恵林寺(えりんじ)を、あなたはご存知でしょうか?こちらは山梨県甲州市にある人気の観光スポットのひとつですが、あの有名な武将、武田信玄の墓所があることで知られています。それ以外にも、国指定名勝の庭園や木造夢窓国師坐像、武田不動尊坐像、江戸時代に幕臣として活躍した柳沢吉保の墓などが残されており、長い歴史を感じることができます。今回は、このとても良い雰囲気のある寺院の魅力や見どころをご紹介しますので、ぜひ一度訪れてみてはいかがでしょうか?
恵林寺とは?
応仁の乱のときに荒廃してしまいますが、甲斐武田氏の菩薩寺に定められたことにより復興します。京都から高僧が招かれることもあるそうですよ。また、1582年には本能寺の変で信長が討たれ、武田遺領を巡る天正壬午の乱を経て徳川家康によって甲斐を領されました。しかし武田遺臣を庇護していた家康は織田による焼き討ちを逃れた後、恵林寺を再建しました。このように恵林寺には武田・徳川など名の知れた戦国武将のさまざまな庇護によって現在まで残っているとも言えます。
恵林寺の魅力
夢想礎石の作庭による庭園が国の名勝に指定されているほか、多数の重要文化財や山梨県指定有形文化財などを有しています。また、周囲を囲む緑と境内の建物の調和も美しく、どこか懐かしさを感じるような優しい雰囲気のある寺院です。春には桜を楽しむため多くの来訪者で賑わいます。桜の花が散ってしまったあとに訪れたことがありますが、すぐそばの湖面に花弁が浮かぶ様子も美しいです。広い敷地内に広がる風景は丁寧に手入れされ、併設された資料館では充実した資料を見ることができます。お食事処やおみやげ品の売店などもあり、ゆったりと散策したあとにはのんびり休憩することもできます。武田信玄縁のものだけでなく、甲府に縁のある天下の使用人・柳沢吉保夫妻の墓もあります。信玄公ばかりが表立って有名になっていますがこの人物も忘れてはなりません。参道の開放感が素晴らしく、散策やリフレッシュには最適です。
見どころ・関連情報など
武田信玄と縁のある恵林寺には信玄公にまつわるさまざまな見どころがあります。武田信玄ファンであれば一度は訪れたい場所ばかり。そうでなくてもとても雰囲気のある素晴らしいお寺なので訪れる価値は十分にあります。お寺内では写真撮影ができますが、武田信玄墓所など禁止されているところもあるのでマナーやルールをしっかりと守って散策しましょう。鎌倉時代の庭は国の史跡にも指定されているので見応え抜群です。派手な景観はありませんが、しっとりとした雰囲気が漂いのんびりできますよ。武田信玄の墓
恵林寺は応仁の乱で荒廃しましたが、その後に甲斐武田氏の菩提寺に定められて復興し、永禄7年(1564年)には武田氏により寺領が寄進されました。天正4年(1576年)4月には嫡男の勝頼を喪主として信玄の葬儀が行われた場所です。信玄が53歳で亡くなってから、命日の4月12日には毎年供養が行われています。墓所にたどり着くまでに通る”うぐいす廊下”の音にもご注目ください。うぐいす廊下は広い方丈と成田不動堂を結ぶ廊下になっています。その廊下を抜けた先に信玄公の墓所があります。この墓所の後ろには武田家臣の供養塔が約70基並んでいます。すぐ近くには柳沢吉保の墓もあります。信玄公の「自分の死を3年間は秘匿す」というのはあまりにも有名な話で、息子の勝頼はそれを守り死後3年後に恵林寺で弔事を行ったそうです。死後3年経過してからの葬儀の理由はそこにあったのです。葬儀の際には快川紹喜が大導師を努めました。
心頭滅却すれば、火も自ずから涼し
「心頭滅却すれば~」これはよく聞く言葉ですが、正式には「安禅は必ずしも山水を須いず、心頭滅却すれば火自ら涼し」だそうです。元々は中国の詩人「杜荀鶴(とじゅんかく)」が悟空上人の寺を訪ねたときにつくった詩なんですよ。これは座禅をする場所は山の中や川辺でなくてもよい、心が無心であれば暑さ寒さを超越して自身の心が自然と涼しい境地にあるのかもしれない、ということ。心の持ちようでどうにでもなる、と言いたかったのでしょうか。これは現代にも通用するものがありますね。
夢想礎石作の庭園
国の名勝指定を受けている、夢窓国師が作庭した庭園も見事です。作庭から670年余りを経た今も四季折々の風景を見ることができ、この庭園に惚れ込んでリピーターとなる方も多いのだそうです。その他にも境内には徳川幕府老中・柳沢公の墓所や、戦中には東京の学童疎開の場として当時の小学生約150人が寄宿生活を送っていた日本有数の大庫裡などもあり、見どころが満載です。そして、草団子が有名とのこと。ぜひ召し上がってみてください♪
夢想礎石設計による庭園は世界遺産や国の特別名勝に登録されているものが多く、京都の天龍寺や西芳寺などがあります。そんな数々の素晴らしい庭園を創りだした夢想礎石作の庭園は池泉回遊式庭園となっています。庭園は本堂の裏手にあります。日本庭園を極めた禅僧の作品は「創成期」「発展期」「成熟期」と3つの時代に分かれます。ここ、恵林寺はその中の「発展期」にあたります。この庭園は自然の滝や池、眺望などの目立ったものはありませんが、石や木々による普通の自然とは異なった空間をつくり出しています。
訪れた人の声・写真
信玄公の眠る恵林寺。苔に癒されます。 pic.twitter.com/WBDwJZ50kn
— ken@たっくん (@ken_20141124) 2015, 8月 13
武田信玄の菩提寺である恵林寺へ。 ぼっーと、庭を見て癒されてきました。 pic.twitter.com/nLp0Qwpnnh
— ゆい✩ (@muccho3844) 2015, 7月 22
休みを取ったダンナとドライブで山梨なう。武田信玄の菩提寺、恵林寺静かで良い所(*^^*) pic.twitter.com/AbWOlmFHRz
— いなまりん☆ (@maripop0210) 2015, 6月 26
基本情報・地図
■ 基本情報
- ・名称: 恵林寺
- ・住所: 山梨県甲州市塩山小屋敷2280
- ・アクセス:◆JR中央本線塩山駅から甲州市市民バス西沢渓谷線・窪平線に乗車
- →「恵林寺」バス停で下車。
- ◆JR中央本線山梨市駅から山梨市営バス西沢渓谷線に乗車
- →「隼上」バス停で下車。
- (※できればレンタカーなどでのアクセスが便利です。)
- ・営業時間: 8:30 – 16:30
- ・定休日:宝物館…12月~3月・毎週木曜日
- 拝観は無休です。
- ・電話番号: 0553-33-3011
- ・料金:個人共通券…大人700円・高校生400円・小中学生200円
- (※恵林寺・宝物館共通。個別の券もありますが、共通券がお得です。)
- ・公式サイトURL: http://www.erinji.jp/
恵林寺の見どころや魅力をお伝えしましたが、いかがでしたか?さまざまな歴史が刻まれているこの寺院には、何度も足を運ぶ人も多いそうです。今回ご紹介した以外にも、宝物館には信玄公所用の兜・軍配団扇、風林火山で有名な孫子の旗など、武田氏に関する文化財を多数所蔵しているそうです。また夢窓国師の代表的な庭園でお抹茶を味わうことができたり、毎週土日に本堂で開かれる坐禅会に参加できたりするそうですので、ぜひ一度、皆さんも訪れてみてください。