http://hikarinoyakata.com/
光と影は永遠にまじりあわないもの。そう思っていたら、新潟県十日町市に光と影と空が入り混じる不思議な建物がありました。しかもそこは宿泊可能なアート作品。光の魅力を駆使した、魔法がかかったような世界にどっぷりつかってみましょう。 リピーター多し!世界にも例を見ないアートの館
「光の館 – House of Light」は、2000年の「第一回 大地の芸術祭 越後妻有アートトリエンナーレ」で作られたアート作品です。光を自在にあやつるアーティスト、ジェームズ・タレルさんの実験的な作品で、見学もできますが、瞑想のためのゲストハウスです。
なお、宿泊時にはタレルさんの希望で「3家族がこの館で一晩交流する」ことになっているので、少人数の場合は他の家族と同泊になることがあります。
光の魔術師、タレルさんの不思議な世界を体験!
ジェームズ・タレル(James Turrell)さんは、1943年にアメリカのカリフォルニア州ロサンゼルスで生まれました。光と空間をテーマに意欲的な作品を発表している現代アートの作家です。普段は私たちがあまり意識しない「光」に焦点を当てたアート作品に、特に力を入れています。
建物のモデルは谷崎潤一郎の『陰翳礼讃』
「光の館」のモチーフは日本の作家、谷崎潤一郎の「陰翳礼讃(いんえいらいさん)」をヒントにしています。建物は伝統的な日本家屋で畳やふすまがあり、家の中にタレルさんの光のアート作品を埋め込んであります。斬新なアート作品ですが、不思議なくらい越後妻有の自然に溶け込んでいます。
いたるところにアートを感じられます
とにかくあちこちに細かい細工がほどこされています。ちょっとだけ見てみましょう。まずは取っ手です。ひょうたんみたいな曲線が和風モダンでかわいらしい。
これも取っ手です。くるっとまわって、まるでイタズラ書きのようです。タレルさんの軽妙なデザインが生きています。
アウトサイドインという部屋の床の間です。スッと縦長の切れ目に光が埋め込んであり、照明の色が変わります。光によって部屋の印象がまったく異なってみえるという、光の存在を如実に示したデザインです。
一番の見どころは、リビングの開閉式天井
移り行く空と光で心ゆくまで瞑想タイム
アウトサイドインは12.5畳の和室です。ここが「光の館」の心臓部と言ってもよく、屋根がスライドして天井から空を見ることができます。まるでサンダーバードの基地みたいですね!和室に座って天井を見上げていると、空と建物を区切っているのが屋根ひとつだということがよくわかります。
こんなふうに、屋根がスライドして開きます。お天気によっては開閉できないときもありますが、晴れていれば屋根から青空がみえます。
ここでは日没と日の出に合わせて、1日に2回、ライトプログラムがあるんです。太陽の光と、間接照明の演出がなんとも幻想的でアーティスティックな空間!
空が暗くなるとライトの色も変わるんです。写真で見るといったいどうなっているのか!?不思議に感じてしまいますね。
入浴中もアート体験!光に触れる浴槽!
浴室には、光ファイバーの照明があります。
http://www.machibell.jp/Hotel-Guide/House_of_Light/index.html
お湯の中にも光がいっぱいになり、お風呂に入ることで光を体感することができるという仕組みです。 夜はキラキラですが、朝になると木々が見えて、森林浴+入浴も味わえます。
夜の闇夜に浮かぶ「館」の美しさは格別!
夜になると、「光の館」の美しさは倍増します。独特の高床式が明るく輝き、まるで古代の神殿のよう。昼間のシンプルな姿とは別の表情が見られます。ちなみに高床式の理由は、十日町が豪雪地であるため、雪に埋もれないよう2.7メートルほど上げてあるのです。
金沢でもタレルさんの作品に出会えます!
光の魔術師、タレルさんの作品は石川県金沢市の金沢21世紀美術館でも体験できます。「Blue Planet Sky」という作品で、通称「タレルの部屋」。石のベンチに座ると、四角い天井の窓から空の変化を見ることができます。行くたびに風景が違うので、何度も来るリピーターが多いのだとか。
光の館は見学だけもOK!
「光の館」はゲストハウスの構想ですが、見学だけでも受け付けています。ただし、見学できない日があったり、見学時間が変更になったりすることがありますから、必ず電話連絡で確認してください。会議室としても利用されているようです。
- ■ 基本情報
- ・名称: 光の館
- ・住所: 新潟県十日町市上野甲2891
- ・アクセス:十日町駅から車で約15分
- ・営業時間: チェックイン 午後4時から チェックアウト 午前10時まで 見学のみは午前11時30分~午後3時
- ・料金: 施設利用料20,000円+1人当り利用料4,000円(小学生2000円、小学生未満無料) 見学料金は中学生以上 500円、小学生 250円
- ・電話番号: 025-761-1090
- ・公式サイトURL: http://hikarinoyakata.com/
アートというと小難しい印象が強くて、敬遠している人も多いはず。しかし「光の館」はタレルさんの遊び心がたっぷり入った体感型アート作品です。アート作品に宿泊できるなんて貴重な体験ですから、ぜひとも泊まってみてください。心が解き放たれるようです。