台湾北部、基隆(ジーロン)川の渓谷沿いに、猴硐(候硐・ホウトン)という村があります。ここは100匹近いネコが暮らす「ネコ村」として有名な場所。周囲は緑に囲まれ、のどかでとても心安らぎます。台北を訪れたらちょっと遠出して、かわいいネコたちに会いに行ってみませんか。
カラフルなローカル列車、平渓線に乗って
台北駅から鉄道で約1時間。新北市にある猴硐は、駅周辺の集落・光復里(グァンフーリー)を中心とする人口300人余りの村です。台北駅から乗り換えなしで行けますが、美しい渓谷に沿って走る人気のローカル線・平渓線が手前の瑞芳(ルイファン)まで乗り入れているため、平渓線に乗り換えて行ってみました。
のんびりした空気が漂う駅舎内には、あちこちにネコの形のオブジェや看板が見られます。今日はどんな子たちに出合えるかなと、期待が高まります。
そこかしこに現れるフレンドリーなネコたち
駅の階段を下りている途中で、早くも白黒のネコがお目見え。
あまりにも無防備なこの様子。人間に対する警戒心など全くありません。
おなかをなでると、嬉しそうにのびをしました。
ネコたちがここで安心して暮らしている様子が伺えます。
駅を出ると、こんなかわいい子ネコが、花壇の中を走り回っていました。
いたずらして観葉植物の葉を折ってしまい、地元の人に怒られていましたが、懲りた様子のないやんちゃ盛りです。
ここにもくつろいでいるにゃんこが。
起きたいけど、眠くてたまらなくてムリ・・・という様子で寝ています。
ほかにも何匹ものネコたちが、思い思いに過ごす様子が見られました。
基隆川に架かる橋を渡ると、澄んだ川の流れと緑豊かな山々の景色が、なんと美しいこと。
車もほとんど見かけない、空気のきれいな田舎の村。ネコの遊び場となる草むらもいっぱいあります。
ここでのびのびと暮らすネコたちが、とても幸せに思えました。
猴硐にネコが多い理由
駅前にはかつて炭を選別するのに使われた、瑞三整炭工場の廃墟が残る猴硐はかつて、台湾最大の炭鉱でした。最もにぎわいを見せた1960~70年には、村は今の何十倍もの人々であふれたといいます。
炭鉱で働く人々が、坑道の木の柱などをネズミに食べられないようにネコを飼ったため、猴硐にはネコが多いのだそうです。
2009年には、ネコ愛好家による保護活動が始まり、ネコの居住環境の整備やワクチン接種、避妊手術が行われるようになりました。
猴硐はこうして、ネコの村として知られるようになっていったのです。
川に面する広場に並んだネコ小屋
ネコ・ヒト兼用の橋を渡って山側へ
線路の上に架けられた橋を渡って、谷側から山側へ向かいます。2013年にできたこの「新猫橋」は、茶色いネコをイメージして造られました。人だけでなくネコも自由に行き来し、内部にはネコ用の休憩所も設置されています。
山側に着くと、ここにもネコの楽園が広がっていました。こちら側は住宅エリア。人とネコが仲良く暮らす様子が見られます。
涼しい木陰で、人もネコものんびり。ゆっくりと時間が流れていきます。
机の上にでーんと座っていた貫禄たっぷりのネコ。猴硐のネコにはすべて名前が付いているそう。
地面にイヌやネコの足跡がいっぱい!
こちらの子はなぜか、濡れたまま舌を出して寝ています。
村にはあちこちに、「ネコにはやさしく接してください」「人間の食べ物をあげないで」などと書かれた看板が立っています。
また、「この子は病気です、エサをあげないで」と注意書きのある箱につながれた、入院中らしきネコも見かけました。
ネコたちが大切に扱われているのが感じられて、なんだか心が温まりました。
台湾の豊かな自然とローカル列車の旅、そしてネコたちとのふれあいをいっぺんに楽しめる猴硐。
瀑布で有名な平渓線沿いの町・十分(シーフェン)や、夕景・夜景の美しさで有名な九份(ジョウフェン)などと併せて、1日で訪れるプランが人気のようです。
台北を訪れるなら、ぜひ足を延ばしてネコ村訪問も予定に組み入れてみてください。
■ 基本情報
- MAP
- ・名称: 猴硐(候硐)(ホウトン)
- ・住所: 台湾 新北市瑞芳区猴硐
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