文字通り手作りでお店を作ったそうで、そのはじまりは、1951年。東京に於いても歴史ある居酒屋のひとつです。三島由紀夫氏や金子光晴氏、黒澤明監督、美輪明宏先生などの名だたる名士を筆頭に愛されました。
わたしは英文学科なのに日本文学に傾倒して、ついに卒論を「三島由紀夫とヘミングウェイの両性具有的マザーコンプレックスと男根崇拝」と、三島由紀夫氏を先に冠して提出してしまいました。意味不明ですね。
そんな私が、三島由紀夫の通った店として大学時代から愛してきたのがこちらの『どん底』。新宿三丁目のど真ん中にあります。来るときはいつもひとりで、ボトルキープしてある「いいちこ」をがぶがぶ飲みながら、ちびちびさかなをつまみ、最後にこのナポリタンを食べて、年季が入った飴色の壁にぼんやり想いを馳せながら、ここに通った文豪、女優、美輪明宏先生にシンクロします。ナポリタンを食べているのではなく、歴史を味わっているのです。
なにかしたいけどなにをしたらいいかわからないひとは、ここのナポリタンを食べてみてください。ざっくりですが、なにか見えてくるかもしれません(わたしはまだ見えません)。
『プランタン』のスパゲティナポリタン 編集部員 船山壮太選
「とにかく濃厚なケチャップ味。プラス100円で大盛りも可。これまたスゴい量」昔ながらの喫茶店のナポリタンを楽しめるのが、五反田の歓楽街を抜けた場所にある『プランタン』。1977年創業の喫茶店であり、昼は洋食店であり、夜はスナック?という、知る人ぞ知るお店。しかし、ここのナポリタンはべらぼうに旨い。
昼時は近隣のサラリーマンでいっぱいになり、その多くがナポリタンを注文する。一目見てわかるように、目玉焼きがてっぺんに乗っている。もう、これだけでそこらのナポリタンから一歩抜きんでている。そして、スパゲティはもちもち。口の中に吸いついてくる感覚さえ覚える。これを、たっぷりのケチャップで高火力で炒める。うす味好きな人には、「ちょっと濃すぎか…」と思えるぐらいの、濃厚なケチャップの味わいがたまらない。
具はオーソドックスにたまねぎ、ピーマン、ソーセージ。味噌汁がついてくるのがまたいい。これで700円。コスパも抜群。オムライスやコンビーフライスという、そそられる喫茶メニューもあり。夜はお酒だって飲めるし、カラオケだってできる。編集部の近くにあってくれて、ありがとう。心から思える、良店だ。
「一見、見逃してしまいそうな外観。しかし、ここに食の桃源郷がある」
『さぼうる 2』のナポリタン 編集部員 守屋美佳選
「ナポリタン¥650(ミニサラダ付き)。盛り過ぎて後ろのパルメザンチーズやタバスコがよく見えません」もっと美味しいナポリタンは他にもあるかもしれません。でも、私は神保町『さぼうる 2』のもの、と決めています。
友人の少ない大学生活を過ごした私の、ひとり遊びコースはこうです。道路を挟んで向かいにある「岩波ホール」で映画を観賞。スクリーンがひとつしかないミニシアターの先駆け的存在です。ストーリーにどっぷり漬かったまま、この老舗喫茶店のぼんやりとした照明の下、少し酸っぱいナポリタンをいただきます。
お腹がいっぱいになる頃には「単位とか就職とか、どうにかなるだろ」と根拠のない晴れ晴れした気持ちになるのでした。
「おとなりには本店『さぼうる』が。お食事メニューが豊富なのが『さぼうる 2』です」
¥650という価格でこのボリューム。入っている具はハムとマッシュルームと玉ねぎとにんじんだけ、ととてもシンプルです。なので一本丸ごと運ばれてくるパルメザンチーズをたっぷりかけるのも、ありです。
私もそのひとりでしたが、「お金がない」が口癖の学生さんにとっては究極に優しい一皿。昭和、平成、これからもずっと時代を超えて、みんながほっとする味を守り続けてほしいと思っています。
『ロメスパバルボア』のナポリタン 編集長 大槻篤選
「こちらがナポリタン 大盛り(500g)。ぺろっと勢いで食べられるが、四十路の身体にはその後猛烈な胃痛が…。次からは普通盛りにします」路面店でスパゲッティをいただく、略してロメスパ。都内のロメスパ店の中でもナポリタンが売りのこちら、とにもかくにも量がすごい。普通盛りで350gというもの結構な量だが、大盛りで500g! 特盛りで700g!! メガ盛りで1000g!!!と、どんな腹ぺこにも対応出来るボリューム満点なサービスが売り。
私は様子見で大盛りで。同行してもらったカメラマンは、特盛りに。なんでもロメスパとは、茹で置きのパスタを炒めて作るものだそうで、厨房では一心不乱にフライパンをふるシェフが4人並ぶが、良く見るとフライパンではなく、中華鍋。メガ盛り(1キロ)のオーダーが続いたら、腱鞘炎になるのではないかと心配になるほど。
「見よ、このそびえ立つ山を。カメラマンは勇敢にも特盛りにチャレンジ。20代らしく、涼し気に完食してました」
ほどなく、大盛りが登場。量は多いが食べられないほどではない。パスタは懐かしい極太のタイプで、もっちりな食感。茹で置きの麺を炒めているためソースが麺にしみ込み、濃いめの味が疲れ気味の身体に染み渡る。
粉チーズを大量に投下したり、タバスコをかけてみたりと、気がつけばぺろっと5分で完食。パスタではなく、スパゲッティを食べたい。そんな昔の気分を味わいたいときおすすめです。
『monopole』のナポリタン 副編集長 日紫喜康一郎選
「スパゲティナポリタン¥1,000は、こちらの不動の人気メニュー!」三宿在住なので、自然と中目黒でメシを食ったり、酒を飲んだりする機会も多い。それも仕事帰りの遅い時間に。。。
そんなケースで無性に食べたくなるのが、こちらのバーのナポリタンだ。ベーコン、ピーマン、玉ねぎ、マッシュルームといった王道の具材がいい。あまりひねりが効いてないほうが、こういうのは得てしていいのだ!
この店は、クリエーター系お洒落な夜遊び達人が集う店で、カジュアルな雰囲気で居心地もいい。白ワインをグビグビいきながら、ナポリタンをほおばる至福と言ったら!
書いていて、お腹が減ってきた。それぐらい、中毒性のあるナポリタンといえよう!
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