1.国立科学博物館附属自然教育園とは?
天然記念物(史跡)になったのは昭和24年のこと。このエリア一体が「旧白金御料地」いうことで指定を受け、国立自然教育園という名称で広く公開されています。現在の名称になったのは昭和37年のことですね。東京都内においては、とっても貴重な自然の場と言えます。山手線の目黒駅や、東京メトロの白金台駅からは散歩がてらに訪れることができる立地です。
2.国立科学博物館附属自然教育園の魅力
http://park.tachikawaonline.jp/plantes/22_kahaku.htm
園内には松、樫、スダジイなどの常緑樹、コナラ、欅、ミズキなどの落葉樹が広がり、その中にススキやヨシの草原や池があり小川が流れています。豊かな自然の中で、小鳥や昆虫などの生きものや四季折々の草花に出会うことができる場所。森林の静寂と澄んだ空気を味わいながら散策してみてはいかがでしょうか。リフレッシュすること、うけあいです。都会のオアシス、それがこの自然教育園です。
自然園として公開されてからも、自然の姿をありのままに保全してきています。そして都内にあって、とにかく広い自然空間です。その広さは東京ドーム4個分(6万坪)もあり、散策しているだけでも、自然の持つパワーを享受できそうですね。東京において、自然を満喫したい、と思ったら是非足を運んでみてください。紅葉の季節もオススメですよ。
3.見どころ
路傍植物園
http://ecocafe.sblo.jp/article/68621084.html
入園して、すぐの路傍植物園。道端に生育する、福寿草、タチツボスミレなどの野草類が多く見られる場所です。新緑のシーズンも美しいですが、紅葉も見事です。路傍というだけあって、自然教育園の中に入っていく途中の道沿いにあります。植物園のところには、ベンチも配置されており、ちょっと腰かけて道端の野草を眺めることもできます。植物が生い茂っているので、暑い時期には休憩していくのも良いでしょう。ここで佇むだけでも、四季折々の植物の姿を楽しむことができるはずです。迫力のあるシイの巨木も眺められますよ。
物語の松
http://tokyogrutto.blogspot.jp/2014/11/blog-post_19.html
路傍植物園の先にある「物語の松」。老木の松です。秋の紅葉との対比も見事です。この老松は、もともと江戸時代にあった松平讃岐守の下屋敷時代からのものです。当時の面影を今に伝えてくれる存在で、まさしく物語の松、ですね。近くにはひょうたん池もあります。かつてはこうした池を中心とした回遊式庭園だったのかもしれません。自然教育園のほぼ真ん中に位置しています。松からひょうたん池沿いに歩いていくと、水生植物園に辿りつきます。
水生植物園
http://park.tachikawaonline.jp/plantes/22_kahaku.htm
池や湿地に生息するハンノキやカキツバタなどの植物、めだかやモツゴなどの魚が生息しカルガモやアオサギなどの鳥が見られるエリア。運が良ければカワセミに会えるかもしれません。四季折々で姿を変える場所でもあります。水際に植物たちの姿がよく映えており、中なかの景色となっていますね。ひょうたん池のほうは、木々が頭の上に覆っている感じですが、こちらは頭上がさっぱりと開けています。天気の良い日に眺めるのも良いですね。春や秋も良いですが、寒々として氷も張る冬の時期も独特な趣があります。
大蛇の松
樹齢約300年の黒松。幹周り約4m、台風で枝が折れる前は、樹高30mという巨大さを誇っていました。この松も、江戸時代の松平讃岐守の下屋敷だった名残ですね。とても立派な松であり、入り口からはかなり離れた場所にあります。ここまで歩いて来れば、自然教育園を縦には横断したような形になるのでないでしょうか。水生植物園からは歩いてすぐの場所にあるので、こちらの松に行くか、森りの小道方面に行くか、武蔵野植物園に行くかルートを選べます。
小鳥や虫たち
http://kokocamera.exblog.jp/23263703/
国立科学博物館附属自然教育園では、数多くの小鳥や昆虫たちに出会うことができます。園内の様々な場所には植物の名札があります。また自然についての知識が書かれた看板も配置しているので、そうしたものを読んだり見比べながら自然を学ぶこともできます。池や沼にも鳥たちが訪れ、綺麗な声で鳴いています。都会でもよく見かける雀やカラスもここで羽根を休めたりしています。季節によっては美しい蝶の姿が見れたり、池から亀が顔を覗かせたりします。
コナラ林
自然教育園の広い園内には、5つの絶景スポットとされる場所があり、その中のひとつが水生植物園の南側からイモリの池の東側、水鳥の沼の近くまで続くのが樹齢100年を超えるコナラ林です。手を加えられずに、大きく育ったコナラの木が園内には300本以上あり、秋には美しい黄葉を見せてくれます。コナラは里山にはどこにでもあった樹木で、薪や炭にするために植えられていました。4月に花が咲いて、10月には細長い形をしたドングリになります。ドングリは子ども達の遊び道具になりました。
