*Yaco*
そうりゅう型潜水艦は、海上自衛隊が誇る最新鋭の潜水艦。2015年時点で8隻が建造されており、原子力を使わない通常動力型潜水艦としては、世界最高峰と言われます。外気を取り込まずに推進エネルギーを得るAIP機関によって、2週間以上の連続潜行が可能。その高い性能と魅力をご紹介します!1.そうりゅう
http://www.mod.go.jp/msdf/formal/gallery/ships/ss/soryuu/501.html
「そうりゅう」は、その名が示すとおり、そうりゅう型潜水艦の1番艦です。艦名は四神の一つ、「青竜」の別名である「蒼竜」に由来します。2005年3月から建造が始まり、2007年12月5日に三菱重工業神戸造船所で進水・命名式を迎えました。そうりゅう型は、一時各国が採用したティアドロップ(涙滴)型ではなく、葉巻型をしています。さらには艦尾にx型の舵を採用。水中での高い運動性を実現しました。
そうりゅう型すべてに共通する大きな特徴の一つが、その隠密性。それを支えるのが「スターリングエンジン」です。気体の加熱・冷却によって膨張・収縮の運動エネルギーを得る形式で爆発を伴わないため、原子力潜水艦などとくらべて格段の静音性を誇ります。外気が不要で排気ガスがないことも、長時間潜行を支える大きなメリットです。
2.うんりゅう
http://www.mod.go.jp/msdf/formal/gallery/ships/ss/soryuu/501.html
「うんりゅう」は、そうりゅう型潜水艦の2番艦。艦名は雲に乗って天に昇る竜を意味する「雲竜」に由来します。2006年3月31日に川崎造船神戸工場で起工し、2008年10月15日に進水・命名式を迎えました。そうりゅう型潜水艦の静音性を支えるのは、スターリングエンジンだけではありません。船体の全面に、ソナー(音波探知機)の音波を吸収するゴムタイルが貼られているのです。相手に存在を知らせることなく海中で活動できる高い能力を持っています。
そうりゅう型潜水艦では、ほかにもカメラとモニタを組み合わせた非貫通型の潜望鏡や、ほぼメンテナンス・フリーの交流モーター推進器などが採用されています。
3.けんりゅう
http://www.mod.go.jp/msdf/formal/gallery/ships/ss/soryuu/501.html
「けんりゅう」は、そうりゅう型潜水艦の4番艦。艦名の「けんりゅう(剣龍)」は、武を示す「剣」を含む勇猛果敢なイメージの名称がふさわしいとして選ばれました。川崎造船神戸工場で2008年3月に起工し、2010年11月15日に進水・命名式を迎えています。「けんりゅう」艦内のさまざまな機器には、振動を抑えるためのゴムが付けられているそうです。娯楽用のテレビすらヘッドホンを付けて見るなど、外部に音を出さない、聞き取らせない徹底がなされています。
海上自衛隊の呉基地に所属する艦艇などが提供するレシピに基づいたカレーが、審査に基づいて認定を受けた呉市内の飲食店で「呉海自カレー」として提供されています。「けんりゅう」にちなんだ「潜水艦 けんりゅう ソードドラゴンカレー」は、呉うどんでおなじみの「りゅう」さん(広島県呉市中央1-9-12 電話0823-24-6692)で食べることができます。
4.はくりゅう
「はくりゅう」は、そうりゅう型潜水艦の3番艦。艦名は「白龍」に由来します。2007年2月に三菱重工業神戸造船所で起工し、2009年10月16日に進水・命名式を迎えました。そうりゅう型潜水艦では、艦内システムも進化を遂げています。艦内のさまざまな機器類やコンピュータがLANでつながる分散型コンピューティング構造になっていて、いずれかの機器の損傷があったとしても、全体でカバーしあうことが可能となっています。
「はくりゅう」は、そうりゅう型潜水艦としては初めて、テレビ番組で艦内が公開された潜水艦としても知られています。軍事機密だらけと言われる潜水艦のなかにタレントたちが乗り込み、艦内で実際に食べられているというカレーを食べたりする姿が放映されて話題になりました。
5.せきりゅう
「せきりゅう」は、そうりゅう型潜水艦の8番艦。艦名は、南方を守る龍を意味する「赤竜」に由来します。2015年11月2日に川崎重工業神戸工場で進水式を迎えました。基準排水量2,950トンで、海上自衛隊が保有する潜水艦のなかでも最大級を誇ります。水中での運動性能や推進性能などにすぐれ、高性能ソナーによる捜索能力の高さなども特長。同時に、相手のレーダーやセンサー類から探知されにくい「ステルス性」も高いものがあり、安全対策も充分に施されているそうです。
「せきりゅう」は、内装工事や試験航海を終えたあと、2017年3月に防衛省に引き渡される予定です。同じ川崎重工業神戸工場では、「そうりゅう」型の潜水艦をもう1隻建造中です。
■ 基本情報
- ・名称:海上自衛隊 呉地方隊
- ・所在地:〒737-8554 広島県呉市幸町8-1
- ・アクセス:JR呉駅の駅前停留所番号3番発のバスで「阿賀音戸の瀬戸線」もしくは「呉倉橋島線」乗車、「総監部前」下車
- ・営業時間:08:00~17:00
- ・定休日:土・日・祝日
- ・電話番号:0823-22-5511 内線2702/2207
- ・公式サイトURL:http://www.mod.go.jp/msdf/kure/index.html
「そうりゅう型潜水艦」は、ほかに「じんりゅう」、「こくりゅう」、「ずいりゅう」がすでに建造され、2020年までにさらに3隻の建造が予定されています。めったに見られるものではありませんが、海上自衛隊の基地を訪ねれば、出航、進水などのタイミングに出合える可能性もあります。日本の海を守る「そうりゅう型潜水艦」の雄姿を見に、一度出かけてみてはいかがでしょうか。