魅力的な定食屋は、問答無用に美味しい。どこにでもあるシンプルな料理なのに、家庭では決して味わえないヤミツキな味がある。ここでは、東京カレンダー編集部がプライベートで通う、定食屋を厳選する。
白ご飯が美味しいんですよ!『こづち』の肉ニラ定食
1年ほど前、スタジオジブリの鈴木敏夫さんと、変わりゆく”恵比寿の街”についてお話ししたときに話題にあがったのが老舗の大衆食堂『こづち』だった。恵比寿の地を長くから知っている鈴木さんは創業から50年以上も続く『こづち』が好きだった。
去年まで恵比寿に住んでいた僕も『こづち』の魅力にハマり、毎日のように肉豆腐や炒飯やハムエッグを食べていた。 鈴木さんと『こづち』の話題で盛り上がり(興奮したのは僕だけだったか)、そのときの彼の言葉が忘れられない。
「あそこはね、白ご飯が美味しいんですよ。」
愛され続ける定食屋は、白ご飯が美味しい。その一言でさらに『こづち』が好きになった僕は、いまでも週に一度は美味しい定食を食べに行く。数あるメニューのなかでも僕がおすすめしたい定食は、肉ニラ定食。ニラの香りともやしのシャキシャキ感がたまらない。
定食屋としてナンバー1、そして絶対に閉店してほしくないナンバー1の店である。 昼時、お食事処と書かれた暖簾をくぐるとカウンターのみの店内は大勢の常連客で賑わっている
ごはんと魚にこだわりあり!『あん梅 ぎん香』の干物定食
魚は日によって変わるが、こちらはさば干物定食。昼の看板メニューのあじ干物定食もおすすめ
刺身でも食べられる新鮮な魚を築地から仕入れ、店の屋上で天日干しにする。
この太陽のチカラで仕上がった干物の味を引き立てるのが、薪で炊かれた艶々のごはんだ。
なによりも、このごはん。匂いからして香ばしさが全然違う。 熱々を頬張れば、米の甘味に脳内が覚醒され、魚とごはんの幸せ無限ループが繰り返される。
これに自家製の味噌を使ったみそ汁とぬか漬け、小鉢もついてくる。
値段も品質も日本一と思う、昼定食。食べれば夜も通いたくなること請け合いです。
決して広くはないが居心地のよい店内。夜の部ではお酒が充実。
驚愕のボリュームに悶絶!『酒処 つがる』のベーコンステーキランチ
一番人気の「ベーコンステーキ ランチ」¥880
会社の健康診断で品川駅港南口のクリニックへ行った帰りのこと。ちょうど昼どき、それで思い出したのが食通ミュージシャンの小宮山雄飛さんの顔。小宮山さんが「凄いボリューム!」と絶賛していたのが、ここ『酒処 つがる』のランチメニューだ。
一番人気はベーコンステーキランチ。なんとも大ぶりなベーコンが2枚。食べても食べても食べてもベーコンが襲ってくる、感じ。ただ、納豆、たまご、海苔が食べ放題なので、ベーコンで疲れたら、そういうさっぱりしたものに逃避できるので、意外や食べていける。
ランチタイムは2時間。その間に15キロ以上のベーコンが消費されることもあるというから驚きだ。
健康診断をいい機会に「ちょっと脂っぽいものは控えようかな?」なんて気持ちは、ベーコン2枚に吹っ飛んでしまったのは言うまでもない。
開店と同時に店内は、ベーコンに飢えたサラリーマンでごった返す!!!
ほっくり甘いお魚が食べたい!『京粕漬 魚久 銀座店』
銀だら京粕漬け定食 ¥1404。ごはん、おかわりできます(定食屋ってステキ!)