ここまで大きく育つには、100年という歳月が必要ということ考えながら眺めると、感慨深いですね。大きくコナラが育っていくと、下の方にある若木や芽生えなどは見当たらなくなっていきます。光量が絶対的に不足する為で、芽生えなどは育たないんですね。つまり、この林自体もだんだんとシイやカシといった常緑樹林に変わっていく運命というわけです。
水鳥の沼
鬱蒼とした落葉樹の林に囲まれた水鳥の沼は、西側には林の向こうは首都高2号線が走り、東側は東京都庭園美術館の敷地になっている場所にあります。すぐ隣にある都会の風景とは隔絶されたような場所には、カルガモやサギなどの水鳥がやってきて、のんびりと過ごしています。時には美しいカワセミの姿を見ることも出来ます。武蔵野の自然と生態系の保護に努めている、自然教育園ならではの光景が楽しめます。
沼のイメージが示す通り、木々が生い茂りちょっと薄暗めのスポットです。雨などが降ると、さらにそうした雰囲気が増しますね。ただ木々の葉が落ちる時期は、情景も変わります。時折差し込んでくる光がとても暖かく感じられますね。鳥たちにとっては、とても過ごしやすい環境のようで、様々な鳥の囀りが聴こえてきます。
森の小道
武蔵野植物園から武蔵野コースを北に向かい、自然教育園の北端エリアから南に向かう遊歩道が森の小道で、水生植物園まで続くケヤキやミズキなどの落葉樹林に囲まれた散策路となっています。森の小道は、遊歩道の教育園最も奥となる場所から、左手に園内の5つの絶景スポットのひとつ、小川と湿地をところどころに垣間見ながら散策を楽しむことが出来ます。長閑な光景を眺めることが出来る小川と湿地では、四季折々にありのままの武蔵野の自然の草木の姿を楽しむことが出来るでしょう。
紅葉の時期は、鮮やかな赤と黄色が目に飛び込んできますね。湿地沿いに歩いていく感じですが、ぐるりと円を描くように歩いて行けるので、自然を楽しみながら散歩するにはよい環境です。湿地の向こう側は特別保存地区になっており、道もなく歩いていくことはできません。一部、道が狭めの場所があります。夏季などで無理して通りたくなければ引き返しましょう。
展示ホール/教育管理棟
武蔵野の自然そのままに残されている自然教育園を、四季折々にその姿を楽しむには、教育園を訪れたらまず展示ホール/教育管理棟に立ち寄りましょう。展示ホールでは、自然教育園のリアルな情報を得ることが出来るので、散策前にその時々の教育園の最新情報を得ることが出来ます。展示ホールでは、自然教育園の歴史や、調査研究についての展示などが行われています。長年にわたる調査研究のひとつとして、カワセミの生態についての調査研究があり、運良くカワセミの子育てが行われると、子育ての中継映像を展示室で解説付きで見ることが出来ます。
4.自然教育園の四季
山手線の内側にある貴重な武蔵野の森、自然教育園の全域が史跡・天然記念物に指定されており、豊かな武蔵野の自然がそのまま守られ続けています。自然教育園では、1436種の植物、2130種の昆虫、130種の鳥類がこれまでに確認されており、自然の保持と共に生態系の保護の努力が行われています。豊かな自然が守られている自然教育園は、都心とは思えないありのままの自然が作り出す素晴らしい光景を、四季の移り変わりと共に見せてくれます。
春
寒い冬から春の訪れがやってくれば、鳥たちがさえずりはじめ、虫たちが土の中から出て飛び始め、花は春を悦ぶように咲き競います。自然教育園では、春告げ鳥のウグイスのさえずりを、3月上旬から4月初めにかけて聴くことが出来たり、メジロやオオルリの声も聞こえます。都内では珍しくなったトラフシジミやツマキチョウ、モンシロチョウを見ることが出来ます。
花が春を悦び咲き競う様は、ソメイヨシノやヤマザクラはもちろんですが、フクジュソウ、カタクリ、ヒトリシズカ、バイモなど、数多くの草木の可憐で美しい姿が楽しめます。
夏
武蔵野の森の緑が濃く美しくなる夏は、自然が残されている自然教育園では、木陰を生み出す緑と、息づく大地などが、豊かな自然の中で涼を味わわせてくれます。武蔵野の本来の自然が保たれることで、カワセミが子育てに励み、近くで子育てするツバメがエサを求めてやって来ます。木陰のある園路などには、カラスアゲハ、クロアゲハ、オナガアゲハ、ナガサキアゲハなどのアゲハが飛び交います。
梅雨に近づけばノハナショウブが咲き始め、ガクアジサイも楽しめるようになります。梅雨明けとなればヤマユリが咲き、コバギボウシ、ウバユリ、ミソハギなどの花も楽しめます。
秋
武蔵野の自然が残されているとは言え夏は暑い日が続き、秋になれば穏やかな陽射しとなり、ススキの姿が目立つようになり、秋も深まれば紅葉が美しい季節となって行きます。秋になり涼しくなった自然教育園では、6月に教育園で生まれて涼しい郊外で夏を過ごした、アキアカネが戻ってきます。モズがオス・メスそれぞれ縄張りを張る声が聞こえるようになり、ヒヨドリがまとまって渡って来る姿も見られます。