スイーツ嫌いで、芋くり南京嫌いな女子テイストゼロの私でも、たまにはなんとなくほっくり甘くて香ばしいものが食べたくなります。
それが粕漬けの魚。焼き魚が美味い定食屋は数あれど、粕漬けや西京焼きなど時間をかけて作る焼き魚なら、ここ『魚久』です。やはり餅は餅屋。創業して101年、粕漬けて50年の『魚久』の粕漬けは、他の追随を許しません。
銀だら京粕漬け定食が運ばれてきます。ちりちりに端っこがこげた粕漬けの香ばしさと甘みが、ごはんの旨みと調和し三位一体の境地へ連れて行ってくれます。
銀座店でしか食べられない「あじみせ定食」、今度挑戦するつもりです。 4種類、いつも迷って銀だらなところが、コンサバ粕漬け野郎です
どこにも隙のない完ぺき定食『さかな地鶏 舞浜』
さけ定食¥1,000。この量と味なら安いくらいです
魚好きであれば誰もが知っているボリューム満点、味満点の新橋の人気店。何度行っても「銀ダラの煮付け」が売り切れているので、再チャレンジを繰り返し、全ての定食を食べてきました。
人気の銀ダラはもちろん美味しいけれど、こちらの鮭やメダイの焼き魚も印象に残る味わいです。魚というより、肉と呼びたくなるようなその肉汁あふれるジューシィな身に、お米が止まらなくなります。「ごはんは半分で結構です」なんて遠慮したら後悔したのが初回訪問。
お盆にぎゅうっと乗ったお刺身や茶わん蒸しなど小鉢もしっかり美味しい。価格も¥1,000ぴったり。どこにも隙のない、私の大好きな完ぺき定食です。
ランチどきは絶対に満席。長居厳禁な雰囲気でも、美味しいからみんなが通ってしまうのでしょう
もはや自宅!『おばんざい料理 なかよし はなれ』が頼もしすぎる
お昼のメニューは¥780〜。夜にもほぼ同じ金額で定食が食べられるので、本当に重宝する
恵比寿に越してきてから、もう何度訪れているだろうか。『おばんざい料理 なかよし はなれ』。言わずと知れた、恵比寿の庶民のお腹を満たしてきた良店だ。ときに魚、ときにチキン南蛮、ときにかつ煮、ときに唐揚げと、定食から連想されるおかずはほぼすべて網羅。その上で季節ものも多数そろっているとあって、気がつけばまたこの店に来ている。
なかでも、好物なのが「茄子と豚肉の炒め定食」。シンプルに豚と茄子のみで構成された、潔い一品。とにかく、ごはんが進む味であって、さらにうれしいことに土鍋で炊いたごはんが食べ放題。それも、秋田県大潟村から毎日届く「あきたこまち」を土鍋炊き。そして、小鉢がたくさんつくのもうれしい限り。中休みなく、ずっとやっているのもうれしい限り。ビールを頼むと、どうしても突き出しがついてきちゃうのはご愛敬。夜のコース料理が恐ろしく安い、というのも注目すべき。
とにかく、恵比寿に来て、定食食べたいときはここに行けばOK。ホッとする空間です。こちらのから揚げも美味! スタンダードなものが旨いというのは良い定食店の条件かと
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白ご飯が美味しいんですよ!『こづち』の肉ニラ定食
副編集長 昌保博之選
1年ほど前、スタジオジブリの鈴木敏夫さんと、変わりゆく”恵比寿の街”についてお話ししたときに話題にあがったのが老舗の大衆食堂『こづち』だった。恵比寿の地を長くから知っている鈴木さんは創業から50年以上も続く『こづち』が好きだった。
去年まで恵比寿に住んでいた僕も『こづち』の魅力にハマり、毎日のように肉豆腐や炒飯やハムエッグを食べていた。 鈴木さんと『こづち』の話題で盛り上がり(興奮したのは僕だけだったか)、そのときの彼の言葉が忘れられない。
「あそこはね、白ご飯が美味しいんですよ。」
愛され続ける定食屋は、白ご飯が美味しい。その一言でさらに『こづち』が好きになった僕は、いまでも週に一度は美味しい定食を食べに行く。数あるメニューのなかでも僕がおすすめしたい定食は、肉ニラ定食。ニラの香りともやしのシャキシャキ感がたまらない。
定食屋としてナンバー1、そして絶対に閉店してほしくないナンバー1の店である。 昼時、お食事処と書かれた暖簾をくぐるとカウンターのみの店内は大勢の常連客で賑わっている
ごはんと魚にこだわりあり!『あん梅 ぎん香』の干物定食
編集長 大槻篤選
魚は日によって変わるが、こちらはさば干物定食。昼の看板メニューのあじ干物定食もおすすめ刺身でも食べられる新鮮な魚を築地から仕入れ、店の屋上で天日干しにする。
この太陽のチカラで仕上がった干物の味を引き立てるのが、薪で炊かれた艶々のごはんだ。
なによりも、このごはん。匂いからして香ばしさが全然違う。 熱々を頬張れば、米の甘味に脳内が覚醒され、魚とごはんの幸せ無限ループが繰り返される。
これに自家製の味噌を使ったみそ汁とぬか漬け、小鉢もついてくる。
値段も品質も日本一と思う、昼定食。食べれば夜も通いたくなること請け合いです。
決して広くはないが居心地のよい店内。夜の部ではお酒が充実。
驚愕のボリュームに悶絶!『酒処 つがる』のベーコンステーキランチ
副編集長 日紫喜康一郎選
一番人気の「ベーコンステーキ ランチ」¥880会社の健康診断で品川駅港南口のクリニックへ行った帰りのこと。ちょうど昼どき、それで思い出したのが食通ミュージシャンの小宮山雄飛さんの顔。小宮山さんが「凄いボリューム!」と絶賛していたのが、ここ『酒処 つがる』のランチメニューだ。
一番人気はベーコンステーキランチ。なんとも大ぶりなベーコンが2枚。食べても食べても食べてもベーコンが襲ってくる、感じ。ただ、納豆、たまご、海苔が食べ放題なので、ベーコンで疲れたら、そういうさっぱりしたものに逃避できるので、意外や食べていける。
ランチタイムは2時間。その間に15キロ以上のベーコンが消費されることもあるというから驚きだ。
健康診断をいい機会に「ちょっと脂っぽいものは控えようかな?」なんて気持ちは、ベーコン2枚に吹っ飛んでしまったのは言うまでもない。
開店と同時に店内は、ベーコンに飢えたサラリーマンでごった返す!!!