冬
冬の自然教育園の姿は、寒々しさを感じるだけでなく、冬枯れの武蔵野の自然に囲まれながら、木漏れ日の中を思索しながらの散策をしたりすることで、ゆったりとした時の流れが感じられるでしょう。冬になるとオシドリがつがいになり、メスが子育てに励みます。キジバトが落ち葉をかき分けて、木の実を探す姿を見ることが出来ます。木の葉が無い冬なればこそ、ツグミやアカハラ、シロハラ、アオジなど、バードウォッチングには好都合な季節となります。
5.東京都庭園美術館
附属自然教育園と同じ白金台の森の中にあり、広大な森の南西部を占めているのが東京都庭園美術館です。東京都庭園美術館の敷地と建物は、白金御料地の一部に昭和8年(1933)に完成した旧朝香宮邸でした。アール・デコの全盛期の影響を受けて建てられた旧朝香宮邸は、昭和22年(1947)に外務大臣・総理大臣公邸となった後、昭和30年(1955)に白金迎賓館となりました。昭和58年(1983)から東京都庭園美術館として、昭和初期のアール・デコ様式の姿を、ほぼ留めたまま一般公開されました。
美術館は、旧朝香宮邸の本館と新館、庭園に分かれていて、展覧会の展示室となる本館各室は、部屋そのものが芸術品とも言える美しさと風格を持っています。展覧会の観覧とは別に、庭園だけの入園見学も行うことが出来ます。
■ 基本情報
- ・名称: 東京都庭園美術館
- ・住所: 港区白金台5-21-9
- ・アクセス: 附属自然教育園隣接
- ・営業時間: 10:00~18:00
- ・定休日: 第2・4水曜日(祝日の場合は翌日)、年末年始
- ・電話番号: 03-3443-0201
- ・料金:
- 入館料|展覧会によって異なる
- 庭園入園料|大人100円、大学生80円、中・高生50円
- ・所要時間: 1~2時間
- ・公式サイトURL: http://www.teien-art-museum.ne.jp
6.口コミ
国立科学博物館附属自然教育園に関する口コミです。口コミ1 “都心の一等地の自然”
500年前から残る自然。その昔、武蔵野の豪族の住まいから始まり、江戸時代の松平讃岐守の下屋敷、明治以降の国の御料地と一般人が出入りできないことによって残った自然です、小路や遊歩道は整備されていますが、大きな樹や草木が重なる光景は自然林そのものです。桜には少し早かったですが、新緑。紅葉といつでも楽しめそうです。口コミ2 “東京の原風景”
東京は建物が無かったらこんな場所なんだと思える場所です。入場料大人で¥310(高校生以下無料)が必要ですが一周約1時間の旅はあなたを癒してくれるはず。大きな森なので不思議な鳥との出会いや不思議な植物との出会いなど大人でも十分に楽しめます。ちなみに私は大きな黄色い鳥が集団でいるのを見つけてずっと見入ってしまいました。都営三田線白金台駅より五分程度の場所にあるので是非行かれて見ては?お勧めです^o^口コミ3
http://www.jalan.net/kankou/spt_13103cc3310040227/kuchikomi/
白金台と目黒の駅の間にある自然のオアシスですが、立派な天然記念物です。元は大名のお屋敷から火薬庫、御料地を経て、今は自然に親しむためのいろいろな学習活動をしています。そのため中はとても東京の真ん中とは思えない、そのままの緑があふれています。 GWのこの時期は、花を楽しむというよりも、森林浴とキレイな空気にふれて身も心も癒されるという感じでしょうか。 チャンスがあればカワセミにもあえるということでしたが、この日は残念ながら見ることは出来ませんでした。むしろカラスの鳴き声のほうが目立っていたような…。 それでも自分おペースで散策コースを歩くのも良いと思いますし、水生植物園を吹き抜ける初夏の風を楽しむのも気持ちがいいと思います。 事前にスケジュールを調べておけば、観察会やセミナーにも参加できるみたいです。7.「国立科学博物館附属自然教育園」についての詳細
基本情報
- ・名称:国立科学博物館附属自然教育園
- ・住所:東京都港区白金台5丁目21−5
- ・アクセス:東京メトロ南北線/都営三田線 白金台駅出口1 より目黒通り徒歩7分
- ・開園時間:9月1日~4月30日 9:00~16:30
- 5月1日~8月31日 9:00~17:00
- ・休園日:毎週月曜日、年末年始(12月28日~1月4日)
- ・電話番号:03-3441-7176
- ・入園料:一般・大学生 310円、65歳以上の方および18歳未満の方は無料
- ・公式サイトURL:http://www.ins.kahaku.go.jp
附属自然教育園は東京大学の附属機関で、白金台にある武蔵野の自然を守りながら、調査・研究も行われています。自然を守り知る調査研究の場ということから、園内への入園可能人数は300名となっており、混雑時には入園制限が行われることもありますが、心おきなく自然と触れあうことが出来ます。
素材提供:トリップアドバイザー