ほっくり甘いお魚が食べたい!『京粕漬 魚久 銀座店』
編集部員 鮓谷裕美子選
銀だら京粕漬け定食 ¥1404。ごはん、おかわりできます(定食屋ってステキ!)スイーツ嫌いで、芋くり南京嫌いな女子テイストゼロの私でも、たまにはなんとなくほっくり甘くて香ばしいものが食べたくなります。
それが粕漬けの魚。焼き魚が美味い定食屋は数あれど、粕漬けや西京焼きなど時間をかけて作る焼き魚なら、ここ『魚久』です。やはり餅は餅屋。創業して101年、粕漬けて50年の『魚久』の粕漬けは、他の追随を許しません。
銀だら京粕漬け定食が運ばれてきます。ちりちりに端っこがこげた粕漬けの香ばしさと甘みが、ごはんの旨みと調和し三位一体の境地へ連れて行ってくれます。
銀座店でしか食べられない「あじみせ定食」、今度挑戦するつもりです。 4種類、いつも迷って銀だらなところが、コンサバ粕漬け野郎です
どこにも隙のない完ぺき定食『さかな地鶏 舞浜』
編集部員 守屋美佳選
さけ定食¥1,000。この量と味なら安いくらいです魚好きであれば誰もが知っているボリューム満点、味満点の新橋の人気店。何度行っても「銀ダラの煮付け」が売り切れているので、再チャレンジを繰り返し、全ての定食を食べてきました。
人気の銀ダラはもちろん美味しいけれど、こちらの鮭やメダイの焼き魚も印象に残る味わいです。魚というより、肉と呼びたくなるようなその肉汁あふれるジューシィな身に、お米が止まらなくなります。「ごはんは半分で結構です」なんて遠慮したら後悔したのが初回訪問。
お盆にぎゅうっと乗ったお刺身や茶わん蒸しなど小鉢もしっかり美味しい。価格も¥1,000ぴったり。どこにも隙のない、私の大好きな完ぺき定食です。
ランチどきは絶対に満席。長居厳禁な雰囲気でも、美味しいからみんなが通ってしまうのでしょう
もはや自宅!『おばんざい料理 なかよし はなれ』が頼もしすぎる
編集部員 船山壮太選
お昼のメニューは¥780〜。夜にもほぼ同じ金額で定食が食べられるので、本当に重宝する恵比寿に越してきてから、もう何度訪れているだろうか。『おばんざい料理 なかよし はなれ』。言わずと知れた、恵比寿の庶民のお腹を満たしてきた良店だ。ときに魚、ときにチキン南蛮、ときにかつ煮、ときに唐揚げと、定食から連想されるおかずはほぼすべて網羅。その上で季節ものも多数そろっているとあって、気がつけばまたこの店に来ている。
なかでも、好物なのが「茄子と豚肉の炒め定食」。シンプルに豚と茄子のみで構成された、潔い一品。とにかく、ごはんが進む味であって、さらにうれしいことに土鍋で炊いたごはんが食べ放題。それも、秋田県大潟村から毎日届く「あきたこまち」を土鍋炊き。そして、小鉢がたくさんつくのもうれしい限り。中休みなく、ずっとやっているのもうれしい限り。ビールを頼むと、どうしても突き出しがついてきちゃうのはご愛敬。夜のコース料理が恐ろしく安い、というのも注目すべき。
とにかく、恵比寿に来て、定食食べたいときはここに行けばOK。ホッとする空間です。こちらのから揚げも美味! スタンダードなものが旨いというのは良い定食店の条件かと
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